先輩の異能力
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「可愛い後輩ちゃんの為に、 どんどん教えちゃうよ!」
「は? 自分の命惜しさの間違えでしょ」
「ほんと、 ツンが強い後輩ちゃんだ、 その分デレもかなり」
「殺されたいのかしら?」
「ごめんって、 次は③ 武器の入手方法について説明するよ」
そう言い放つと、 話終わった①と同様に②の項目にも横線を引いた。
「最英学園の生徒用に、 街にはそれぞれ武器屋が設けられているんだ!」
「それは、 私たちも買えるのかしら?」
「もちろん、 最英学園の生徒であれば誰でも購入可能だよ」
「で、 でもやっぱ高いですよね……」
俺は金銭面の心配を懸念した。
武器の相場なんて全然知らないが、 高校生がホイホイ購入できる様な金額ではないだろう。
「!? 本当に君は真面目だね、 後輩くん、少し見直しちゃったよ!」
「そ、 それほどでも……」
俺は普段、 他人にそんな事言われた事がないせいで、 動揺を隠しきれない。
照れくさい反面、 スゲー嬉しい。
「きっも」
「キモいね」
「キモいぞ」
「キモいね」
3人とクマの人形が呟く。
冷めた目で俺を見る月影
ゴミを見るような目で俺を見る霧雨
表情の変わらないクマ
クスクス笑う宮森先輩
照れくさい気持ちなんて一瞬で消えていった。
残ったのは心の傷だけだ。
「ほんと、 変態は馬鹿ね」
呆れた様子で月影が罵倒する。
もう俺の名前は呼んでもらえないようだ。
変態とか、 なんて不名誉なあだ名をよくも……
もっと可愛らしく、ツンツンしてデレデレして欲しいものだ。
「あんたバカァ?」 って言われてみたい人生でした。
「私たちは異能力者よ、 お金なんて払うわけないでしょ?」
「え? デスゲームの為に無料で支給されてるんですか?」
「は? 作っているのが異能力の使えない一般なら、 異能力者の私たちが命令したら喜んで作るでしょ」
「それって脅迫じゃ……」
「ほんと、 後輩くんは優しい子なんだね」
宮森先輩は笑いを堪えきれていない。
クスクスと笑いながら言い放った。
マジかよ……
異能力者ってそんな横暴なのか?
民度低すぎるだろ……
お店の人だって生活があるのに……
「今から、 人を殺す人間がよくそんな事言えるわね」
「 ──────! 」
ハッと俺は思い出す。
俺たちは今後、 多くの生徒の命を殺めるだろう。
そんな人間が……
「あんたも大概にしないと死ぬわよ」
「 ────── 」
あんたも……
何を言いたいのかは分かる。
堀内のような事になるぞって、言いたいのだろう……
彼は別に間違ったことは言っていなかった。
ただ、 やり方を間違えた。
俺は馬鹿じゃない。
同じ惨劇を起こすつもりはない。
なにより、 俺にあそこまでの善意はない。
腹くくった気になっていたが、 やはり怖い。
今はいい、 だが、 外に出て3年生と戦えば確実にどちらかは死ぬ。
月影か霧雨のどちらかが死ぬかもしれない。
いや、 2人とも死んでしまうかもしれない。
そんな事になるなら……
月影や霧雨が死んでいくのを見るくらいなら……
俺は3年を殺す。
「た、確かに、 作らせればいいだけですね」
「あ〜 後輩くんが変態不良になっちゃった」
「また、 変な名前付けるのやめてください!」
なんだよ、 変態不良って!
すげー感じ悪いだろ!
「まったく…… それで、 武器屋ってどこにあるんですか?」
俺は話を立て直す。
「そうだったね! ここFirst Regionでは、 おもちゃ屋だったかな」
「えっと、 おもちゃ屋さんですか……?」
予想外の場所に驚いた俺は、 もう一度聞き直す。
「私が知ってるのはそこくらいかな、 他にも探せばあるとは思うけど」
「何か目印とかってあるのかしら?」
月影が問い詰める。
「ないね、 武器屋はなかなか見つかるもんじゃないんだよ」
「あっそ」
「冷たいな〜 もっと甘えていいんだぜ、 後輩ちゃん!」
「は?」
「うわ! 次に行きましょ! 先発の能力教えてください!」
よし、 宮森先輩と月影がバチバチになる前に何とかと止められたぞ!
「おっ! 強引だね、 そわなにお姉さんの能力が知りたいのかい? 変態不良後輩くん」
「僕の名前がどんどん酷くなってきてるんですが……」
「ほいほい、 次は④ 私の能力ね」
ちょ、 無視するな!
俺の言葉などまったく聞く耳を持たず、 先ほどと同様に話終わった③の項目に横線を引いた。
「私の能力は『意思疎通』って言って、 手で触れた相手となら、 離れた場所からでも声を出さずに会話ができるの!」
「 ───────!! 」
「まさか、 今までの話を」
霧雨は慌てた様子で席を立ち上がった。
「さぁ〜? どうかな」
「そんなの、 どうでもいいわよ」
「なっ! 乙衣ちゃん分かってる? あの人が能力を」
「問題ないわよ」
「 ─────! 」
「私たちが聞かれて困ることは一つもなかったし、 どのみち、 2年は全員殺すからどうでもいいわよ」
どこから湧いてくるんだ、 その自信は?
その自信を俺にも分けて欲しい。
まぁ、 月影が言ったように聞かれて困ることはない。
それに、 2年を殺すから問題ない。
それには同意見だ。
「怖いこと言わないでくれよ、 私の能力を知って分かったでしょ? 私は戦えない」
そう言い放つと、 ポンと宮森先輩は俺の肩を叩いた。
「なんですか……?」
(いや〜 ホントにあの後輩ちゃんは怖いね、 よく君は一緒にいるね)
「そりゃ、 月影はスゲー怖いし、 横暴だし、アホですけど……」
ん!?
宮森先輩がクスクスと笑っている。
「変態、 だれが怖いし、 横暴だし、 アホだって?」
冷や汗が止まらない。
背筋が凍りつく。
心臓が止まりそうだ。
「いや…… 誰のことでしょうね……?」
なんでだ、 先輩に話しかけられたように聞こえだが
これが宮森先輩の異能力なのか……
意思疎通って言ってたっけ、 これはタチの悪い能力だ。
この状況、 どうすればいい
何か言って月影のご機嫌を取らなくては……
だが、 何を言えばいい?
無理だ思いつかない。
さっき言いかけてた事をそのまま言うしか
「けど…… 月影は頼もしいし、 異能力もすごいし、 とにかく可愛いし……」
「 ───── 」
はい、 死んだ。
終わった。
積んだ。
死にまーす。
「変態のくせに、 な、 何言ってんのよ、 求愛とかマジでキモいんですけど、 無理だから、 こんな急に無理だから!変態とか無理だから!」
かぁぁと頬を赤らめた月影が目を(><)にさせて叫ぶ。
あれ? なんか思ってた反応と違う。
てか、 照れながら暴言吐くのやめろ!
「はいはい、 ラブラブなのは分かったから、 次に進んでいいかい?」
「殺すわよ」
月影の表情がムッと変わる。
「ごめんって、冗談だよ、 さぁ! 次だ」
そう言い放ってた宮森先輩は、 楽しそうに話し始めた。
キャラクターの詳細を紹介させていただきます。
【雲雀琥太郎】
あだ名:変態
中学時代は話す相手がいなかった為、あだ名はなかった。
学力はかなり高い。