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「政宗はんはいらっしゃらなかったのかえ?」
「政宗はちょっと留守ですね。まゆらさん、今日は申し訳ありませんでしたね」
「ふうん。この子が夏屋敷家のお嬢様? だから、夏が来たのね。いきなりだったから、みんな大慌てで夏の準備を始めたわ」
まゆらは団扇を優雅に仰いでいるが、この部屋は少し寒いくらいにクーラーがきいている。
「夏屋敷家って何でしょうか?」
「あれ? 知らなかったの? 如月はん、言わずに連れてきた? いけないお方」
如月を見つめるとまゆらは目を細めて、投げキッスをする。




