3話 『サクラソウ』
あらすじ
ついに中学生となった星空は道中いろいろありながらも学校に到着し始業式が始まった。
新一年生紹介の返事はうまくいったものの、ハンカチを拾おうとしたら椅子から崩れ落ちてしまう
失態をしてしまう、、
椅子から落ちたことをいったん忘れようと深く深呼吸をし、次のプログラムを確認した。
次は新入生代表挨拶だそうだ。今は休憩時間である。
そういえば学校について話したのはあのハンカチを落とした女の子だけだ。しかも恥をさらして、、
更にあの姿を見た母がどのような顔をしていたか想像したくない。きっとまだ入学式だし親と子なんて分からないでしょと思った。この二つを考えていたら虚しくなってきた。あのことを忘れようと決めた側からまた思い出してしまったからなのだろうか。
そんなことを考えていると新入生代表挨拶の時間が来た。
新入生代表は津田星花音というらしい。実際に話したことももちろんない。
中学校は一つの地区だけでなく他の地区からも生徒が来る。つまり生徒数が増えるというわけだ。
もしかしたら新入生代表は美人さんかも、なんていう想像を膨らませていた。
そんなことを考えていると準備が完了したらしい。先生が星花音の名を呼ぶ。
「はい」
という可愛らしく、そして落ち着きのある声が聞こえた。聞こえたのだ。
その瞬間星空に衝撃が走った。今までに経験したことのないことだった。
突然顔があつくなった。これは顔が赤くなったのか。
人の顔を見て突然顔が赤くなるなど一度もなったことがない。
これはなんだ。
不安という感情が襲いかかってきた。しかしそれよりも強く、期待。期待。期待という感情が星空の体を駆け抜ける。
そしてそれが正解かのように彼女を見た。
彼女の髪は長く綺麗で、まるで絹糸のような黒髪だった。
そして彼女の目は透き通るほど綺麗な黒い瞳をしていた。
そんな彼女をずっと見ていることすら忘れてしまうほど星空は見とれていた。
『この瞬間からだろうか。止まっていた針が動き始めたのは。』