禁断の魔導
王家に伝わる禁術を唱え始めると、エルドラード王子の生命力は・・波動へと変換され噴出、竜巻のように天を駆ける。
そう、今にも・・最終奥義、禁断の魔導が発動されようとしていたのだ。
それに対して・・ノアたち箒組は果敢に突進! 急降下爆撃の如くターゲットに突っ込んでいく・・・
そう、禁断の魔導が放たれる前に勝負を決めるのだ。撃たれたら全てが終わる!
ゴッドッドドドドドドドド
二つの運命が互いに視認し交錯する!
空飛ぶ箒の電磁シールドと、王子の波動が激しく衝突した結果、両者が融合し、未知なる現象が発生した。
これが、いわゆる対消滅魔導反応である(E=mc²)
それは宇宙の根源的エネルギー!
核爆発に例えられるほど壮大であり、あるいは反物質爆弾と言っても過言ではない。
しかし、この星を木っ端みじんにするほどの破壊パワーが発生・・・・しなかったのは不幸中の幸いであったw
人類・THEーENDにならず、本当によかった♡
だが・・・この現象を巻き起こしてしまったエルドラード王子や、ノアたちは無事では済まない。
激しい衝撃に見舞われ、両者は吹き飛ばされてしまったのだ。
そう、ノアたち箒組はクルクルと回転しながら、勢いよく空へ・・さらに上空へと・・
ロケットのごとく舞い上がっていく。
『 エアーブレーキが利かないっす! コントロール不能っす! 』
空飛ぶ箒の速度を止められない。それどころか加速していくのだ。勢いが強すぎる!
操縦担当のシルンちゃんは・・顔を引きつらせた。
そして、ついに成層圏を越え宇宙空間、星々が瞬く壮大な光景を目にすることになる。
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宇宙・・そこは死と隣り合わせの危険な空間のはずなのだが、どうぞご安心を・・・!
この箒には数々の安全装置が搭載されているのだ。
重力安定装置によって慣性の法則が打ち消され、さらに強力な電磁シールドがノアたちをしっかりと守ってくれる(ただしシールドの制限時間は1分)
加えて、箒の周囲には地上と同様の大気圧が保たれており、窒息の心配も一切なし。
こうして、ノアたち箒組は、宇宙へと飛び出し、この星における人類初の宇宙飛行士となったのであった(祝)
「ノ・・ノアさま! 見てください! 世界は青いです」
コサミちゃんのこの発言は、宇宙史に残る名言となった。
そしてノアは・・・
「世界って丸かったのね」と呟き、こうして世界球体説は証明されたのである。
一方、シルンちゃんは慌ただしく空中パネルを連打し、焦燥感あふれる声を上げた。
『 まずいっす! ヤバいっす! 地球に戻れなくなってるっす 』
この空飛ぶ箒は第1宇宙速度を突破し、この星の重力圏を振り切って、外宇宙へと突き進んでいた。
そこで、シルンちゃんは、この非常事態を何とかするべく、重力ターンに挑む。
目前の明るく輝く・・月を利用するのだ。
箒搭載のAIに軌道計算させながら、細かく軌道修正・・etc.
『 たぶん、これでなんとかなるっす。地球に戻れるっす 』
ちなみにノアとシルンちゃんは、この世界、中世時代の住民!
彼女らはこの状況がどれほど深刻なのかを理解しておらず、
ただただ、青く輝く地球の全貌を目の当たりにして、その美しさに感動するばかりだった。
「見て見て、陸と海がきれい。まさかうちらの世界がこんな形だったとは・・」
「ホントですね! ノア様。世界って不思議」
コーヒーを飲みながら、地球観賞をする二人であった。
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その頃、ノアの宿敵、因縁の相手・・エルドラード王子はどうなったのかというと・・・
そう、彼はノアによって 間違いなく抹殺されていたのであった!
ノアは宿敵を倒したことによって大義を達成!
晴れやかな気持ちとなって、宇宙へと旅立ち現在、コーヒータイムをしているw
時系列は戻り・・そう、あの決定的な一撃
白煙の中、ノアたち箒組とエルドラード王子がすれ違ったその瞬間、ノアが手にしていた魔法の杖が赤く血に染まる。
ノアの宿敵、あの憎き王子に 強烈な一撃をいれたのだ!
「よっしゃぁぁぁ! これぞ正義!」
ノアの目に映ったのは、弾け飛ぶ生首の残像。脳天に直撃をいれたのである。
これ以上ない確信に満ちた一瞬、復讐を果たしたのだ!
「やりました! おじい様。キヨウラの仇は討ちました」
ノアの目に微かな涙。喜びと悲しみが入り混じる。全てをやり遂げたのだ。
ただし、復讐は始まりに過ぎない。これからキヨウラの繁栄が始まるのだから・・
「カイラーナ・ノン・コハヤシ・フィレノアーナ。宿敵エルドラード王子を討ち取ったなり!」
その生首・・エルドラード王子の御首級は舞い上がり・・そして、その身体というべき本体は次の瞬間、対消滅魔導反応の爆圧により完全に消滅した。
おそらく、肉片すら残っていないであろう。
そして、その本人・エルドラード王子にとっては一瞬の出来事、何をされたのかさえ理解できず、永遠の眠りについたのである。
実に呆気ない最後であった。
一方、それとは違いノアたち箒組は電磁シールドによって守られつつ、重力安定装置の働きによって、何事もなかったかのように宇宙へと吹き飛ばされたのであった。
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その後、公王イジャルが現場に足を踏み入れた。
目の前にはただ静寂が広がり、何一つ残されてはいない。
平原は広範囲に焼けただれ、1ロキル四方・・本当に何も残ってないのだ。
宿敵エルドラード王子もノアたちも 全て消え去ってしまっていたのである。
「ノ・・ノア様」
彼女の波動が付近に残っていない。どこにも感じられない。
しかも、ノア様の側近・コサミちゃんの波動も感じられないのだ。
公王イジャルの頬に一筋の涙が静かに伝い落ちる。
彼は悟ったのだ。この地上にノア様がいないことを・・・(宇宙にいますからねw)
そして・・・再び会うことはないだろう。
しかし、その代償とは思いたくないが、宿敵エルドラードは倒した。
キヨウラの復讐は終わったのだ。
そして、新たなる時代の扉が、今ここで開かれる。
キヨウラ公国の新しい歴史が、この瞬間から始まるのだ。
彼の耳に届く、「「キヨウラ公国万歳」」の歓声。
その響きが、公王イジャルの心に新たな使命を深く刻む。
これからは、統治者として、為政者として、彼ら国民たちに進むべき道を示さねばならないのだ。
「そうだ! 僕はキヨウラ・ノン・イジャル。ノア様のためにも、この国を導く」
やがて彼は、手にしていた剣をゆっくりと地面に突き刺し、それをノアに捧げる墓標とした。
風がそっと吹き抜け、剣に絡みつく草葉が囁くように揺れる。
その場にはただ、ノアの不在という現実だけが残り、物語は終わりを告げるのだった。
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)