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名作ショートショートです・・・よね?(「アートの借景」企画)

作者: 誰か

すみません、前書きが長いです。


檸檬絵郎さん主催の「アートの借景」企画への参加作です。みんなで同じお題の小説を書いて見せあうというのは、なんだか楽しそうですよね。


お題は”絵画を作中のどこかに使う事”。


まず、後述の元ネタの絵画のリストに目を通してください。予備知識のいるネタ用にコメントが書いてあります。


絵画に興味のない方でも楽しめるようにと書いたつもりですが、画像検索をすれば、ああこれかあ、となるものがほとんどだと思います。ピンとこない絵がありましたら、ひとめだけで結構ですから、あらかじめ元ネタの絵を確認していただけると嬉しいです。


・落穂拾い ジャン=フランソワ・ミレー

・泣く女 パブロ・ピカソ

 ※ピカソは、画風によって「○○の時代」という呼ばれ方をしているそうです(青の時代とか)。

・ヴィーナスの誕生 サンドロ・ポッティチェッリ

・民衆を導く自由の女神 ウジェーヌ・ドラクロワ

・モナリザ レオナルド・ダビンチ

・最後の晩餐 レオナルド・ダビンチ

 ※キリストが「弟子の中に裏切り者がいる」と言っている場面だそうです。

・ぶらんこ ジャン・オノレ・フラゴナール

 ※実は、ひるがえるスカートの中を覗こうとしてる人がいるという、おちゃめさんな絵だったりします。

・叫び エドヴァルド・ムンク

・ひまわり フィンセント・ファン・ゴッホ



準備はよろしいでしょうか?


それでは、どうぞ。

「美術館なんて行っても、場違いな気がする。」

「そんなことないよ、ほら見て、これとか知ってるし、落葉拾い。」

「落穂だよ、穂。」


 狙ったように「ば」違いだし・・・。


 なんだか一緒に行きたがっているのだが、こうしてネット検索で十分っポイな。


 どこかしらから見つけてきた、美術館主催のデザインコンテストは、オリジナルのマスコットキャラクターを募集していた。名画をもじってマスコットにするつもりらしく、”モデルにする絵”を探すためにと息巻いているのだ。


「美術館といえば・・・」


 彼女が再び口を開く。


「一度、あれを言ってみたいな。」

「あれって?」

「ここからここまで全部下さい。」

「台無し感半端ないな。」


 わからなくもないけど、と思っていたら。


「いくらくらいだろうね、ピカソとか。」

「何千万とかじゃきかないんだろうなあ、きっと億だよ、億。」

「逆さまでも通りそうな絵なのに・・・」

「何億な。」

「むぅー、いやむしろ、私もいける!」

「あーまぁ、とりあえずマスコットのデザイン頑張れ。」

「うん、次は、”私の時代”が来るよ。」

「ピカソだけにか。」


 ピカソは、作風の違いによって、青の時代など、○○の時代と呼ばれているのを、もじったらしい。


 けれど、検索した名画を、にまにまと嬉しそうにしながら、こちらに見せてくる様子は、マスコットのモデルを探している様には見えない。


「見て、ヴィーナスの誕生。」

「あ、うん。」

「見て、民衆を導く自由の女神。」

「だからなんだよ。」

「いやー、変な空気をもたらそうと。」

「そういうのやめろ。」


 ほんとやめれ。


「ねえ見て、これ駐車場の航空写真なんだけど。」

「うわっモナリザだ!」


 すごいなー、と喜んたのが失敗だったか、いそいそと次を検索して、目をキラキラさせてのたまった。


「この中に裏切り者がいる!」

「ここには二人きり、つまりお前か。」

「いや、えっ待って、これ最後の晩餐、だからね、ほら。」

「せいぜい味わっておくんだな。」

「いやあああ。」


 まあまあ、楽しい。


「ねー帰りに公園でぶらんこしよー。」


 フラゴナールのぶらんこを見せて、せがんできた。


「そんな魂胆の見え透いた誘いには乗りません。」


 実は、フラゴナールのぶらんこは、ひるがえるスカートの中を覗こうとしてる人がいるという、おちゃめさんな絵だったりする。


「私もスカートだよ。」

「そのアピールいらないから。」


 裾をつまんでカーテシーとか、そんなのどこで覚えた。


「ああーっ!」

「どうした、叫びだして、ムンクか?」

「違うよ、ピカソだよ、さっき逆さま・・・・・・でも通りそう・・・・・・って言った後の返しで、『何億な(なんおくな)』っていってたの、あれはもしかして?」

「ああ、それ今になって、意味がわかったのか。」


 ピカソの有名な絵。





 ちなみに後日譚。


「オリジナルのマスコットキャラを考えたよ。」

「どれ見せてごらん。」

「ジャーン!その名も”踊るひまわりさん”、特技は交通整理のナイスガイ。会議室でも事件を起こすよ。」

「いや、このサングラスの奴、思い切り見覚えあるから。」

今回、作中に出てきた絵画の一覧です。


落穂拾い(1857年) ジャン=フランソワ・ミレー

ヴィーナスの誕生(1483年頃かそれ以前) サンドロ・ポッティチェッリ

民衆を導く自由の女神(1830年) ウジェーヌ・ドラクロワ

モナリザ(1503年 - 1519年頃) レオナルド・ダビンチ

最後の晩餐(1495年 - 1498年) レオナルド・ダビンチ

ぶらんこ(1768年頃) ジャン・オノレ・フラゴナール

叫び(1893年) エドヴァルド・ムンク

ひまわり(1888年) フィンセント・ファン・ゴッホ



どうもです。


今回のテーマは、”一度、確かに読んでいるはずなのに、気が付かずに通過してしまい、後から指摘されて、えっ?となり、あらためて確かめてみると、あっ!となる”でした。


最初に、こちらの手札を完全にオープンにして見せなければならないので、バレたりしないかとドキドキしますね。


面倒なお話なのに、お読みいただいてありがとうございました。



追伸

キーワード 


アートの借景 


で他の方の作品を検索できますので、ご覧いただけたら嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[一言] こんばんは。 早速の投稿、ありがとうございます。 様々な絵が出てきて、おもしろいですね。 しかも、有名な絵画のオンパレード^^ 「ちなみに後日」というラストがまた、おもしろい。 ピカソの…
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