宇宙大将軍・フィレノアーナ王女
可愛いシルンちゃんを頭の上に乗せ・・ノアはとある村に訪れていた。
ちなみに・・・ここがどこだか分かってはいません。
スタンピードによるオーク軍団に追われ・・山や森を抜けて走ったため方角も分からず・・
いや! それ以前に記憶喪失になっているため・・この国の国名すら分かっていなかった。
その村には・・・お食事処のような店があったので、すこしそこで休むことにした。
ちなみに、金銭の方は大丈夫です。
邪神様から頂いたアイテムの中に・・・いくらかのお金があったからです。
その店の外観は茅葺きの屋根をした峠の茶屋という感じだった。
縁台には赤い敷物が掛けられ、日傘で影をつくり・・・涼しそうな雰囲気である。
近くに川が流れ せせらぎの音がする。
何人かのお客さんは・・抹茶と団子を食べているので・・・たぶん名物かもしれない。
ノアは縁台に腰かけ 店のおばさんに 同じく抹茶と団子を注文した。
カポ――ン♪ ししおどしの音色が聞こえてくる。
しばらくすると 注文していた抹茶と団子を おばさんが運んできてくれた。
でも、うちの顔を見るたびに首を傾げた。他のお客さんも同じだった。
「・・・・ううん!?」
なぜだろう? うちが可愛いからかな?(うぬぼれw)
それともシルンちゃんの方が気になるのかな?
そんな疑問はあったが・・・とりあえず団子をモグモグ。
甘味がちょっとたりないけど・・・抹茶の渋みにあうよね! モグモグ!
かわいいシルンちゃんにも・・・おすそ分け、モグモグ
シルンちゃんは・・美味しい口をしながらパクパク食べている。なんて愛らしい! 癒される!
『 デリシャスっす! 癖になる味っす! 』
シルンちゃんも大好評! お顔をニッコリ♡
これだけじゃ・・もの足りないので、おばさんに団子の追加注文をして、モグモグしていると
・・・壁にチラシのようなものが張られていることに気付いた。
どうやら WANTED・指名手配書らしい。
== 最重要凶悪犯・・・ノン・コハヤシ・フィレノアーナ元王女 ==
・・・・フィレノアーナ、どこかで聞いたような名前というか・・・うちの名前じゃゃぁぁぁ w
そういや・・・そういう名前だったね。
でも・・・この似顔絵、微妙に似ているようで別人! 表現力が不足している。
カラーで描かれていたのなら、わりと似ていた可能性も・・う~ん!?どうかな・・・
白黒画で このレベルだとしたら色付きでもだめかな?!
という話はおいといて・・・なるほど! なるほど!
店のおばさんやお客さんたちが うちの顔をじろじろ見るのは・・あの手配書のせいか!
似ているようで似ていない・・・それに、元王女とはいえ、高貴な人物が こんな田舎にくるとは思ってないだろうし・・
それに・・・かわいいシルンちゃんをペットにしているのも・・凶悪犯とは程遠いのだろう。
手配書とは別人だと思ってるに違いないわよね!
・・・でも、これは今後のことを考えると・・なにか対策を考えないと!
変装でもしてみようかな!? そういや邪神様から変装アイテムをもらってたような!!!
ちょび髭鼻眼鏡!?・・宴会用とか言ってたw
・・・こんなのかけたら 目だってしょうがない! 別の意味で注目の的
あと・・・黒サングラスに黒マスクのなりきり不審者アイテム、
とくにうちの着用しているダークグリーン色をした魔導師ドレスに合わすと 怪しさ満点!
これでは・・・秘密結社の幹部になってしまう。
ちなみに・・・この黒サングラスをシルンちゃんにかけてみると・・・あやしく可愛かった♡
そういや・・うちって記憶喪失だったので・・・氏名手配される理由を知らないのよね。
どれどれ・・・手配書には何が書かれているのかな!?
== 最重要凶悪犯・・・ノン・コハヤシ・フィレノアーナ元王女 ==
賞金 1000000両
特徴 目鼻立ちくっきり、淡いクリーム色の髪
罪状 王太子暗殺未遂、叛乱軍の大親分、爆弾魔マニア、ドラゴン軍団の闇の支配者、
オーク軍団のラスボス、世界征服を企む闇の秘密結社の総帥・宇宙大将軍
なんだこりゃゃぁぁぁw 小学生の考える悪役みたい!
・・・・・どこまで本気!? マジなの!? ありえないでしょう!?
あまりにもとんでもない罪状!
