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1.「出会いは」

 ヘトロジア。それは様々な種族が暮らしている世界。その中でも一番大きな大陸エトリスの帝国アトロでは、近年、近くの森『死魔(しま)の森』に住む暴虐竜(ぼうぎゃくりゅう)の被害に悩まされていた。暴虐竜(ぼうぎゃくりゅう)は近隣の村や帝国内の街に侵入し、食料を根こそぎ奪い取り、家屋や施設を破壊するなど、甚大な被害に遭っていた。


 そんなある日のこと。暴虐竜(ぼうぎゃくりゅう)は近くの村から奪ってきた食料を貪っていた。そこに、一つの影が現れた。

「…お前が暴虐竜(ぼうぎゃくりゅう)か」

「……あ?」

その影は1人の小柄な人間の男だった。

「ふふ、人間ごときが。喰われにでもやってきたか」

ケタケタと暴虐竜(ぼうぎゃくりゅう)は笑う。

「それはどうかな?」

男は自分よりも大きな剣を鞘から抜き、暴虐竜(ぼうぎゃくりゅう)に剣先を向ける。

「ふっ、俺とやり合うつもりか。いいだろう。その勝負受けて立つッ!」

暴虐竜(ぼうぎゃくりゅう)は大口を開け、竜の伊吹を吹き掛けるーーー


 ーーー勝負は呆気なく暴虐竜(ぼうぎゃくりゅう)の敗北で終わった。

「ぐぬぬ……人間ごときに俺が負けるなぞ……さあ、はやくトドメをさすがいいッ!」

ぐでっと諦めたように暴虐竜(ぼうぎゃくりゅう)が仰向けに倒れる。が、

「えー?僕はお前を殺しにきたんじゃないんだよー」

「……は?」

男は仰向けになったままの暴虐竜(ぼうぎゃくりゅう)と目を合わせる。

「お前、名前は?」

「……名前なんて無い」

「そっかそっか、んじゃー、えーっと……」

男はしばらく顎に手を当て、考えていたが、パチンと指を鳴らすといい名を思いついたと顔を明るくさせる。

「エンベリラってのはどうだ?うんうんそれがいい。僕はローサー。お前、これからは僕の使い魔だ」

「……………………は?はあぁぁぁぁあ!?」

体を起こし、ドスンと地面を鳴らす。

「ふざけんなよ!なんで俺がお前みたいな人間の使い魔にならなきゃなんねぇんだよ!」

再び大口を開けて男に噛みつこうとする。が、すぐにアッパーで沈められた。

「んじゃ、契約の言葉を言ってもらおっか!」

「………………」

「そうだなー……僕は人間様に討伐された憐れなドラゴンです」

「は?」

「だーかーら、『僕は人間様に討伐された憐れなドラゴンです。』だってば」

「ふざけんな!誰がそんなこと………」

「実際僕に討伐されたのは?」

「うっ…………」

「人間ご、と、き、に、倒された憐れなドラゴンは誰だっけな~?」

「………………お、俺は」

「『僕は』」

「…ぼっ、僕は、人間様に、討伐された、憐れなドラゴン…です………」

「よしよし言えたねー偉い偉い」

「くッ……!ドSがッ!」


 こうして、暴虐竜(ぼうぎゃくりゅう)ことエンベリラは、ローサーの使い魔になったのでした。

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