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とあるVRプレイヤーの怪異体験


挿絵(By みてみん)




俺のことか!? 俺の名は・・・"コーヒーチョコケーキ"

剣と魔法が織りなす和風テイストの世界を舞台としたVR-MMO"" 戦国乱闘!血と肉のオンラインバラード "のプレイヤーなのだ。

ゲーム名はあれなのだが・・・そこんとこはご愛敬として聞き流してほしい。


それと・・・言わずもがなVR-MMOとは、仮想現実の中でリアルな感覚で遊べるオンラインゲームのことである。

VRヘッドセットを頭にかぶるあれのことですね!  

知ってるよね! 知ってるよね!?


しかもこのゲームは他のMMOとは一線を画しており とてつもなく凄いのだ!


そう! "" 戦国乱闘!血と肉のオンラインバラード "・・略して" 戦血バラ "はたいへん自由度が高く色々なことを こなすことが出来る。

家を建てる・・道をつくる・・地形をかえる・・薬を作る・・剣技を編み出す・・魔法をつくりだす・・などなど なんでもありの世界!


もちろん俺は このゲームに無我夢中となってプレイした。

飽きることなくプレイしつづけ・・・そして十数年!

このゲーム内における最古参プレイヤー・・・となってしまっていた。

なんたって・・・ベーター版のころからしてたからなぁ(遠い目)


そんな俺がついに・・・十数年の歳月をかけ・・・誰にもなされなかった前人未到の最終ジョブに転職しようとしていた。

長かった・・・実に長かった・・・



最初の職はヒーラーで仲間の回復や補助を担当していたなぁ・・・じつに懐かしい。

次は陰陽師に転職して、呪術や式神を使えるようになった



その後、30回に及ぶ転職を繰り返し・・ついにこのゲームにおける最終到達点、最上級ジョブに達しようとしている。

このゲームのプレイヤーの中でここまで転職を繰り返し・・高みにたどり着いた者はいない。


俺は誇らしい! 実に愉快・・・まさに廃人・・・いやいや・・違うぞ!

これはあれだ!・・・・継続は力なり!

続ける事こそ・・・力!

・・・と、俺は心の中で言い訳をした。


とにかく現在・・・とあるダンジョンの最深部にいる。

しかも・・・俺の目の前には 今しがた倒した最終ボス・・

" エンシェント・ヤマタノオロチ・イズモマスター・マーク3 "の赤く染まった串刺し姿があった!

ダンジョンクリアーをしたのである!


ジャン! パンパラ~ラ~♪


俺の耳に勝利のファンファーレ♪が大きく響く。

・・・どうやら大量の経験値を得たようだ。


間違いない! これだけの経験値を得れば・・・次なるジョブに転職できるであろう。


そして・・・その予想通り 俺の目前にウインドがあらわれた。

転職を促すウインドだ。


今の俺の職はアドバンス魔導陰陽師だが、これからはもっと強力な職になれるかもしれない。

果たして、どんな選択肢があるのだろうか!?


わくわく♪ 心が躍る


『 コーヒーチョコケーキ様 おめでとうございます! レベルアップにともないジョブチェンジが可能です 』


よしきた! きたきたきた! きたきたダンシング! 

これを待っていたのだよ! 待ちにまったメッセージ


『 貴方はついに上級ジョブのトップのそのまたトップを突き抜け・・あっちの世界へ行ってしまいました!

もはや貴方には・・もうこれしかありません!

人間を辞めるしかないのです・・・邪神になりますか(Y/N) 』


「ぬぉおぉぉぉ・・・・・なんだこりゃぁぁ~! なんちゅうメッセージだ!」

思わず突っ伏してしまいそうだ。

それは・・ジョブチェンジではなく種族チェンジだった・・・


さすが最終ジョブは ひと味もふた味も・・・・無茶苦茶違う!  なんか違う!


このゲームでプレイヤーのなれる種族に邪神・・・というか神族はなかったはず!

ヒューマン、エルフ、トワーフ、ピクシー、ハーフエルフ、猫人、犬人・・・などなど

よく町でみかけるプレイヤー種族だ。


・・・・・邪神といういかがわしい種族ではあるが・・・まぁいいだろう! なってやろうじゃないか!


なんたって・・・この高みまで達したのは俺だけなのだ。

まさにフロンティア! フロンティア精神!

俺は・・・開拓者精神をふりしぼり・・・もちろん(Y)を押す!!


ポチット♪


『 貴方は・・・今日から邪神! おめでとう! もう人間ではいられないのです。 』


そんなメッセージが流れた後、目前の画面が真っ白になり、軽快なBGMが鳴り響く♪

おっ! ロード中の文字が左下で点滅しているぞ。


俺はワクワクしながら・・・ロード終了を待っていると徐々に画面が明るくなってきた。



-*- - - - - - *-



ふむふむ!

