2話
駐車場から鳴り響く、突然の轟音。
「ッ?!!なんだ?!!」
「ドウケ!!あれ!!!」
仲間達は集合していた屋上から駐車場を確認する。
「、、、なんだ、、、アレ」
アスファルトを裂き、地面から伸びる、異形な腕。
腕だけで、軽く3m以上はある。
太く、ワイヤーが何本も渦巻いたような腕がぐるぐると、アスファルトを抉り出し、徐々に地上へと這い出る。
「ッッッ、、、なんだよ、、、アイツ、、、どっから、、、?!」
「ドウケ!」
仲間達は即座に武装を手に取り、屋上を飛び出し、下へ降りていく。
「、、、(可笑しい、普通のゾンビならまず地面からなんて出て来れねえ、、、なんなんだ、、、アレ、、、ゾンビなのか、、、?!)」
「ドウケ!行こう!!」
「あ、ああ!!」
人形と少女も、階段を駆け下り、外へ飛び出す。
怪物は既に上半身が飛び出しており、このまま全身が出れば、軽く5mは越えようかとしている程の巨体だった。
「まだ足は出てない!!ココで仕留めるぞ!!!」
人形の声で、仲間が連携を取り、怪物に立ち向かう。
飛び、撃ち、斬る。
統率の取れた連携、並外れた戦闘能力。
いつもと同じように、勝てると思っていた。
ただ大きいだけで、倒せると思っていた。
しかし。
「うわああぁあああ!!!」
「ッッッ!!!」
人形と、運転手の少女が、剛腕により吹き飛ばされると同時に、怪物の周りに煙が立ち込める。
そして、立ち込める煙の中から聞こえる...
「ぎゃあぁああああ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ!!!!!」
残りの仲間達の、絶叫、断末魔。
駐車場に響き渡る、叫び声と、何かが潰れる音。
「ぎっ...!!ひゅ...ぁ........ぇ.........」
「い゛ゃ゛い゛や゛い゛や゛い゛ゃ゛あ゛あ゛!!!」
「ぁ...どう...け...たすけ...いか...」
「ッッッッッッ!!!!!!」
側で震える少女を見て、人形は青い刀を握り締めると、勢いよく駆け出した。
「っっああぁあああああぁあぁぁああああ!!」
煙の中へ飛び込み、既に全身が出ている怪物の足に斬りかかる。
しかし、その足に、傷をつける事はできなかった。
固い。
異常な程に。
依然、煙の中では、何かが潰れる音、引きずり、叩きつけ、千切れる音がする。
仲間の声も、もう、聴こえることはなかった。
「、、、うそ、、、だろ、、、?」
煙から飛び出し、前を見据える人形の目に飛び込んできたものは、ゾンビと化した、体がぐちゃぐちゃになった、仲間達だった。