意外な特技
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俺はおにぎりを口にした瞬間、 その味のインパクトの強さに吹き出しそうになった。
「月影…… おにぎりの具って?」
「梅とか買い忘れたから、 代用でチョコレートを入れたわ!」
危うく吐くところだったぞ……
カレーが思ったより普通の味だったせいで、 油断していた。
得意料理なんだよね!?
「俺も料理には自信があるんだよ」
「変態が料理? 面白い冗談な」
お前だけには言われたくない……
「まぁまぁ、 今度は俺が作るから食べてみてくれよ」
「ふーん、 いいわよ、 私が評価してあげるわ」
ちょうどカレーも一人前しかないし、 月影が変な物を作るより、 俺が作った方が絶対に旨いって自信がある。
俺はキッチンを綺麗にして、 調理の準備を整える。
その間、 月影は俺の料理になど目もくれずに、 テレビを見ていた。
意外かもしれないが、 俺は結構料理が得意である。
ここに来て、 俺のスペックの高さを見せてやろう!
だが、 その前に……
「なんだ、 この散らかり様はッ!」
「は? 当たり前でしょ、 おにぎりとカレーまで作ったんだし」
カレーとおにぎりを作っただけなのに、 なぜ……
どんな儀式をしてたんだってレベルだそ!
くそ…… 料理したら、 洗い物くらいしておけよ……
キッチンの片付けを済また琥太郎は、 気を取り直して料理を始める。
しばらくして、 キッチンから美味しい臭いが立ち込める。
「変態のくせに、 なかなかやるじゃない」
その匂いに釣られた月影は、 テレビを見るのをやめ、 キッチンに顔を覗かせていた。
以外にも、 なれた手つきで、 素早くリズムカルに調理する琥太郎。
フッ、 フゥーハハハ!
見たか月影!? 俺の腕前は!
「おあがりよ!」
机に料理を置く。
「すごいわね…… 」
余りにも俺がいきいきとしているから、 月影も若干引いている。
今回、俺が作った料理は4品
口の中で広がる海鮮の香り! シーフードパエリア!
キャベツの甘みとみすみずしさを生かした、 ゴマドレッシングサラダ!
じゃがいものほくほく感を楽しめる! じゃがいもと玉ねぎの味噌汁!
そして、 皮を器にしたオシャレなオレンジゼリー!
「いただきます」
「これが俺の実力だよ、 どうだい、 お味は?」
月影がパエリアを口にした瞬間、 とろけるような笑顔を見せた。
「こんな美味しい物を、 こんな気持ちの悪い生き物が作るだなんて、 世界は残酷よね…… 」
ん!?
褒められてるんだよな……?
なんか今、 すげー貶された気がするんだが。
黙々と月影はパエリアを頬張る。
ただ料理を食べてるだけなのに、 いちいち可愛く見えるんだよな……
月影の本性を知らない男だったら、 ハートをイチコロにされていただろう。
全く、 恐ろしい女だぜ……
─── 数十分後、 月影は綺麗に完食した。
「じゃ、 お腹もいっぱいになったし、 帰るわ」
そう言い放ち、 機嫌良く部屋を後にした。
騒がしい奴だな……
琥太郎は再度キッチンの掃除を済ませ、 ぐっとソファーに倒れる。
「明日も早いし、 寝るか……」
俺はシャワーを済ませ、 眠りについ。