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マッチングアプリ活動報告書  作者: タスマニアでびる
4/4

一人目


 「いいね」が届きました。

そんなメールが届いたのはベアーズを初めて半月が過ぎたころだろうか。登録時のメールアドレスへ運営からメールが届いたのは。

 すぐさまログインして相手のプロフィールを確認したのを覚えている。その後こちらから「ありがとう」を押してマッチングが成立。確かこの女性は同県ではなく二つ離れた県からの「いいね」だったのでよく覚えている。


 そんな場所からのいいねに反応したのは女性のプロフィールに「仕事柄引越しは可能です」というのと、丁度お盆の時期に友人に会いに行く場所と被ったのが理由だった。


 少しすると女性の方から「マッチングありがとうございます」という文章が送られてきたのでこちらも定形文と軽い質問をしたと思う。そこからアプリ内でメッセージのやり取りを行い、実際に会う約束まで取り付けた。

 大抵のアプリは最初のメッセージでの電話番号やラインのやり取りは禁止されていることがある。

 でも二通目からは好きに交換できるので、チャラいと思われる覚悟があるならその一手もありかと。(最初のメッセージは運営の審査があるので)


 そんなこんなで私は友達に会いに行くついでに女性と会うという体で新幹線に乗り込んだ。勿論逆である。


 慣れない土地なので待ち合わせ場所には一時間前には到着。目印のオブジェを確認して安堵した。

そこからはもうドキドキだ。女性のプロフィール写真は加工されていないと思うからそこまで違う人が来ることもないだろうとか、どこか人気の少ないカフェに連れていかれて実はマルチの勧誘とか? そもそも本当に来るのだろうかと夏の暑さも相まって嫌な汗をかき始める。


 しかし時間というのは進むものであり、いつしか集合時刻の十分前になっていた。

念のためメッセージで「〇色の服を着てます」と送っておく。そうこうしていると一人の女性がキョロキョロしながら待ち合わせ場所に現れた。

 「写真より可愛い!」そう思ったのも束の間、彼氏が現れどこかへ去って行った。こんな暑い日に手を繋いで近距離出歩くとか正気の沙汰じゃないと自分に言い聞かせて平静を保つのがいっぱいだ。


「Sさんですか?」


 いつの間に近くに来ていたのか声のする方へ視線を向けると写真の女性が不安そうな顔で私に問いかけてきた。


「初めましてSです。Aさんですね。今日は宜しくお願いします」


 なんとか返事を返すことに成功した私は、実際にアプリで女性に会えたことで満足していた。

そこから女性のお薦めのカフェが近くにあるからとついて行くことに。正直道中何を離したかは覚えてない。歩いて五分程で女性のお薦めのカフェに到着。五分と言っても夏の炎天下の中歩けばお互いそれなりに汗をかく。入店と同時に「「涼しー」」と自然と零れた言葉が重なった。相性抜群である。


 お互いの注文を終え会計へ……


「別々で」


 一瞬なにか嫌な間があったかなと今にして思うが女性からの提案で別会計。この時の私は「ちゃんと自分の分は自分で払うなんていい人だな」くらいにしか考えていなかった。


 後はお互いの共通の趣味や仕事の話で盛り上がって?一時間半くらいカフェで話したと思う。この時はまだ三時くらいなので、お互い猫好きということもあり近くの猫カフェへ行く流れに。


 猫カフェに到着するも想像以上に込んでて三十分くらい店の椅子に座って待つことに。この時も猫の写真が壁に貼っていたので名前や特徴を見ながら過ごせて気が付けば順番が回ってきた。

 最初はお互い隣に座って色んな猫を見つけては盛り上がっていた……と思うが、気が付けばお互いが好きに動いて猫と戯れる時間の方が多かったかもしれない。一時間という短い時間を猫カフェで過ごした私達はその足で駅に向かい解散した。この時は五時前後だったと。


「それじゃ今日はありがとうございました」


 もともと女性にも伝えていたのだが夕方からは友人とご飯に行く予定だったので本日は解散の流れに。


「よかったらライン交換しませんか?」


 これは女性側からの提案だ。勿論断る理由もないのでラインを交換して駅のホームで分かれることに。

「またね」とお互い手を軽く振り、女性の姿は流れる人ごみへと紛れていった。


「いやー、本当に出会えるもんだな」


 私は稀に見るハイテンションで今度は友人との待ち合わせ場所へと足を進めたのだ。

因みに友人は少し遅れるとのことだったので、先程交換したばかりのラインへ「今日はありがとうございました」と送ると、向こうからも直ぐに返事が在り軽くやり取りをして終わる。


 その日の夜は久しぶりに会った友人、久しぶりに女性と出かけたこと、普段飲まないお酒を飲んだことでテンションも高かった。


「俺と会う前は何してたん?」


 私のテンションの高さが珍しかったのか友人が訪ねてきたので、今日あった出来事を多分三割マシくらいで話したと思う。勿論いかに私が女性と楽しく話をしたかということを。

 今になって反省する。私がいかに楽しく話をしても無駄な行為であることを。女性側がいかに楽しく話が出来たが重要なことを知るのはもう少し先の話である。


 しかし! そこは私の友人である。


「へー、聞く感じ脈ありそうだなそれ」


 これである。本音かどうかはわからないが煽てりゃ県も跨ぐのが私だ。気分よくホテルへ帰り爆睡。


 次の日は勿論女性とのラインだ。昨日の事や、どこどこへ行こうと計画していること、ランチに何を食べた等他愛もないことでラインは続く。

 そうこうしている内に地元へ帰った私は部屋でくつろぎながら返信を待った。


 



 ……コケコッコー朝ですよ。


 これが所謂「未読スルー」か。女性とのラインを開くとそこにはある筈の既読の文字が無い。いや、あっても返事が無ければ同じことか。確か女性から「明日は〇〇へ友達といきます」ってあったから「〇〇ですか! 気になってた場所なんですよね。また感想聞かせて下さい」みたいな文を最後に連絡は途絶えた。


「マッチングアプリなんてくそだな。有料会員を辞めよう」


 この言葉を最後に私の記念すべき第一回目の邂逅を終了とする。


 最後に注意事項ですが有料会員になると更新は自動更新になるので、更新日一日前には退会しましょう。

もしこれが遅れると同じプランの料金が自動で引き落としされます。アプリの評価で低評価をされている方は大体これですね。「勝手に更新された。不親切だ」等のレビューが目につきます。

 まあ運営から一応後進のメールは届くんですが忘れちゃいますよね。

 あと、「登録した当初は足跡が沢山あったが、少しすると足跡すらつかなくなる」等の低評価もちらほら見ます。これは登録したての時はアプリに「新規登録者」として表示されるので異性の目につきやすいからでしょうか。あとは写真のチョイスが悪ければ女性はプロフィールすら見てくれません。そもそも検索項目で「年収〇〇〇万円以上」とかで調べている方もおられるので表示すらされないなんてことも発生します。



 マッチングアプリを始めると自分の市場価値を突き付けられるのでなかなかメンタル削られます(笑)


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