命の大切さ
是非読んでみてください。
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宮本は、 長い後ろ髪を1つにまとめる。
「この出血量、 佐々木、 お前はもう助からないよ」
「 …… 」
「2人で戦うと言ったのは俺だ、 だからアイツは俺が殺す、 約束するよ」
「任せたよ……」
宮本は呼吸をするのもやっとの状態だろう。
だが、 血を吐きながらも、 かすれる声で懸命に喋る。
佐々木はもう戦える体じゃない。
目的は果たした。
さっさと逃げるとするか……
「逃げるのか? なら、 ここにいる悪人を全員殺す」
「 ───────!!! 」
腕を斬られた重症の一般人を人質に取りやがった。
なんで警察は駆け付けてこない……
こんな奴らを見逃したら、 また大勢の人に被害がでる。
あのロン毛もここで俺が殺す。
速攻で終わらせる。
「安心してしてください、 ちゃんと殺してあげますからッ! 」
琥太郎は割れたガラスの破片を宮本目掛けて投げつけた。
人間離れした肩の力。
そして、 その力を支える下半身。
とんでもない投球力。
身体強化中の琥太郎が投げた破片はまさしく弾丸。
「 ──────── !!! 」
宮本は避けなかった。
なんの動作も見せていない。
ただそこに立っているだけだ。
なのになぜ? 奴の足元に投げたガラスの破片が落ちている……
それも、粉々に割れている。
宮本からは1ミリも血が流れていない。
かすり傷ひとつ受けていない。
どうなっている……
「こないのかい?」
全く効いていない。 と言わんばかりに宮本は大きく背伸びをする。
なんだコイツの能力は……
かすり傷ひとつ与えられなかった。
遠距離攻撃は効かないのか?
いや、 近距離を誘っているのか?
この攻撃が効かないなら、 近ずくしかないと。
もう考えても無駄だな。
身を呈して能力を探る。
琥太郎は、 一気に間合いを詰める。
「随分と自分の能力を過信しているようだな」
宮本は俺の動きに呼応するように、 攻撃を交わす。
「なっ……! 」
琥太郎の肩へ腕を振り下ろす。
殴りつけた訳じゃない。
腕を振り下ろしただけ。
そのはずなのに、 肩を斬られた。
まるで、 刀で斬り付けられたような……
即座に次の攻撃がくる。
「避けられないッ!」
この長い手足、 柔軟な肉体。
リーチが長い分、 攻撃範囲も広い。
後ろに下がろうと引いた足を宮本は逃さない。
2回目の攻撃。
「ぐっ…… 」
肩に続き、 右足を斬られた。
分かったぞ……
コイツの腕は刀なんだ。
とんでもない切れ味の刀なんだ!
「ミンチにしてやるよ」
3回目の攻撃。
避ける隙を与えることなく、 俺の脇腹に蹴り込む。
「ぐはッ……! 」
腹はもちろん、 口からも大量に血が吹き出る。
コイツ…… 手だけじゃない。
足まで刀だ。
いや、 コイツは全身が刀なんだ!
だから、 ガラスの破片も避けずに、 全身を刀のように鋭くして、 ガラスを粉々にしたんだ……
体がふらつく。
目が見えづらい。
怪我は即座に再生するはずなのに、 体内をめぐる血液だって再生しているはずなのに……
身体強化、強化の反動で本来なら肉体は粉々。
さっき、 ガラス投げた時だって、 俺の肩の筋肉や支えていた足腰の筋肉も力に耐えられずに引きちぎれた。
それを一瞬で再生させて戦っていた。
こんなペースで再生したのは初めてだ。
能力を使いすぎた反動なのか……?
知らなかった。
て、 当たり前か、 今までこんな斬り付けられる経験なんて無かったし……
だが、 リスクがあると分かった以上、 長期戦は避けたい。
肩の傷はもう治っている。
───── キメる。
4回目の攻撃。
琥太郎に攻撃させる時間すら与えない。
「ぐはッ……!」
また脇腹を斬られた。
その瞬間、 俺の体に激痛が走り、 地面にのけぞる。
なんだこの痛み……
斬られた場所が痛い。
この能力を手に入れてから、 痛みなんて感じたことがなかったのに。
原因は分かる、 自分の異能力だから分かる。
なんとなく感覚で分かるんだ。
1日にこんだけ再生している。
数日に何度も生き返っているようなものだ……
この痛みはデメリットなんかじゃない。
これは、 自分の命を軽々しく扱わないように、 自分の命の大切さを忘れない為の痛みなんだ。
ロン毛の言ってた通り、 俺は能力に過信していた。
そのせいで、 ステミの脳筋戦闘ばっかしてた。
そうじゃない、 自分の命を守るために戦う戦法。
月影や霧雨の命を守ろうと考える中で、 自分自身の命を数に入れていなかった。
何度でも挑めばいいやと安心していた自分がいた。
いつのまにかそう考えていた。
けど、 それじゃダメだ。
殺されずに、 アイツを殺す。
「やっと痛がる様子が見れた、 そのまま死ね」
目の前に見える足。
踏みつけられる前に、 何とか体を転がして避けた。
体に負荷をかけずに、 体を軽く。
痛みを抑えて。
「 ───────!! 」
琥太郎は自身の血を宮本の顔に浴びせた。
全身刀でも関係ない。
目くらましはできる。
俺は急いで月影達の元へ走った。
「逃げるぞッ!」
「最初からそのつもりよ」
「助かる」
「脚力強化、 30」
月影は俺と霧雨の肩を触れて呟く。
「これなら、 明日筋肉痛くらいで済むわ」
「ありがとうございます! 月影さん」
「俺はこの状態でも良かったんじゃ?」
「は? バカなの? 最大強化の痛みに耐えながらまだ走るつもり?」
「す、 すみません……」
コイツなりに気遣ってくれてるのだろう。
てか、 細かい調整できるのかよ!
なら、 俺だけ戦わなくても……
「逃げるわよ」
今、 口に出すのはやめておこう。
痛みが増しそうだし。
三人はマンションのある方へと全力で走る。
その瞬間、 白い煙が辺りを覆った。
(助かったよ変態くん、 無事に逃げれたよ)
宮森先輩の声だ。
(消化器の煙はアンタのしわざかしら?)
(少しくらいは手助けさせてくれよ、 後輩ちゃん)
(今どこにいるんですか?)
(それは秘密だよ、 また明日学校で)
霧雨の質問に答えることはなかった。
(待ちなさい、 能力をまだ解除してないわよ)
(大丈夫、 1時間で能力は消えちゃうから)
──────
その言葉を最後に、 脳内で会話が出来なくなった。
「自分の命を優先したか」
宮本は3人の姿を追うことはなかった。
「帰ろう、 佐々木」
冷たくなった佐々木を抱えてそっと呟く。
「約束は守る、 安心してくれ」
前回にくらべて戦闘描写の表現やテンポも少しは改善できたかな? と思います。
感想やアドバイス等いただけたら幸いです。
次回も宜しくお願いします!




