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教師に課せられた選択。

是非読んでみてください。

宜しければブックマーク等もお願いします。

堀内和樹(ほりうちかずき)はただ正義感の強いバカって訳じゃない。


あいつの能力は魅力的な物ではあるが、 あいつを活かしておくことは、 クラスにとって決してメリットだけの存在ではないと確信した。


「ほら! こうやって戦わずに話し合いでも解決できる! 殺し合いなんてしなくたって話し合えば解決出来る!」


堀内がクラスに訴えかける。


腑に落ちない感じは残るが、 あいつは自分の置かれている状況を良く理解して立ち回った。

あの能力を持ちながら、 交渉がうまい堀内和樹という男はとても危険な存在だ。


これには流石に長谷川もお手上げの様子に見える。


ここで堀内和樹を止める方法。


① 学校ルールを破り殺す。

② 17時まで教室に閉じ込める。

③ 校内での戦闘禁止時間外の17時を過ぎた瞬間に殺す。


ってとこだろう……


①が1番手っ取り早いが、 ルールを破った後の罰則が分からないし、今はリスクが高すぎる。


もし魔王に殺されるのだとしたら、 初日で2人も死ぬのはキツイ……


②は情報を最小限に抑えられる。 この教室に閉じ込めれば、 能力がバレたとしてもクラス内だけで抑えられる。だが、 手を出さずに、教室内に閉じ込めることは難しいだろう。


③ これは最悪のケースだ。 これだとクラス内だけでなく、 全クラスに俺たちの能力が伝わるだろう。



俺は、 堀内を教室に17時まで閉じ込めておく事を提案しようとしたが……


「その場しのぎの話し合いじゃ〜 解決なんて出来へん、 ここで殺すべきや」


─────!!


俺よりも先に口を開いたのは、狐の様なインチキくさい顔立ちの男、 黒崎十夜(くろさき とうや)であった。


「君はまだ、 先生を殺そうと思うのかい! 」


堀内は必死で問いかける。


「とんでもない、 今、 先生を殺すなんて勿体ないやろ」


「なら! 殺すべきだなんてッ! 」


「ちゃう、 先生やない、 君をや」


───────!!!


