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変化

地球式に数えたら、おそらく一歳になったと思われます。

体力の無い赤子はしょっちゅう寝てしまう生き物なので、数え間違いがあるかもしれませんが、まあ、許容範囲でしょう。

この一年(仮)で、ハイハイをマスターし、現在は掴まり立ちの練習の真っ最中。

難を言えば、掴まる物が自然物しかないので、こう、一本の大木をグルグル回るような感じでしか練習出来ませんが、まあ、いいでしょう。

寝返りが打てるようになってから、もう少し周囲を認識出来るようになりましたが、寝転がっていた時と印象は変わりませんでしたね、森の中です、森の中。

相変わらず飲まず食わずですが、痩せ細るどころか、おそらく標準よりちょっと小さくて細い、くらいで済んでいて、もうびっくりし疲れて現状放置状態です。

寝返りが上手になると、少しずつハイハイを覚えました。

草が生えているとはいえむき出しの地面の上を移動するので、石やら木の破片やらで多少の怪我は覚悟していたのですが、怪我どころか産着ーかなりサイズが大きかったらしく、まだ当分は着ていられますーが汚れたり破れたりする気配がありません。

もうびっくりし疲れて放置状態です、パートII。

そうしてやっと最近、木の幹に手を置いて支えにすれば、歩けるようになりました。

木の幹は真っ直ぐ伸びている訳ではありませんし、根本付近の太い根に躓いたりしてなかなかスムーズな歩行とはいきませんが、大進歩です。

そうして移動出来るようになると、どうやらこのポッカリと開いた円形の場所から出られない事に気付きました。

んー、何というか、結界的な?

自分も出られませんが、捕食者も入って来られないようです、薄い膜のような物があって、その外側を狼に似た何かとか、猪に似た何かとかが、時々うろうろしています。

どちらかというと自分が護られているのかもしれないと思っていたのですが、それで間違いないそうです。

……実は、それまであまりにショック過ぎてすっかり忘れていたのですが、この世界に送り出される前に、あの青年から教えられていた事が一つありました。

『一応、貴女の状態を見られるように……ええと、地球だと「ステータス」っていうのでしたか、数値化して分かり易くしておきますからね』

ただ「ステータス」と念じれば見られるのだと言われていたんですよね、うっかりうっかり。

まあ、その時に、現地の人には見えないし、現地の人に数値化したステータスなんて代物はありませんからね、とも言われました。

思いの外楽しい時間を過ごしたのでお礼です、とおっしゃっていたので、通常はそういう仕様ではないのでしょうか、分かりかねますが、まあいいでしょう。

という訳で、ステータスです。

こんな感じでした。



名前:名無し(捨て子)

年齢:一歳のはず、確認中

体力:年齢の割にはあるかもしれない

魔力:ちょっと多めにあるようだ

知力:普通よりちょっと上?大丈夫、今から今から

運 :超幸運体質、ちょっとやそっとじゃ不幸の方

が逃げていく

状態:良好。周囲の魔素を吸収して食事の代わりにしているようだ

サポートセンター:まあ、暫くのんびり過ごしたら?



突っ込みどころ満載です、数値じゃなかったのかな?おかしいな。

初めて見た時にそう思ったら、表記にちょっと変化があった。



サポートセンター(以後略称、サポ):現在数値化処理中。もうちょっとかかるので、そこで体力作りしながらお待ち頂いたら良いと思います。



……処理遅いな!とか、突っ込み待ちなのでしょうか。

というか、返事するのか。

サポートセンターって何だとか、知力の表記にガックリしたり、運の表記に「は?不幸が逃げていくって何だ?不幸が逃げた上での現状なの?」と呆気にとられたりしたのは、記憶に新しい。

そして、やっと餓死しない理由が判明したので、まあ、良しとしましょう(遠い目)。

更にはサポートセンターの説明により、前述の結界らしき物が、自分を保護する為の結界で間違いないのだと語ってくれました。

「流浪者」が早世してしまわないように、この結界は三年間標準装備なのだそうです。

基本は本人に薄い膜のようにぴったりと沿っているので分からないのだそうですが、自分の場合は少々特殊で、最低限の生活範囲を囲っているのだそうです。

まあ、理由は分からないけれど、結界を発生させる道具みたいなものも傍にあったらしいですが、流石に長期の運用に保つような耐久性ではなかったそうで既に壊れているそうです、「流浪者」で良かったですね、との事、へぇ……。

大人とか保護者が一人もいないからでしょうね…結界の範囲内に食べられる野草だとかベリー系の実などがありますよ、そろそろ口にしてみてもいいかもしれません。

ちなみに、一世を風靡したライトノベルズにありがちな「スキル」だとかいう特殊技能の表記はありません。

そもそも「スキル」とはゲーム上で分かり易くしてあるだけの代物なので、普通に生活していたらそんなもの分かる訳ないでしょう、とは青年の弁。

簡単な所で言うと「料理」一つとっても、どれだけ修行しても、美味い不味い、上手下手とは分かっても、

「この人の料理レベルは○○(数字)だ」

などとは言わないだろう、そういう事である。

ちなみに、この汚れない・破れない産着は、青年からの支給品らしい。

いわく、

『今まで色々な人生を歩いた「流浪者」だけど、物心つく前に孤児院とか教会ではなくほぼ人跡未踏の場所へ捨てられたのは貴女が初めて』

だそうで、お情けらしい、ありがとうございます……。

まあ過剰な干渉は規律違反になるそうで、この産着程度がギリギリグレーゾーンなのだそうだ、とても助かっております、ありがとうございます。

流石に誰も来なくても、裸族にはなりたくないので。

という訳で、当面食料の心配も、捕食者に襲われる心配も必要ないようなので、のんびり体力作り中なのです。

代わり映えのない景色の中で、自分だけがちょっとずつ育っていっています。

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