いたずら書きにしかおもえないほどだ。
オカルト雑誌にさえ、掲載されないレベルの罪状!
おもっきり笑えた!
シルンちゃんも口から小さい炎を出して笑っている
ちなみに賞金の1000000両・・・某異世界の基準でいえば・・1両は100円程度なので1億円。
これだけの危険人物の賞金が1億円って安くないか!?
記憶が無いとはいえ・・・絶対にこの罪状は嘘だね!
ありえない内容を盛りに盛りまくっている!
宇宙大将軍ってなに!? 何言ってるのこれw
もう、これじゃ・・・何をやらかしたのかわかんないじゃないの!
自分ながら・・・記憶がないから思い出せない!
たぶん・・たいしたことはしてないと思う・・・だって、うちはいい子だもん♡ (←たぶん間違い)
どうせ権力闘争か何かに巻き込まれたのね (←正解)
・・・・とはいえ、お尋ね者なので、うん! なにか対策をかんがえないとね!
と思いつつ ノアは峠の茶屋を後にしたのである。
ちゃんとお金は払いましたよ! 邪神様からお金を頂いていますからw
村をつらぬく街道には、道しるべが立っていた。
"" 王都ルヴァ方面 ""
うん、指名手配されてる以上、王都方面に向かうのは やっぱし不味いでしょうという判断から、
うちは道しるべの反対側を選んだ。
「こっちがいいよね!」
すると・・シルンちゃんも首を振ってうなずいた。
-*- - - - - - *-
それから しばらく歩いていくと・・・後ろから何人かの足音が聞こえてきた。
チラリと後方を見ると・・・悪そうな顔つきの人たちが早足で追ってきている。
ザ・悪人という感じ!
・・・たぶん、あの指名手配書を見た連中が・・仲間を集めて追いかけてきてるのかな!?
それとも、あの村の役人・・・にしては柄が悪いか!!
でも、あのいい加減な手配書で、よく追いかけてくる気になったよね!
あっ! そうか、そういや・・手配書の特徴に淡いクリーム色の髪って書かれていた。
その髪の色って・・・わりと珍しいのかも!
うん・・街道を行き交う人たちや、村の人たちって わりと茶髪、又は黒髪が多いよね。
髪の色だけで判断された!? なんと安直な!
でも、正解だったりする・・・・
『 村を出たあたりから、尾行されてたみたいっす・・10人ぐらいっす 』
シルンちゃんは飛びながら、後ろの男たちの様子をノアに報告した。
「襲ってきそう!?」
『 棍棒を持ってるみたいっす 』
「どうやらやる気のようね」
『 わっちも、そう思うっす 』
まぁ、ちょうどいい・・・ステータスを確認すると、"コーヒー魔法 Lv5"になっていた。
新魔法の試し撃ちには、いいかもしれない。
邪神様から頂いた魔術本には・・・スキルレベルが上がることによって
使える魔法が増えるという仕組みになっていたのである。
「おい! そこの女、止まれ」
後ろから、ドスのきいた男たちの声が聞こえる。だが、ノアは無視した。
そんな声に耳を貸す必要はない。
「おまえが指名手配の・・・"なんとか"王女だとわかっているのだぞ」
またまた 男たちが叫んでるのだが・・・でも、"なんとか"王女は失礼だろ!
指名手配されているとはいえ・・・高貴な身分である王女になんという言い草!!
・・・・というか、自分もあの名前は、覚えづらい!
「おい! 聞こえているのか! 止まれ」
声の大きさからすると・・・すぐ後ろにまで接近してきているようだ。
あまり近寄られると、魔導師として戦いづらい。
そろそろ奇襲攻撃のころあいか!?
ノアは急に振り向き・・呪文を口にした。
「固まれ! チョココーティング」
邪神様から授かった素晴らしきチョコ攻撃なのだ!
ノアを追いかけて来た男たち・・・10名ほどが・・・黒いチョコにおおわれ ビシッと固まった。
しかも走っている途中の姿勢でだ!!
当然その姿勢ではバランスが崩れて、横に倒れる男たちが何人もいた。
男たちは・・・チョココーティングでもう動けないし・・・喋れない。
しかも甘い香り付きだ。
「ふむ! 美味しそうだ」
ノアは両手で魔法の杖を握る。
そして・・・獲物を見る目。
さぁ~! これから撲殺タイムだ!
だが・・その時、シルンちゃんの声が耳に入った。
『 待つっす! 待つっす! 』
そこで・・・ノアは ハッ! と我にかえる。
ついつい、撲殺してしまいそうになっていた。
予定では・・彼らには新魔法の被験者になってもらうつもりだったのだ!