先ほどのダンジョンから・・別のフィールドに飛ばされたようだ。


そして現在、俺は浮遊している。空を飛んでいる。

もちろん・・・俺の魔法スキルを使えば・・浮遊するぐらい朝飯前!問題なし!


上空から周囲を見渡すと、山脈や丘が連なり、緑の絨毯のような森が地平線まで広がっている。

町や村は見当たらず、人里から離れた場所のようだ。

ただし・・そんな森の中で、一際目を引く遺跡があった。

円形に並んだ石柱が太陽の光によって輝き、その中心には馬蹄形の石舞台が置かれている。

そう! あれはまるで・・ストーンヘンジのようだ。


俺は興味をいだき・・その遺跡上空へと向かった。

そこには・・・十数人の黒ずくめの集団が石柱中央、石舞台に向かって祈りを捧げていた。


実に怪しく禍々しい。真っ暗なオーラともいえる何かが渦巻いているのだ。

しかも、ドロッとした赤い液体が石舞台から こぼれ落ちていく。

ヤバさ100%のカルトのような連中・・・・


そして・・そんな彼らの何人かが・・俺に気づいたのだろう。

俺のいる上空に向かって手を広げ叫び出した。


「「「おっおお・・成功だ! 召喚が成功したのだ! 邪神様がご降臨なされた! 万歳! 万歳!」」」


な・・なるほど・・あの怪しい連中によって邪神になった俺を召喚したというゲームイベントなわけなのだな。細かい演出だな!

てか! おいおい! よく見ると・・とんでもない光景がみえるぞ。


石舞台に青白い顔をした12歳前後の少年が寝かされている。いや! 寝かされているというよりも・・殺されている。

少年の心臓付近にナイフを突き立て・・・その血で魔方陣を描いているのだ。

まるで生贄!

なんて 生々しいイベントなのだ。


こ・・これってグロ表現すぎる!

・・・ゲームとは思えないほどリアルだ! 規制に引っかからないのか?


そう思っていると・・俺は不思議な感覚・・いや! 違和感に気づいた。


木々のざわめき・・森の匂い・・体に触れる風・・これらはVR-MMOでは決して味わえない感覚だ。

まるでリアルそのもの。俺は目を見開く。


ここは・・間違いなくリアル! 現実世界! VRでもゲームでもない! 


まじか!? えっ!? ま・・まさか! まさか!

おいおい・・・これは! 冗談じゃないぞ! 


噂に聞いた・・あの都市伝説とまったく同じではないか!

VRゲーム中に異世界転移してしまって、元に戻れなくなったという・・・!

俺は慌てた・・・そして騙されたという後悔! 

邪神になるというあのメッセージ・・・あれが不味かったのか!!



やばいやばい! 心臓がバクバクするほど・・・焦る。

すぐにVRヘッドセットを外そうとして・・解除ボタンを押した!


ガシャ♪という音とともに視界が切り替わった。


「・・・・・・・」


そこは・・・いつもの俺の部屋・・・いつものゲーム機が目の前に置かれている。

なにも変わっていない。いつもの日常・・・


「よ・・・よかった!」

心臓の鼓動はおさまり・・・緊張から解放されていく。

都市伝説とは違って、元の世界に戻れたのだ。一安心!


俺は汗をぬぐい・・・ぬるくなったコーヒーをすすった。

 

あれって・・・もしかして・・・夢でも見てたのか!?

それとも勘違い!? いや! そんなことはない。


しばし思考したのち・・・


「うっ・・・・・・ためしてみるか!」


俺は・・・再びVRヘッドセットをおそるおそる装着する。

視界が切り替わると同時に・・・五感の感覚も変わった。


あの世界にもどっている!

どう考えても・・・VRゲームとは思えない体感。


木々のざわめき、風の感触、風の匂いがリアルすぎる。いや! 眼下でなされている生贄の儀式の方がより生々しく訴えてくるのだ。


俺は・・念のため もう一度ヘッドセットを外すと・・俺の部屋に戻った。いつもと変わらない俺の部屋。

そして・・・再び装着すると・・あの生々しい世界へ!



うん! なるほど・・・・ね!

・・・・と納得したいが・・・こんなことありえねぇ!

だが・・・現実は現実! 怪異な現象がおきているのだ!


そう! ヘッドセットを装着してる時だけ あの生々しい異世界へと転移しているのだろう! ほぼ間違いない! 


