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太宰府あやかし専用ごはん処  作者: 月原 裕
3/16

3. 太宰府天満宮参道

 太宰府駅を降りると、人がたくさんいる。さすが観光地だ。近くのお店で着物を貸してくれるのか着物姿の人とたくさんすれ違った。アイスクリーム、団子、お饅頭におせんべい、おにぎりまで持って食べている物が様々で面白いと思う。


「美弥様は、太宰府初めてでしょうか?」

「いいえ、一度、祖母と来たことがあります」

「すみません……」


 祖母の話題になったからなのかいきなり謝られてしまった。


「楽しい思い出なので」

「そうですか。よかったです。このお店で梅ヶ枝餅を買いましょう」


 鳥居のすぐ隣のお店で止まると列に並び、梅ヶ枝餅を買う。

 正確に機械のようにお店の人が表裏をきちんと焼き、あんこが入ったお餅が焼きあがる。十七日は古代米、二十五日はよもぎが入ったお餅が売られる。

 今日は二十八日、よもぎの日を目指して来るべきだった。年間十二回のチャンスしかない。その貴重な一回を無駄にしてしまった気になる。

 目の前で梅ヶ枝餅が手早くラッピングされていく。その手際の良さに見入ってしまう。梅のマークのシールが貼られて包装が終わる。


「少し持っていてもらえますか?」

「はい」


 手を伸ばして、受け取るとほんのりと温かい。暦の上では春。春と呼ぶにはまだ早いこの季節に温かさはうれしい。

 如月という名前が妙に懐かしかったわけがわかった。和風月名で如月は二月を指す。今月は彼の苗字の月だ。名残惜しく今月が過ぎゆく。今日は二月最後の日、この日に出会えてよかったと思う。

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