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救世主

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ヤバイ…… このままだと(すずめ)が……


─────── !?


どこからか、 戦凪へと銃弾が放たれた。


「こざかしい、 今度は誰だい?」


戦凪の問いに答える事もなく、 銃弾のみが返ってきた。


誰だ…… 銃声が全く聞こえない。


「アンタの相手は私よ!」


雀はそう言い放ち、 腰に掛けていたもう一丁を取り出した。


二丁の拳銃から、 惜しみなく弾丸が放たれる。


────ッ!


先程とは違い、 戦凪の体をかすめた。


それに加えて、 雀を援護するかのように、 スナイパーライフルだろうか? 遠距離からも銃弾が放たれる。


「どうしたのかしら? 随分のろまね!」


「これは?」


戦凪の目の前を、 ゆっくりと弾丸が近づいていく。


紙飛行機よりも遅く、 まるで、 風船がゆっくりと風に流されるような……


戦凪は手を振りかざし、 弾丸を吹き飛ばす。


しかし、 飛ばされた銃弾は、 ぐっと向きを変えて、 戦凪目掛けて高スピードで追尾した。


────ぐッ!!


致命傷は回避されたが、 数発の銃弾が戦凪を射抜いた。


「どうかしら、 これが私の異能力、 『弾道弾速(だんどう だんそく)』、 自分の意のままに弾道と弾速を変えられる! 」


なるほど…… 戦凪をかすめたのは、 最初に撃った銃弾との速度が大きく変化したからか……


そして、 吹き飛ばしたはずの銃弾も、 弾道を変えて、 追尾させたってことか……


雀が味方でいてくれるのはありがたいな。


けど、 この攻撃も長くは続かないだろう。


「──── 『暴風壁(ぼうふうへき)』」


戦凪は自身の周り全体に風の壁を展開させる。


やっぱり、 戦凪にずっと同じ攻撃は通用しない。


即座に対応されてしまう……


「君の強さは分かった、 もう十分だ」


戦凪が、 手を横に振り上げたると、 強風が雀を襲った。


────── ぐはっ!


風圧により、 雀は校舎の壁に叩きつけられる。


ヤバイ、 助けないと……


琥太郎は小石を弾丸の様な速度で投げつける。


「よく意識を保っている、 そこで見てろ」


投げた小石も戦凪を覆う風に防がれてしまった。


「させない…… 」


「 ─── 『風刀(ふうとう)松風(まつかぜ)』」


戦凪の手に、 刀が作られた。


そして、 ためらうことなく、 刀を振り下ろす。


─────ゔぅぅ!!


琥太郎は最後の力を振り絞って、 雀をかばい、 肩から腰へと刃が振るわれた。


もはや、 痛みで意識はほとんどない。


「なまくら刀で良かったぜ… 」


─────!


「─── 『居合(いあい)』」


続けて、 戦凪は琥太郎を斬りつける。


「投げろ…… すずめ…… 」


琥太郎は、真っ赤に染まった地面へ倒れ落ちた。


「ギリギリ間に合ったようだ」


────!?


後ろからゆっくりと迫る独特な足音


「無事かな? 雀さん、 助けにきたよ〜」


(みかど)…… 」


雀の前に立つと、 ゆっくりと被っていたフードを脱いだ。


サンディブロンドの頭髪にボブヘア、涙袋が強調され、赤いアイシャドウが特徴的な目元と、 かなり独特な見た目にくわえて、 ゆったりとしたパーカーに細身のレザーパンツ、赤いヒールのブーツという、 主張的な服装をしている。


まるで、女性のような見た目の青年だ。


「やぁ、 君を殺しに来たよ」


「そうか、楽しませてくれ」


戦凪はそう言い放つと、即座に風刀を振り下ろす。


「 ───── 『居合(いあい)』」


「──── おっ!危ない、危ない、 雀さん、 安全な場所に隠れてて」


帝は軽々と斬撃を避けた。


その羽が生えたかのような身軽さに、 戦凪も驚いた。


「わ、 わかった!」


雀は琥太郎の肩を抱えて、 戦凪との距離を取った。


「安心して、 帝が来てくれた、もう私たちの勝ちよ」


俺は、かすかにではあったが、 雀の声が聞こえていた。


誰だよ…… 名前言われても分かんねーな……


俺は掠れる瞳をゆっくりと開く。


「ん…… 」


「 ───── 琥太郎!?」


雀は涙を流し、 ぎゅっと琥太郎を抱きしめた。


良い匂いがする


ほんと、命張った甲斐があるわ……


いや、 正確には、 痛みを負った甲斐があるか……


「良かった!意識が戻ったのね!」


今、 誰かが戦凪と戦っているのか?


雀は勝ちを確信しているようだけど……


多分、 時間稼ぎにしかならないだろう。


それでも良い、 今は少しでも時間を稼いでもらえれば


徐々に痛みは消えていく、 それまでの時間を稼いでくれれば、 後は俺がなんとか…


そう考えていたが、 状況は全く違っていた。



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