戦線の予兆
是非読んでみてください!
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「霧雨さんは何で私たちをつけてたの?」
喜びの絶頂にいた俺などよそに、 月影は話し始めた。
「さっきも言った通り、 2人が帰るところを見かけたからだよ」
「なら、 最初から話しかけにきたらいいじゃない」
「いや…… 2人でコソコソ移動してるのみてたら、 話しかけずらかって……」
かぁぁ……っと月影は頬を赤らめる。
「あんたのせいで、 私までスパイごっこしてた感じになってんじゃない!」
「いや、 俺は真剣に……」
「やっぱり、 スパイごっこ、 してたんですね」
「「 ─────してない!! 」」
こんな茶番がしばし続いた。
下校は危険って流れはどうしたんだよ……
こんなとこ見られてたら直ぐにでも襲われるぞ。
『 ──────!!!!! 』
大きな爆発音がなり響いた。
空気が振動する。
「なんだ今の爆発は!?」
振り返って辺りを見回すと、 学校のある方から煙が登っている。
「学校の方ね」
「始まったんでしょうか?」
怯え様子で霧雨が尋ねる。
「多分…… 」
俺はパニック状態にはならなかったが、 状況が把握しきれていない。
そんな時、 月影のカバンから着信音がなる。
月影も着信音には直ぐ気付くと、 カバンからスマホを取り出した。
こんな時にスマホなんてよく見れんな……
「 ──────!! 」
月影は驚いた表情でスマホを見ていた。
「どうしたんだ?」
「今、 中谷くんから学校で爆発が起きたって連絡が……」
「やっぱ学校か……」
「まだクラスの何人かは学校に残ってたし、 一度戻るか?」
「いや、 このまま帰るわよ」
俺の提案は一瞬で却下された。
「私も帰った方がいいと思います」
2人の言ってることは理解できる。
今戻っても機嫌なだけだ。
他にも今の爆破を見た生徒たちが学校へ向かってるはず。
戦闘は避けれないと思う。
まだ学校に残ってたクラスメイトも心配ではあるが、 今は帰宅する事を最優先するべきた。
「分かった、 このまま急いで帰ろう!」
2人も頷いて、 団結した感じになると思ったが……
俺の話など聞くこともなく、 2人はさっさと歩いていた。
「なに突っ立ってんのよ? 早くしなさい!」
月影が叫ぶ。
俺は悲しいため息を吐き、 急いで2人の所まで走った。
「結果あっさり、 このまま帰宅するって決めたけど、 良かったのか?」
「は? 私が優柔不断って言いたいの?」
「いや、 月影さんと中谷って仲よさそうだったから…… 心配だから助けに行こう。とか言い出すと思って」
「別に、 中谷くんと宮城くんとは同じ中学だっただけよ、 2人の能力も知ってたから、 一緒にいれば安全だと思ってたけど……あの様子だし、 一緒にいても危なそうだから別に」
結構、 いや、 かなり冷血だな。
人って本当に怖い。
「だから今は、 えっと……?」
霧雨さんは俺の顔を見て首をかしげる。
あ、 名前忘れたってことね。
「雲雀琥太郎です」
「そう、 だから今は、 琥太郎くんと一緒にいれば安全ってことですか?」
霧雨の質問に若干のイラつきを感じたのか、 月影の表情も怖い。
顔に出てますよ! 学校での優しい表情はもはやない。
「安全かは知らないけど、 コイツは私の舎弟だし、 肉壁よ、 肉壁」
なんで俺があしらわれるんだよ!
変な質問したの霧雨さんらじゃん!
なんで俺が傷つけられるんだよ!
「なら、 私も同行していいですか?」
なんで急にそうなる!?
「恋人だったら悪いと思いましたが、 2人は舎弟関係だと分かりましたので、 月影さんとお友達に……」
頬を赤らめて霧雨は恥ずかしがりながら月影に想いを伝える。
「もちろんよ! 宜しくね、 薫ちゃん!」
恥ずかしさに耐えきれず、しゅ〜っと煙を出す勢いで真っ赤に染め上がった霧雨は、 一瞬で気絶した。
「おい! 霧雨! 大丈夫かぁ!?」
はっと! 気を取り戻した霧雨は起き上がると、何もなかったかのように振る舞い始めた。
「薫ちゃんはやめてください、 別の姿の時に薫ちゃんはマズイので…… 霧雨さん。 とかでお願いします」
「分かってるわよ、 薫ちゃん!」
かぁぁ…と赤くなってる霧雨をからかう月影も嬉しそうであった。
─────そして、 俺たちは北に位置する地域
First-Regionに建つマンション内まで無事に辿り着いた。
1年は北、 2年は東、 3年は西と書いてあったが…… この地域に2.3年生がいないって訳じゃない。 それに、 1年でも他クラスは敵だ。
この時間、 外はむやみに出歩かずに安全なマンション内に居た方が安全だ。
「で、 なんで俺の部屋なんですか?」
「そりゃ、 あんたを私の部屋に入れたくないからよ」
「同じくです」
1日でこんなに心が傷ついたのは初めてだ。
俺の部屋には女の子が2人。
それも美少女。
スゲー嬉しい展開だと思う。
ラノベ主人公みたいだ。
「って! なんで霧雨はデブに変身してんだよォ!!」
「男の子の部屋に…… とか、 恥ずかしいし……」
その言葉に俺まで顔を赤くしてしまった。
「 ───────パン!!!」
俺の視界が一瞬真っ暗になった。
それと同時に、 顔面から痺れるような痛みが走った。
ベットに腰をかける月影の手にはスリッパ。
──────!?
そう、 俺は月影乙衣という悪女にスリッパで顔面を叩かれたのである。
「痛ってェ! 」
別に痛みは感じないが、 つい叫んでしまった。
「さ、 作戦会議を始めるわよ」
俺の顔を叩いた事に関して、 全く触れないのかよ……
「まずは、 能力の紹介ってとこか?」
俺を叩いたことについて、 問いただそうとも思ったが、 また叩かれそうだし触れずに話に乗るしかない。
─── こうして、 作戦会議は始まった。