14 相談
結局いつものごとく、先人の知恵を拝借しに行っちゃう、僕。
つまりは、カミス師匠に泣きついちゃうわけで。
「ジオーネの『平和の館』も、モノカのお屋敷も、そこまで念入りな対策はしていないですよ」
……僕の考えすぎ、なのでしょうか。
「いえ、サイリさんのは考えすぎじゃなくて、家族思いって言うんですよ」
「僕たちは、なにかあってから対処すればいいやって感じで呑気すぎるくらいですし」
カミスさんたちのは、呑気と言うよりも経験に基づいた余裕のような……
確かに、ひと言で防御と言っても、通常の物理防御・魔法防御だけじゃ無くて、スーミャの時の呪法防御、僕みたいな特殊固有スキルからの防御、ナルンのような種族特性防御、そして今回判明した失われた王国で使われていた謎の魔法陣の未解明魔法からの防御。
いかに異世界と言っても、キリが無いですよね、これ。
「例えば、どんな強烈な地震にも耐えられる完璧な建物は無理だとしても、避難訓練とかで備えておくのは決して無駄じゃ無い、って感じかなって」
こちらの心構え次第ってことですね。
「つまりはいつも通り、家族や友人のためにみんなで協力して頑張っちゃおうってこと」
「ロイさんの受け売りですけどね」
……ありがとうございます、カミスさん。
やっぱりカミス師匠って呼んだ方が……
「やめてくださいよぅ、最近のサイリさんは、どっちかって言うとアランさんの御弟子さんなんじゃないかって、みんな噂してますよ」
それだけは勘弁してくださいよぅ。
いや、アランさんにも見習うべき点がいっぱいあるってことは重々承知してますけど、師匠なんて呼んじゃうとうちのみんなからのまなざしがざしざししちゃうんですよぅ。
「というわけで僕たちは、家族友人のための備えと、特に風評被害対策も忘れずにってことで」
しかと心得ましたっ。
本当に頼りになるお人なのです。
ありがとうございます、カミス大師匠。




