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呪い研ぎの研ぎ師  作者: 真打
第七章 雷閃流継承者
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7.4.呪いについて


「邪神からの賜りもの」


 何処からどう聞いても不吉の塊でしかない言葉を聞いて、テールはぞっとする。

 そんなもの誰も貰いたくはないだろう。


 だがこれは呪いだ。

 強制的に授けられるものであり、内容は邪神本人が自由に決めることができるという陰湿さを有している。

 これが使用され、彼らは呪われた。


「元より武器に呪いをかけてこの世界に連れて来たんだ。彼らの魂は武器に閉じ込められていて、その呪いを解かない限り解放されることはない。……主に呪いをかけられたのは木幕、レミ、スゥ。そしてナリデアリアが抱えていた十二人の魂と……木幕が関わった六百年前のこの世界の人々」


 真面目な表情で淡々と答えていくナイアは、指でその人数を数えながらそう教えてくれた。

 一体どれだけの人物がその呪いを掛けられているというのだろうか。

 彼らは全員“テールを殺す”ことを目的として顕現し、木幕の死を阻止しようと襲い掛かってくる。

 藤雪万から教えてもらったことは、本当に間違いのないものだったらしい。


 どうしてそんな呪いをかけたのかも、テールは聞いていた。

 負けるのが認められず、死ぬのであれば最大限の嫌がらせを木幕とこの世界にしてやろうと、自らが持てる最大の呪いを彼らに振りかけたのだ。

 神だから温厚な心を持っているわけではない。

 彼らも人間と同様、怒ったり恨んだり、嫉妬したり認められなかったりするのだ。


「だけどね……テール君。君の研ぎの技術は確かに木幕たち十二人とレミ、スゥを救える。でも……他の呪われた人たちは……救えないんだ」

「え」


 苦々しい表情をしながらそう口にしたナイアの言葉に、テールは目を見開いた。

 テールが持っている研ぎ師スキルは、武器の呪いを研いで解くもの。

 武器に魂が捕らわれているので、藤雪万たち十二名も武器を研ぐことで本当の意味で解放することができる。


 しかし、木幕たちが関わったこの世界の人間は、魂自体が呪われてしまっているのだ。

 それに抵抗できる人物はまったくと言っていいほどおらず、確実に襲い掛かってくるだろう。

 だが彼らを解放する方法は一つだけある。


 小さくため息をついたナイアは、重い口を開けてその方法をテールに伝えた。


「もう一度、殺すこと」

「……れ、霊体を……? 魂を、ですか?」

「君たちなら、斬ることができる。だけど斬られた魂は、もう二度と蘇らない。つまり……完全な死を意味するんだ」


 死者は、輪廻転生を繰り返す。

 だが魂自体が消失してしまえば、その役目を全うすることができずに本当の終わりを告げることになる。

 生まれ変われなくなる、来世を迎えられなくなる、ということになるのだ。


 だが、どうすることもできない。

 魂自身を呪われた彼らに自分たちができる事は、その呪いを解くために魂を斬ることだけ。


「私たちでも、こればかりはどうしようもなかった。木幕たちは魂が解放されて元の世界へと戻り、また生まれ変わることができるだろうけど……。この世界の人たちは、無理だった」

「神様でも……できないことがあるんですね……」

「フフ、神様は万能ではないからね。だけどテール君。ナリデリアの魂は呪いにまだこびりついている。あれを何とかしない限り、また復活するかもしれない。だから……こんなことを人の子に頼むのは神様として情けない限りだけど……君たちにしかできないんだ」


 ナイアがそっと近づき、優しくテールの肩に片手を置いた。

 中腰になって目線を合わせ、真剣な顔つきで口を開く。


「木幕たち……二十四人。そしてレミ、スゥの呪いを、解いてやって欲しい。それと、呪われたこの世界の人間の魂を、解放して欲しい」


 ずいぶんと多い注文であることは自分自身が一番理解している事なのだが、神は現世に干渉することができないのだ。

 だからこうして、全てを解決する力を持っているテールに頼むしかない。

 他の神からこんな姿を見られたら何と言われるだろうか?

 しかしナイアは何を言われたとしても気にしない。

 この世界を守るための行動であるのだから、恥も後悔もするはずがないのだ。


 話を聞いたテールは、小さく頷いた。

 元より覚悟していたことに、少し要素が追加されただけだ。

 自分しかできない事に加え、神様から直々に頼みごとをされたのであれば断れるわけがない。


「大丈夫ですナイア様。戦いには貢献できないですけど、呪いを解くのは任せてください」

「ありがとう、テール君」


 その言葉を聞いて、ナイアはとても安心したような顔をして礼を口にした。

 人間と深く関わりのあるナイアだからこそ、こうしてすっと言葉が出てくるのかもしれない。


 テールの優しさをかみしめたあと、本を開く。

 ここにテールを呼んだ本当の理由はこっちだ。

 大量のページを捲り、彼が昔から欲しがっていた一つのスキルを授けることにする。

 例外中の例外ではあるが、カテルマリアもこの事を許してくれたのだし、なによりテールにこのスキルは必要だ。


「ではテール君。長らく待たせてしまったけど、君に剣術スキルを授けよう」

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真打Twitter(Twitter) 侍の敵討ち(侍の敵討ち)
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