でも、どうしてそんなことが起こるのかは分からないが・・・眼下でおこなわれている生贄の儀式が

この不可解な現象と関係があるかもしれない。



この儀式と別世界のVRゲームが 何らかの力によって結びつき・・・ゲーム内における邪神・・・

すなわち俺が ここに召喚されたってわけなのか!?


無理やり理論づけしたが・・・・納得できないなぁ


まぁいい! それよりもだ!

俺を召喚するためだけに・・あの黒ずくめの連中は こんな儀式をやったのか! 許せねぇ!!


それに・・・ものすごく罪悪感が沸く!


あの少年・・・俺を召喚するためだけに殺されたのか! ひでぇなぁ!!


どうする!? どうする!?

蘇生魔法で少年を生き返らせてみようか!?

待てよ待てよ! この世界で・・・VRゲーム同様に魔法が使えるのか!?

いや! 浮遊魔法が使えている時点で・・・魔法は使えるはずだ!


どちらにしろ試さないとわからない!



俺はゆっくりと降下していき・・・寝かされている少年の傍らに立つ。

そして‥念のために少年の脈を確かめる・・だめだ! 脈がない

死んでいる!


そんな俺の落胆を あざ笑うがごとく・・・周囲にいる黒ずくめの連中が騒ぎ出した。


「おっおお・・・邪神様!」

「す・・すばらしい」

「我らはあなた様の使徒でございます なんなりとご命令を!」



俺は彼らをにらみつけた。

騒がしい奴らだ!

なにが使徒なんだ! ただの殺人鬼集団じゃないか!


一瞬・・・殺してやろうかと思ったが・・・こいつらと同じ穴のムジナになりそうだったのでやめた。


とにかくここにいると鬱陶しい!

別の場所へ移動しよう。

俺は・・少年を優しく抱き寄せて・・・呪文を唱えた。


「空間転移、我を導け」


この魔法はいわゆる・・・テレポート、または時空ワープ。

別の場所へとワープしたのである。

どうやら空間転移魔法は問題なく使えるようだ。

これなら蘇生魔法も上手く使えるだろう。



俺は・・・適当な座標に転移した。ここがどこなのかは分からないが、川のほとりで静かだ。

周りに人影はない。ここなら安全だろう


俺は少年を草むらに下ろし・・呪文を唱えた。


「生命の息吹、甦れ!」


淡い光が少年を包むと・・・・胸をえぐるような傷は消え・・・息が戻り・・・目を開く。

少年の意識が戻った瞬間、俺は安堵した。蘇生魔法は成功したようだ。


俺は少年に優しく声をかけた。

「大丈夫か!?」


しかし、少年は俺の顔を見るや否や恐怖に震え始めた。

「ぐぅぁぁぁぁ・・・やめて・・・助けて・・・食べないで・・・許して!! うっううう」


少年は俺から逃れようともがく。

俺はその反応に驚いた。


なぜこんなに怯えているのだろうか? 

何が怖いのか!?

"食べないで"という発言も気になる!


俺は・・・少年に近づき・・気を静めるように促そうとした時、ふと川辺を見た。


川の水はよく反射し・・・俺の姿を映しだしたのである。


そして・・・俺は少年と同様に…叫んでしまった。


「うっがぁぁぁあああぁぁぁぁ」


その叫び声に少年もびっくり!


そう! 俺は驚いた・・・俺の姿・・・なんて邪悪な姿なのだ。

た・・たしかこのVRゲーム内の俺のアバターは美青年の設定だったはず。


髪が長くまるで女性のような美青年のはずが・・

どぅぁぁっぁぁぁああああ・・・化け物になってしまっていた。


俺の顔は血のように赤く、目は血走って光っていた。

牙が鋭く伸び、爪も鋭利な刃物のようだった。

角や翼も生え禍々しい。まるで悪魔か邪神・・・・てかっ! 俺・・邪神だった!

・・・・うっう!!


おいおい! 容姿まで変更はないだろう。せっかくの美青年が・・・!

・・・だが! こんなことがあっても冷静な俺は慌てない。

ちょっと・・・叫んでしまったが・・・あえて言おう! 俺は冷静だ!


そう! 奥の手があるのだ!

容姿を変更する魔法があるのだ。


「トランスフォーム!」


その呪文を口にした途端・・・俺の身体が光る!

某アニメのように一瞬・・・全裸になったがあえて無視してほしい。


そして・・・俺は元の姿、あの美青年へと戻ったのであった。

長い黒髪、白い肌、端正な顔立ち・・・大きい胸・・・長い足・・・ちょっとエッチなビキニ姿! 


・・・・・・あれ!? ビキニ!? 胸!? どうして!? 




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