悪役スチルフルコンプした公爵令嬢は大好きな悪戯が止められない
寺田と如月
涙はあなたに似合わなくてよ。
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あの二人とイケメンさんが帰って、俺も帰ろうとしたんだけどさー。
いつまでもちよっちが泣いてるんだよね。ぐずぐずぐずぐず泣いて、ぶつくさごめんなさいごめんなさいって呟いてる訳よ。まるでこの世の終わりみたいな顔して。
俺さー恋愛とか嫌いだけど遊ぶの大好きで、頭もわりーけど遊び友達だけは見捨てないんだよねー。だから目の前の女の子に声かけちゃった訳よ。柄にもなく。
「ちよっちー。なんか俺に言うことあるよねー?」
「ひっく…うっ…ご…ごめんなさい…寺田くんにも嘘ついて…ごめんなさい…!!」
「いいよー許してあげる!」
「…え?」
「いやーそこで戸惑ったりしたらマジギレだったけどさー。ちゃんとちよっちわかってんじゃーん!友達がちゃんと謝ったらちゃんと許してあげないとねー」
「とも…だち…!?で、でも、私寺田くんのことをだまし――」
「だからーそれを許してあげるんだって。しかしなんだねーよく泣くね!この世の終わりみたいじゃーん!馬鹿みたいだねーまじでまじで」
「う…っ!」
「長月くんだっけ?彼も見る目ないよねー」
「…?」
「だってそうでしょー?こーんなに一緒に遊んでて楽しい子を振るなんて見る目ないよー!もう少し自分を知るべきじゃなーい?」
「自分を…知る?」
そうだよーちよっち。何もあいつが君にとって一番いい男とは限らないんだよー。
「彼さー自分がつまんないことを自覚した風だけどさーやっぱりつまんないままだと思うよー。遥ちゃんだっけ?あの子と付き合うならさー彼の方からちよっちに連絡してキチンと振るべきなんだよねー。だって彼、ちよっちにちゃんと別れようって言う前に遥ちゃんと付き合いだしたんでしょー?恋人じゃない!きりっ!みたいに言ってたけどさーあれもちよっちじゃなくて俺に言ってたんだよー?」
「…あっ…」
俺さー馬鹿だけどさー不誠実な正義感って好きじゃないんだよねー。きっと彼と遊んでもつまんないんだろうなー。
「ちよっちにももちろん非はあるけどねー?俺も彼も騙してたんだしねー。でもちよっちだけが不誠実ってわけでもないと思うよー?彼が全部正しいとか考えるのは良くないよー?」
「…っ!?」
うーん!言っててよくわかんなくなってきちゃったー!
やっぱ考えるの苦手なんだよねー!
「て、寺田くん…私…寺田くんとまた遊びたい。家で一人ぼっちなのは、もう嫌なの。寺田くんといると、すごく楽しくて、寂しくないんだ」
「ふふーん!そーでしょー?俺ってば遊びに関してはプロよプロ!でもごめんねー君にピアスは似合わなかったね!あれは捨てちゃってね!次からは気をつけるよー!」
「…ふふっ!今度は私からプレゼントしてあげるね!」
「そりゃいいやー!さてとー暗くなる前にちょっとだけ遊ぼうよー!ちよっちん家でブラスマやろー!」
「うん!」
おばあちゃんの遠い遠いご先祖様がねー高笑いと一緒にこんな言葉を残したらしいんだよー。
「楽しく遊んで、たくさん笑うことこそが、生きる力を与えてくれるんだ」てさ。俺ってばこの言葉大好きなんだー♪
「さーちよっちー!いっぱい遊んだらたくさん食べてたくさん寝て!明日も明後日もめいいっぱい遊ぼうねー!きっといっぱい笑った後なら、もっと楽しいものも見えてくると思うからさー!」
「うん!ありがとう、寺田くん!これからも一緒にあそぼうね!」
空はもうすぐ夕焼けかー。
でもきっと明日はいい天気だねー!
明日は何をして遊ぼうかなー♪
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それでこそ私の子孫ですわ!おーーほほほほほほ!!!