3話 3-1
感染し、それでもなお、仲間のゾンビを葬った人形は、とある場所で、誰かを待っていた。
しばらくして、その人物は、角の向こう、人形の目からは見えない場所で、口を開いた。
「お待たせ、盟主さん」
「、、、」
「今日はどんな情報が欲しいんだい?」
そう、人形が待っていたのは、この隔離された区域にただ1人の、情報屋。
名前も不明、当然、情報の入手ルートも不明。
情報料も安くはないが、情報屋が欲しているのは、金ではなく……
「と、その前に、ちゃんと"持ってる"よね?」
人形はその問いかけに、角の向こうに向かって、一つの袋を差し出した。
「お、あるじゃーん、まいどありぃ」
情報量は袋を受け取ると、話しはじめた。
「新情報は特にないけど、まぁ、盟主さんが欲しがってる情報はほぼ持ち合わせてると思うよ、この量なら、なんでも教えるよー」
「、、、どっかに、研究施設があるだろ」
「……あるよ、このパニックについて知ってる施設が。 でも、安全じゃないよ、あそこの連中は、こっちの人間を"現地民"って呼んで、近付いたり、施設の外で見つかっても、殺されたり、連れて行かれたりするんだ」
「、、、場所を教えろ」
「……どうして?」
「、、、黙って教えろ、ソレが仕事だろうが」
「……? ねぇ、盟主さん、どうしたの?なんか余所余所しいし、口が悪いよ?」
「、、、別に」
「……そっか、場所はここからそう遠くないよ、地図にマークするよ、でも、仕入れた情報が正しければ、最近、施設の管理者と、何十人って兵士が、施設内にいるよ」
情報屋はそう言って、人形に、施設の場所をペンでマークした地図を渡す。
「、、、」
人形はその場を歩き去る。
「……盟主さん、大丈夫かな」
情報屋はそう言うと、袋の中身を一つ取り出し、口に運ぶ。
「……うん、不味いや」