クラスに緊張が走る。


「何を言ってるんだ? 構内での戦闘は禁止だ! 君も分かっているだろ !?」


「重々理解してるで」


「クラス内で争ってる場合じゃないだろ!」


ずっとニヤついている様な奴だが、 今のこいつは心の底から笑っているように見える。


「せやな、 けど、 君の能力は危険や」


そう言い言い放つと、 黒崎はスキップを踏むかの様に、 中谷へと近づいて行く。


「中谷くん、 確か〜剣出したりできんやろ?」


「あ、あぁ……」


流石の中谷も戸惑っている様子に見える。


「剣貸して欲しいねんけど?」


「 ──────! 」


その言葉を聞いて、 唖然とした表情を浮かべる中谷をずっと見つめる黒崎は少し不気味な感じがする。


「ええやろ? さっき手を組む言ってたやろ? 」


「それはそうだが、 君は僕から借りた剣をどうするつもりなんだい?」


キョトンっと首をかしげる黒崎。


「そりゃ、 決まってるやろ、 堀内くんを殺すんや」


中谷は正直、 分かりきった嘘をつくか、 言葉を濁して話を無かったことにするかと予想していた。


だが、 彼は正直に答えた。


あまりにも予想外であり、 最悪の回答であった。


「そうか、 なら、 剣を貸すわけにはいかない」


中谷は剣を貸す事を拒絶した。


「僕ら、 友達やろ?」


「もちろん、 けど、 僕は堀内くんとも友達だ!」


なんともカッコいい発言だ、 俺なら恥ずかしくて絶対に言えない。


「せやな、 剣は無理そうや……」


黒崎はあからさまに残念そうな表情を浮かべ、 頭を掻くと、 ゆっくりと後ろの席へと歩き始めた。


「ほな、 剣がだめなら、 銃はどうですか? 高橋さん」


「 ──────! 」


高橋咲(たかはしさき)、 彼女はさっきの自己紹介で、 堀内和樹の能力を聞いた瞬間に、殺意剥き出しで拳銃を向けた女だ。


「なに、 私に彼を殺せってこと?」


不機嫌そうにムッと目をしかめる。


「ちゃいますって、 殺すのは高橋さんやない、 ただ殺すために銃を貸して欲しいんや」


「高橋さんッ! 彼の言葉を聞いちゃダメだァ!」


堀内は必死に叫ぶ。


「あんた、 触ったものを消し去るんでしょ? なら自分が彼に触れば済むことよ、 本当にそんな能力ならだけど」


「酷いな〜 まさか嘘やと思っとる?」


「そうよね? 堀内さん」


彼女は堀内に視線を向ける。


「分からない…… 黒崎くんの能力が本当か分からない、本来なら、 僕の目には実際に見た人物がどんな異能力使っているのかビジョンが見えるんだ……」


堀内は青ざめた顔で淡々と話していく。


「で、 何が見えたの?」


高橋が問うと、堀内は怯えながらも必死に答える。


「触った物が無くなっているビジョンが見える……」


「 ───────!!! 」


その言葉に、高橋も驚きを隠せなかった。


「な…… なら、 あんたが彼に触ればいい!」


「だめや、 そんな事したら、 僕が規則を破ったことになる」


「な、 なら誰に殺させる気……」


「そりゃ、 頼めるんは…… 先生しかおらんやろ」


「『 ───────!!!! 』」



クラスはさっきから緊張感に溢れていたが、 そんなのは緊張感ではない。 と思える程にさっきとは打って変わっての空気が教室を覆う。



「もし、 ここで先生が堀内を殺したら、 命は見逃したるで」


ゾッとするような笑みを浮かべて黒崎は囁く。


「本当に…… 本当に、 こいつを殺せば、 私は助かるのね?」


「約束します」


「先生ッ! こいつの話を聞いちゃダメだ! 彼は約束を守らない! 絶対に裏切る! 話し合ってさぁ!」


堀内は目を見開き、 グッと両手を握りしめて叫ぶ。


「でも…… どのみち、 ココで何もしないと殺される」


「せ、先生……?」


「これは仕方ないこと、 そうよね?」


涙を流しながら先生は堀内に問いかける。


「何言ってんだ先生! こんなの間違ってる! こんな奴らの言いなりになっちゃダメだ!」


「感謝するわ、 あなたが居てくれて」


「先生なら話せばわかるはずです!」


「これで私は死なずに済む」


「 ────! 」


「さようなら」


「なんで……」



恐ろしい、 黒崎十夜(くろさき とうや)はとても冷酷だ。

こんな事を平然と抜かす、 それ以前にこんな事をこの短い時間に考え付き、 実行しようとしている。


長谷川祐介(はせがわ ゆうすけ)とは、 また違った形で危険だ。


こいつは、 人の心に漬け込む事が得意なのだろう。

そして、 冷酷さを持ち合わせている。


こいつに少しでも気を許したらマズイ。



「先生もやる気みたいやし、 高橋さん」


考えがまとまったのか、 高橋は先生の倒れている教卓の方へと向かう。


そして、 その姿を追うように黒崎も後ろへ続く。


「早く終わらせて」


先生の近くで立ち止まると、 高橋の手元から拳銃が現れた。


そして、 先生の前に拳銃を転がす。


「待ってェ! 高橋さんッ! 先生ッ! あいつだ、 彼を、 黒崎を殺すべきだァ!!」


「話し合いやなかったんか?」


「黙れ! お前の能力は破壊なんかじゃないッ! 何かを隠している、 そんな奴を放って置いちゃダメだァ!」


堀内は頬に涙を流し、 血が流れるほど、 唇をぐっと噛み締めている。


「問題ない、 こいつが何かすれば私が殺す」


高橋がそう言い放つと、 彼女は後ろの席へと戻っていった。


「だ、 そうや」


「ふざけんな、 ふざけんな、 何で話し合おうとしない? こんなの間違ってる、 こんなクラスじゃ勝ち残れない! そうだ、 他のクラスへ移籍しよう、 僕の能力なら、 どのクラスにだって移籍できる」


壊れた精神状態の堀内は笑みを浮かべながら、 扉の方へと走り出す。


「ハハハハハ、 そうだ、 他のクラスへ行けば」


───────!!


銃声が鳴り響く。


「ぐっ……!」


銃弾は堀内の太ももへと打ち込まれ、扉の前で体勢を崩し、 そのまま床へ倒れた。



「クソがぁ…… お前ら、 絶対に許さない! はぁ……はぁ、絶対に許さない!」


必死に太ももから流れ出る血を抑えながら、 荒い呼吸で堀内は叫ぶ。


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