表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/17

12 解決


『システマ』は我が家に到着。



「サイリ君たちは、今はゆっくり休んで」


 とのロイさんのお言葉と共に、


 皆さんは『ゲートルーム』でご帰還。


 本当にありがとうございました。




 プリナさん、ナルン、心配かけてごめんね。


 そしてようやく目覚めたフィナさんは……きょとん顔。


 あの騒動、全く気付いていなかったそうです。


 まあ、フィナさんが怖い思いをしなくて済んで良かった、かな。



 日暮れと共に、全力で戻って来たスーミャとイリーシャさんが到着。


 ちょうど起きてきたフィグミさんにも、いっしょに事情説明。



 それから、ちょっといつもと違う雰囲気の団らん。


 そして、みんなそろって、居間で、ざこ寝。


 結界の付与を外すのは、明日で良いかな……



 ……



 その後、いろいろと判明しました。


 盗賊団の男は、肩書きこそ"リーダー"だったけど、実質単独犯だったこと。


 年配の学者さんの方は脅されてやむを得ず協力していたこと。


 つまりは、今回の件はこれでひと段落したってこと。



 以下は、ルシェリさんから聞いた、今回の事件の経緯です。



 男が率いていた盗賊団は、昔はキルヴァニア王国内でそれなりに有名だったそうですが、"ファミリー"との抗争で結構以前に壊滅していたそうです。


 再起を図った男は資金集めを始め、自身の固有スキル"完全隠密"を活かして泥棒に精を出します。


 そんなある日、裏社会で耳にした噂話、


『とある学者先生が古代王国の秘宝を持ってるらしい』


 隠遁生活していた学者先生の家に忍び込んだ男は、先生を脅して秘宝のことを聞き出しました。



『禁忌に誘う重魔封印の魔導カーペット』


 学者先生が若い頃に入手した、古代王国の遺跡から発掘されたとされる魔法の絨毯。


 現代では分析すら不可能な素材と再現不能な特殊な織り方で作られたその絨毯。


 大小様々な模様はそれ自体が織り込まれた魔法陣であり、学者先生が解析出来たのは『飛行』の魔法陣のみ。


 全ての魔法陣を解き明かした者は古代王国の大いなる叡智と秘宝を得るだろう、と聞いた男は大発奮。


 学者先生を後押しして絨毯の謎を解明することを決意。


 なのですが、残念ながら"全て解き明かす"のは物理的に不可能。


 なぜなら、絨毯は破れていて不完全なモノでした。


 発掘された際の盗掘者同士の仲間割れで切り取られた一部を探して、男と学者先生は捜索の旅に。


 男の裏社会での情報網と学者先生の専門家の連絡網、


 ついに突き止めた絨毯の切れ端の行き先は、リグラルト王国のヴェルクリの街にある、とある骨董屋。


 しかし、残念ながらタッチの差で遅かった。


 すぐに、購入したワラバスさんを追ってロイさんの村へ。


 夜半、ワラバスさんの家に忍び込んで家探しまでしたけど見つからず、


 村の奥さまたちの井戸端会議を盗み聞きしてなんとか突き止めた絨毯の行き先は、村長さんのお宅。


 ですが、男は大弱り。


 なにせこの村の村長さんことロイさんは、裏社会では大変な有名人。


 どんな組織も、たとえ国軍でも、絶対に手を出してはいけないと言われているアンタッチャブルな場所、それがロイさんのお宅。


 そして、お屋敷の敷地内で呑気にぷかぷか浮いてるアレがたぶん目的のブツ。


 学者先生のスキル"秘宝探査"で、しっかりと現物確認も成功。


 悔しい思いをしていた男ですが、ブツが屋敷外に持ち出されるのを目撃。


 井戸端会議から行き先の見当をつけて、追跡開始。


 エルサニア大森林上空を目的地まで、魔法の絨毯でひとっ飛び、


 目的地の"若仙人"宅に上空からこっそり近付くと、


 なんと、目の前にはぷかぷか飛んでるアレが!


 慌てて引っつかんで、学者先生が以前使っていた研究所のあるケストーネ砂丘に向かって、魔法の絨毯、全速力。


 以下は、ご存知の通り。




 要するに『シミージュ・改』、っていうか魔法の絨毯の切れ端がお目当ての泥棒たちに、フィナさんが巻き込まれた形。


 うん、フィナさんがターゲットじゃ無かったことにひと安心、かな。


 そして、あのヨラシュネイアさんが学者先生のお弟子さんだったことに、ちょっとびっくり。




「それで、男たちの処分の件なのですが……」


 ルシェリさんたち巡回司法官の方々がきっちりケリをつけてくれるなら、僕たちからはなにも言うことはありません。



「…‥ありがとうございます、サイリさん」



 ……なんだかやっぱり、ルシェリさんたちの中では、僕はジェノサイド"キレ仙人"なのかなって、少し悲しくなります。




「それで、私どものお預かりしている魔導具の方は……」


 おっとそうだ、『シミージュ・改』、どうしよう。


 フィナさんは、どうします?



「絨毯はどうでも良いから、フィグミさんお気に入りの編みカゴだけでも返してほしいな」


 よろしいですか、ルシェリさん。



「分かりました、責任を持ってこちらにお届けします」


 ルシェリさん、にっこり。




 今回の件もいろいろアレだったけど、久しぶりにルシェリさんの笑顔が見られたからヨシッ、かな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