「ふっふふふふ・・・・君たちには実験体になってもらうよ」
ノアの目が邪悪となった。
その時、彼ら男たちは・・・思い出した。指名手配書に書かれていた罪状を・・・
"" 罪状 王太子暗殺未遂、叛乱軍の大親分、爆弾魔マニア、ドラゴン軍団の闇の支配者、
オーク軍団のラスボス、世界征服を企む闇の秘密結社の総帥・宇宙大将軍 ""
あの罪状! どうせ嘘の羅列だと思っていたが・・・この女の目を見ると・・・マジだ!
この女は・・・ヤベー!、
こいつは きっとケラケラ笑いながら人を殺すたぐいの奴! 生まれつきの殺人鬼だ!
男たちは後悔した。
無茶苦茶・・後悔した。
だが・・・もう逃げれない、動けない、喋ることもできない!
唯一できることは・・ただ震えるのみ!
ノアはチョコによって固まった男たちを 冷たい目で見つめ・・・呪文を口にした。
「コーヒーバブルボム!」
これは・・・コーヒーバブルの強化系魔法だ。
コーヒーバブルと同様にコーヒーの球体を空中に召喚するのだが・・
実は・・この球体内には時限式加熱魔法が仕込まれており・・・数秒後、凄まじい温度を発することになっている。
しかも・・・ただの温度ではなく、鉄をも溶かす高熱を発し・・・コーヒーを一気に蒸発させる。
つまり水蒸気爆発! 水の体積を1240倍に膨張させるのだ。
火薬並み・・または、それ以上の危険性がある。
ノアが放ったコーヒーボムが・・・男たちにむかって飛翔していく。
男たちは動けない、チョココーティングによって身動きが取れないのだ。
スドォォォンンンォォォ
轟音! 衝撃波! そして・・・熱気と霧が立ち込める!
ノアは思わず背を低くして、手で頭を覆った。
石ころがパラパラと降ってくる。
そして・・付近は真っ白な世界になっていた。
み‥見えない・・・煙、いや 霧か!!
「ぐぅおおおお」
「あついい・・・・」
「ひぃぃぃぃ助けて!」
白い霧から男たちの声がきこえてくる。
どうやらチョココーティングの魔法が解けてしまったようだ。
・・・というか、コーヒーボムの熱でチョコが溶けてしまい拘束が外れたのだろう。
チョコは熱に弱いんだよな! これは気をつけないと!
あの男たちは・・・村へと逃げていってるようだ!
多分、大やけどはしてるだろうけど・・・命は助かったんじゃないかな。
まぁ・・霧が濃すぎて 確認はできないんだけどね!
「一応・・・成功かな?!」
『 攻撃は直撃してなかったみたいっす。男たちのかなり手前で破裂したみたいっす。
それであっても、あれだけの威力っす。すごいっす』
シルンちゃんは・・・ノアの周りを旋回して喜んでいるようだ。
「なるる・・・もしかして命中してたら、あの男たち、死んでたかも」
『 はいっす! 殺傷力のある魔法攻撃だと思うっす。あの男たち、運だけは良かったみたいっす 』
「うっふふ・・命中しないように手前を狙ったからね・・・だから運じゃないよ」
『 えっ! ノア様って・・・・意外と優しいっすね 』
シルンちゃんは・・目を丸くして驚いた。
「い・・意外って!? あれ!?・・うちって・・」
ノアは・・・ちょっと、いや! かなり動揺した。
しばし・・・・沈黙! ちょっと悲しい。
このコーヒーバブルボムは・・・攻撃力のある魔法だ。
撲殺程度の攻撃技しかないノアにとって・・・初めての攻撃魔法だったのである。
「よっしゃぁぁぁ! これで魔導師として格好が付く」
霧が晴れた後・・・地面は黒い染みによって覆われていた。
男たちはいない。ついでに遺体もない。
みんな帰っていったようだ
『 ノア様!あれっす 』
シルンちゃんの小さい指があるものをさした。
「あっあれは!」
『 ノア様、大戦果っす 』
ノアはすぐに拾い上げた。
財布だ! たぶんあの男たちの落とし物かな!?
でも・・・中身は・・ちょっとだけしか入ってなかった。
10両程度・・・すくなぁ!
うん、お金持ちには見えなかったもんね! 村のゴロツキってとこかしら!?
まぁいいや・・・慰謝料!?として受け取って起きましょう!
少額とはいえ、ちょっとうれしいノアだった。
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)