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Alter World Online ~26歳出会いたい系女子はVRMMOで女子力を磨きます~  作者: 半開き
3人目 考察班所属後輩系インテリ眼鏡君
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49.作るもの作られるもの

 いくら私でもそれがデートのお誘いじゃないってことくらいわかるよ。

 まぁデートスポットに誘ってもらえるのは、どんな理由であれ嬉しいものだ。


「私は構わないよ。アヤナもいいよね」

「問題ありません」

「ではイベント期間中にまた連絡させてもらいます」

 といったところで次の約束をし、解散することとなった。


 シューくんに見送られ、アトリエ・パペットに戻る道中。

「冷静なふりをしていますが、口元がにやけてましたよ」

 貴重なクリスマスの予定だよ!寂しいクリスマスを覚悟していた身にとっては、嬉しいお誘いなのだ。

 さて、何着ていこっかなー。

「せっかくだからアヤナにもクリスマス用に服用意してあげようか?」

「トナカイのコスプレには興味があります」


 いや、何故。


操者(マスター)にはサンタクロースのコスプレをして頂きたく」

 あ、ミニスカサンタってこと?こっちの私ならいけなくもない?

「いえ、おじいさん(ホンモノ)の方でお願いしたいんですが」


 嫌だよ!


 △▼△▼△▼△▼△▼△▼△


 日曜日。

 昨日は結局深夜まで掛かってしまったが、ゆっくり惰眠を貪ってもいられない。今日も朝から活動開始だ。


 今日は今まで後回しにしていたことをしていく予定。

 といってもまずはアヤナ用の武器作成からなんだけどね。昨日の試験で属性武器が必要ってわかったし、早いところ用意してあげようと思ったのだ。

 というわけでいつも通りリーオンさんの工房をお借りしよう。


「リーオンさん、お邪魔しまーす」

「といってもおりませんが」

 日曜の朝といったら、スペシャルヒーロータイムだもんね。

 多分今頃アキトくんと一緒に見てるんだろう。その後はヒーローごっことかするのかな?


 工房の使用については昨日のうちに許可を取っておいた。

 一瞬渋られたが、銃をちらつかせたら二つ返事でオッケーしてくれた。ちょろい。

 まぁ銃については用意しているのは本当だ。ただリーオンさんが望んでいるものと合致しているかは微妙だが。


 侵入者拘束用セキュリティガン

 警備ロボットが使用している、侵入者・不審者対策用装備を改造したもの。

 殺傷能力は低いが、拘束力に優れている。

 攻撃+8

 効果:スタン(大)


 警備ロボットから分解したレーザーガンを修理・改造したら一応人が使えるようなものが出来た。

 拘束力に優れる、と書かれているだけあり、スタン(大)は強いが攻撃力が初心者用装備並みに低い。

 まぁこれでも一応銃だし、ダメと言われたら別の物を探してこよう。

 とりあえずリーオンさんの作業台の上にわかるように置いておく。

「ご要望の品です。お納めください、っと」

「ふっふっふ越後屋おぬしも悪よのう」

「どこで覚えてくるのそんなの」

 と聞くと、インベントリから一冊の本を出した。

「『正しい悪役ムーブの仕方』…ってナニコレ」

 黒い表紙に軽いタッチで描かれているその本は、絵本なのか。

 なんでこの世界観でこんなものが、と思って奥付を見てみるとどうやらプレイヤーメイドらしかった。

「ロールプレイヤー向けの指南書的な本ってこと?」

 世の中にはいろんなものを作る人がいるんだなぁ。まぁこうやって買うのがいるから需要と供給的には成り立っているのか。

 アヤナはその後も、格好いい腕の振り上げ方とか、勇者を待ち受ける魔王のポーズとかやって見せてくれたが、それを使う機会はあるのだろうか。



 さて、いつまでも遊んでる暇はない。

 私はいくつか素材を取り出して、炉の前に並べる。イプシリムレガレクスの素材や、ゴブリンロードの素材とかあとは先日リーオンさんに貰った鉱石関係もだ。

 さて、これから作っていく訳だけど。

「アヤナ的に要望ってある?やっぱり双剣?」

「そうですね。第一は双剣ですが、先日のメアリ様との戦闘で武器種を増やすのも効果的だと感じました。アヤナであれば如何なる武器も使えますので、双剣に限らず作っていただければと」

「なるほど。オッケー。じゃあ素材と相談しながら作っていくね」


 まぁとりあえずは作りやすそうなのからでいいか。

 えーっと、まずは…。

「ところで操者(マスター)

