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タイトル詐欺を避けるために

作者: 言崎蒼

 皆さんは「この作品タイトル詐欺だな」って思う作品に巡りあったことがありますか? 私はあります。大量に。



 最近「小説家になろう」で流行っているタイトルの付け方は数種類あるようですが(○○な件・○○ですが××・○○なので××等々)、そのいずれもに言えることは『とにかく長い』。


 私はこの長いタイトル自体あまり好きではないんですが、今回は本筋から外れてしまうのでそっちに関しては語らないことにします。長くてもわかりやすいタイトルなんかは存在しますしね。



 さて、最初に言った「私が巡りあったことがあるタイトル詐欺の作品」ですが、ほとんどがこの「なろうの独自文化」とも言うべき長いタイトルを持っているものばかりです。理由は……まあ、簡単ですよね。


 「タイトルに情報を詰め込みすぎている」。シンプルにこれだと思います。


 作品タイトルから読み取れる情報が多いと、初めてタイトルを見た読者が「ああ、この作品はこういう感じなのかな、こういう雰囲気なのかな」と想像するものもより具体的になるかと思います。しかし、だからこそ『想像と実際の作品間の齟齬』がとてもとても目立ちます。


 抽象的なタイトルならまだそこまで悲惨なことにはならないんですが、長いタイトルは多くが具体的です。それ故にタイトル詐欺になりやすいのだと思います。




 では、どこがどうタイトル詐欺なんでしょうか。思うにタイトル詐欺は大きく2種類に分けられるので、それぞれ概要を紹介したいと思います。



①その心情合ってますか


 「○○ですが、どうしよう」「○○なんだが死にたい」系の主人公の心情が入ってくるタイトルに頻繁に見られます。


 どうしようとか言いつつ特に迷いなく行動していたり、死にたいと思わせるほどの悩み(あくまでコミカルな「死にたい」だとしても、勢いでそう言いたくなってしまうほどのドタバタ感)を感じさせなかったり。正直興ざめです。


 「どうしよう」要素どこにあったん? って微妙な気持ちになってしまいます。


 主人公が自分の心情に基づいて何か言っていたりする形式のタイトルのときは、せめてそこ合ってるか確認しましょうよ。この形式は主人公のパーソナリティも予想させるんですから、そこブレたらまずいですよ。



②その主人公(世界観)、本当に○○なんですか


 「○○な俺が~」や「○○な世界で~」系のタイトルに見られるものです。物語序盤は確かに○○なんですが、途中であっさり○○じゃなくなってしまったり。正直モヤモヤします。


 「○○な俺が××になるまで」とかならまだしも、「○○な俺が××する」だった場合、とかだともう発狂したくなります。お前もう××したときには○○じゃないやんけ。


 ○○な主人公がいかにして××するのかとページを開いた私の期待は当然打ちのめされます。だって私が想定していたのは○○な主人公がどうやって××するのかであって、まるっきり変わってしまった主人公が××したところでそれは○○じゃないのです。


 これの変則バージョンが、例えばファンタジー界隈に溢れている「○○だけど最強です」系。○○には一般的に弱いとされている感じの色々が入りますよね。


 しかしそういう作品を読んだりあらすじを覗いてみたりすると、〝主人公は辛うじて○○の体裁を保っているもののその世界観で一般的とされる○○とはかけ離れている〟状態のものが一定数存在します。


 これでは読む前の読者の想像とかけ離れてしまうのも無理はありません。「そんなの聞いてないよ」と私は思ってしまうわけです。




 とまあこんな感じです。では次に、どうしてこういう事態が起こるのか考えてみましょう。



 私がパッと思いつくのは、やはり「タイトルが具体的すぎる」ということです。これはさっきも書きましたが、ここでさらに掘り下げてみましょう。


 何故タイトルが具体的だとタイトル詐欺になりやすいんでしょう?


 それは、「状況が変化していくストーリーにおいて状況の変化と共に変わってしまう部分まで詳細にタイトルに組み込んでしまっているから」ではないでしょうか。①の心情ならば言わずもがな、②の外面的(?)なものだって細かく書いてしまえば途中で変わってしまうこともあるでしょう。



 さらに、「どうして『変わってしまうかもしれないような要素』をタイトルに書くのか」も考えたいと思います。


 だって仮にもタイトル、作品の看板です。のれんに「中華料理」と書いた店主は、開店の段階で「いずれ中華料理をやめて他のものを出すかもしれない」なんて考えていないでしょう。


 この例えは大袈裟ですが、作品を書くときタイトルを付けるにあたって作者は「どんな作品にするか」を考えて付けると思います。そのイメージが途中で変わってしまうのは、おかしいですよね。


 しかしそれは、最初から最後までの構想がちゃんと決まってから執筆を始めた作品に限ります。


 「どういう結末になるかわからないけど、とりあえずいい設定が思いついたから」「こういう世界観でやってみたら面白いんじゃない?」など、いわゆる「見切り発車」をしてしまえば、タイトル詐欺が起こる確率は圧倒的に上がるのではないでしょうか。


 どんな展開にして、最終的にどういう結末に落ち着くのか。それが定まっていないまま書き始めては、「小説家になろう」で書くような言わば素人(異論は受け付けます)では、フラフラした作品になってしまうのは仕方ないのではありませんか?


 最終的になんとか統一感を出して完結させたところで、それが当初のビジョンと全く同じ、というのは難しいでしょう。それができたら誰も苦労しません。


 別に見切り発車が全面的にダメだと言うつもりはありませんが、見切り発車した挙句展開に左右されてしまうようなタイトルを付けるのはあまりおすすめできませんね。




 と、思いつくままに並べてみたタイトル詐欺の現状は大体こんな感じじゃないでしょうか。



 タイトルは自分の作品の看板ですから、イメージが正確に伝わらないならまだしも間違ったイメージが伝わってしまうのは非常にもったいないです。同時に、タイトルで面白そうだと思って読み始めたのに印象と違ったなんてことが起これば、それだけで内容に関わらず作品の評価は下がってしまいます。


 あなたのそのタイトルは内容に沿ったものですか? 投稿する前に今一度考えてみてください。

ありがとうございました。

本文の中で例として示しているものは全て書きながら自分で考えたものなので、特定の作品を批判したり貶したりする意図はありません。

ご意見がある方がいたら、ぜひ感想で聞かせてください。

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― 新着の感想 ―
[一言] タイトル大体釣りだけ、あまり意味はない
[一言] タイトル詐欺多いですよね。 読者の興味を惹くためだけのタイトルが多く、web版で判断するようにしています。 ちなみにタイトル詐欺で書籍化している作者には、タイトル詐欺を指摘しています。
[一言] わかりみが深い……! 個人的には短くてひねったタイトルの方が好きなんですが、なろうは特にタイトルだけである程度内容が分からないと見てもらえない傾向が顕著ですものね。 せめてもう少し何とかなら…
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