入学式が出会いと別れの場
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「 ──────!!!! 」
容赦なく次の銃弾が堀内の肩を貫いた。
「ぐぁぁ………! 」
堀内は、 何とか起き上がろうとしていたが肩を撃たれたことで膝をつくことも出来ず、 床に倒れ落ちた。
もちろん、 先生が拳銃を握るのは初めてだろう。
拳銃がカタカタと腕を伝って震えているのが見て取れる。
だが、 明らかに殺さずに痛めつけてるように見える。
「はぁ…… はぁ、 能力は…… 石化、 身体強化、 視覚共有、 変身 、爆破、 電気、 スロー、 粘着…… 」
堀内は絶望に染まった表情でクラス内の誰かが有する能力を叫ぶ。
──────────!!!
堀内の言葉をかき消す銃声が鳴り響いた。
その様子を見た生徒皆が騒然し、 中には嘔吐する者もいた。
俺たちの目の前で、 眉間を撃ち抜かれ、 血を流す堀内の姿。
本当に人が死んだ。
学校で人が死んだ。
今の今まで、 結局なんとかなる。 と皆心のどこかで思っていたのだろう。
だからこそ、 この光景を見て感じる。
本当にこの学校では、 殺し合いが行われるんだと。
一番軽い気持ちで望んでいただろう、 中谷は完全に放心状態に見える。
「おい…… マジかよ……」
最初に口を開いたのは意外にも、 中谷の腰巾着である、 宮城であった。
「中谷…… こりゃ、 リアルだよな?」
「 ーーーーー 」
中谷は黙り込んだままであった。
「おぃ、 ふざけんなよ! さっきまで喋ってた奴が…… ピクリとも動かねー、 お前ら正気かよ!? 」
「正気や」
宮城の問いに、 黒崎がズバッと答える。
「こ、 殺さなくたって、 何とかなったんじゃねーのかよ!? 」
少しパニック状態の宮城からは、 先程までのチャラついた雰囲気は見受けられなかった。
「甘いわ、 こうするしかなかった、 だから彼は死んだ。 それだけや」
「そんなはずない! 何とかなった筈だぁ!」
かなり感情的になっている宮城を嘲笑うかの様に、 黒崎は煽る。
「なに、熱くなってんねん? 今日会ったばっかやろ? そんな感情的にならんでええやろ?」
「お前、 それ本気で言ってんのか!? 目の前でクラスメイトが死んだんだぞ! 今日会ったから何だよ、 お前こそおかしいだろ!? 何でそんな平然としてんだよ!」
「そりゃ、 僕、 人殺したことあるし」
「 ─────! 」
宮城は直感的に、黒崎に対して恐怖を抱いた。
「後、 そない救えたって言うんやった、 宮城くんに彼を救える方法があったんか?」
「そ、 それは……」
「あったんなら、 何で先生がトリガーを引く前に言わんかったんや?」
「違う……」
「防げるすべを知っていて黙ってた奴も、同じく『人殺し』やろ?」
「おぃ…… 中谷なんと言ってくれよ……」
「 ごめん、 少し考えさせてくれ」
「中谷……」
「まぁ、 同じ人殺し同士、 仲良くやってこうや」
宮城は、その挑発的な発言にまんまと乗せられてしまった。
「うるさい! 俺は誰も殺してない!」
宮城は、 床に倒れた堀内の死体を見て、 まるで過呼吸のように息を荒くする。
「死体はこれからも見ることになるやろ」
宮城は嘔吐した。
「さて、 この死体をどうするかやな?」
黒崎はしっかりとそこまで考えていた。
いきなり仲間内で生徒が死んだなんて他クラスにバレるとは避けたい。
それはここにいる皆が思っているだろう。
「今のところ、 僕の能力で他のクラスには、 先程までの声は一切聞こえてない」
長谷川祐介がそのことを伝えた。
コイツの能力は、 盗聴などを防ぐ能力だが、 その気がなくても聞こえてきた。って事もない。
完全にこの空間での音は遮断されていたってことか……
「便利な能力やな〜 助かるわ〜」
「どうする気だ?」
「そやな〜 自殺に見せかけるってのはどうやろ?」
「確かに、 どのみち死んだことは隠せそうにないしな」
「せや、 だから最低でも、 クラス内でもめたって事は隠したい」
「先生、 口裏は合わして貰いますが、 いいですか?」
長谷川の質問に先生はごくっと唾を飲み込む。
「もちろんよ…… こ、 これで、 これで、 私は見逃してくれるのよね!?」
「ああ、 黒崎ともその約束だろ」
「もちろん、 ええで」
その言葉を聞いて、 ギュと自分の両手を握りしめている。
そして、静かな教室から高らかな笑い声が響く。
「自殺に見せかけるなら俺に任せろ! 長谷川」
先生の笑いと共に1人の男が名乗りをあげた。
八代勇気
先程、 長谷川と堀内が口論になっていた時、 長谷川の方に味方していた2人組の1人だった。
「何かいい方法でもあるのか?」
長谷川の問いに八代はフッと微笑む。
「あるぜ、 俺の異能力なら可能だ」
その言葉と同時に終業チャイムの音が鳴り響く。