「ん?なに?」

「アヤナはやることがないので、料理の練習をしたいのですが」

「あ、そっか。私が生産している間はやることないのか。

 了解。いいよ。ドールハウスの方?」

「そうですね。連絡をいただければすぐに来ますので」

「はーい。いってらー」

 アヤナは一礼すると、ポータルを開いて出ていった。

 自動人形はマイホームの中では自律出来るんだっけか。美味しい料理が作れるようになるなら、私としては止める道理もない。

「さってと、じゃあ私もがんばるぞー!」


 △▼△▼△▼△▼△▼△▼△


 深銀の鱗流双剣

 深海御使いの鱗から作られた二対一揃えの双剣。

 刃の表面には常に深い銀色の水流が緩やかに流れている。

 攻撃+59

 効果:水属性 水抵抗軽減


 鬼帝角のエストック

 ゴブリンロードの角から作られた刺突用の剣。

 攻撃+81

 効果:土属性 弱点特攻


 レガレクサスバンテージ

 深海御使いの触覚を薄く引き伸ばし、蜘蛛糸で補強されたバンテージ。

 攻撃+45

 効果:水属性 掴み効果向上


 アルカナティックミラー『戦車・正位置』

 神秘の力を秘めたアルカナティックストーンを極限まで研磨して作られた円盾。

 表面の鏡面に映し出された戦車の効果を持つ。

 防御+56

 効果:『戦車・正位置』ノックバック軽減、遠距離攻撃軽減


 とまぁ、手持ちの素材で色々と作ってみた。

 深銀の鱗流双剣については、両手に二対で持つ双剣だ。どういう原理かはわからないが、刃の表面を常に光沢のない銀色の水が流れている。素材の割に、攻撃力が低いのは私のスキルレベルが低いからだろう。


 鬼帝角のエストックは、素材を活かした、といえば聞こえがいいが元の角に持ち手を付けてちょっと加工しただけだ。深銀の鱗流双剣で攻撃力が低くなったのを反省し、あまり手を加えないようにした結果だ。


 レガレクサスバンテージは近接格闘用にと思って作ったものだ。攻撃力は高くないが、掴んだ際のグリップ感がしっかりしているので、投げ技とかするときには使えると思う。


 そしてアルカナティックミラーだ。これは攻略サイトに作り方が載っていた。

 通称アルカナガチャ。

 ある程度のサイズのアルカナティックストーンがあれば、あとは研磨していくだけで出来るお手軽な盾。といっても必死に磨かないといつまでたっても完成しないのだが。

 ガチャと言われる要因は、出来上がるまでアルカナ効果がわからないからだ。今回は『戦車』の正位置なので割と欲しい効果が付いたと思う。『皇帝』とか『世界』がレアで、さらに映し出されるアルカナが濃くはっきりするほど効果が高くなる。欲しい効果が出るまで延々磨いている鏡職人がいるそうだ。


「ふぅ…疲れた」

 朝から作業を始めて、気付けばお昼過ぎだ。

 休憩がてらお昼ご飯を食べてこよう。


『アヤナー』

『なんでしょう』

『一度休むけど、そっちは大丈夫?』

『ドールハウス内であれば、操者(マスター)が休息中でも行動可能です』

『そっか。じゃあテキトーによろしく。また戻ってくるからさ』

『ごゆるりと』




 さて、お昼ご飯も食べたことだし、午後のログインだ。

 ちなみにお昼はあったかいお蕎麦。運動もしてないことだし、カロリーの高いものは控えないと。


『おかえりなさいませ。いくつか料理が出来たのですが、いかがですか?』

 お、それはちょうどいい。お蕎麦だけだとちょっと物足りない気分だったんだよねー。

 まぁこっちで食べたところでお腹は膨れないんだけど。膨れないからいいのか。

『おっけー。今からそっち行くよ』

 結局私がいる間に、リーオンさんがログインしてくることはなかった。なので銃と一緒にお礼の手紙を置いておく。


 私のポータルから、直接アヤナのドールハウスに飛べるように設定したから、移動は簡単だ。

 ポータルの出口は庭だ。ここも殺風景だよねー。あとでアヤナと相談して手を加えよう。


「おまたせ」

「ちょうどよい所に。駆けつけ一杯。どうぞ」

 ダイニングへと入った私に、アヤナがグラスを押し付けてくる。

 思わず受け取ってしまうが…緑色?

「なにこれ」

「アヤナ特製ディストピアの住人が飲んでいそうな栄養素しか考えていないドリンクです」

「うっわにっがまっず」

 一口飲んでみたが、とてもじゃないが飲める代物ではなかった。

 私はそれをテーブルの上に置いて、視界に入らないようにする。

「もうちょっとましなものはないの?」

「料理とは探求心だとアヤナは考えてますので」

 つまりまともなものはないってことか。

 円卓に並べられたお皿にも、名状しがたいものが盛り付けられている。

 その雪だるまみたいのは本当に食べられるの?


 とりあえず手近な椅子に腰かける。

「クレスん所のイザヤに料理を教えてもらったんじゃないの?」

「ですので基礎は完璧です」

 あーやっと理解した。つまり普通のは作れるようになったから自分なりの料理を作りたいってことか。

「いや、でも普通の料理でよくない?私、あの店のパンケーキ食べたいんだよね。作ってよ」

「面白味がないですね。生地にユーグレナでも混ぜましょうか」

 ユーグレナってミドリムシだっけ?嫌だよ。

「普通のにしてよ。クリームたっぷりのやつ」

 アヤナがしぶしぶといったようにパンケーキを作ってくれる。

 出来るんじゃん。最初から作ってよ!


「で、これ?」

「いたって普通のパンケーキですが」

 パンケーキはね。

「なんで生クリームがこんなに赤いのさ」

「コチニールを混ぜましたので」

 それって虫を原料にした赤の染色剤じゃなかたっけ?どれだけ私に虫を食べさせたいんだよ!

 まぁ食べるけど。

「ちゃんと美味しいじゃん」

 このクリームもいちごクリームだと思えばそんなに気にならないし。

 しかし私のその様子が気にいらないのか、キッチンの方から何やら持ってくる。


「やはりパンケーキも赤い方がよろしいのでは?」

 手に持つフライパンの中には、真っ赤なパンケーキ。


 それはやりすぎ。

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