生徒会長の週末 (1)
かなり短いです。
代わりに、下手ですが挿絵を描きました。
後書き欄にあります。
今日は金曜日。明日は休み。
毎日をのんびり過ごしながら、私は図書館へ通うのが日課になっていた。
学校の図書館はとにかく大きくて、平日は三冊ほど本を借りて帰るけど、卒業までに一割も読める気がしない。
最近のマイブームはIT系の技術書で、パソコンは持っていないけど、どこか魔法みたいで面白かった。
「いらっしゃい」
放課後に訪れると、今日は図書委員長の遠藤さんがいた。おそらく図書当番だと思われる。
先日の決闘以来、顔を合わせるのは二週間ぶりだけど、一学期の時から毎週同じ曜日に図書館で見かけるので、名前だけは覚えていた。
「本、好きなんですね」
「……ええ」
遠藤さんが当番の時に来ると、決まって話しかけてくる。手続き可能なカウンターは四つあるけど、人が少ないときは一人しか座っていないので、この日は遠藤さんが担当になる。
授業中に来ても司書の先生はいるけど、授業で利用される以外の時間は本の確認や整理をしていて、受付にはいない。
広い図書館を探すのが面倒な上に、放課後の時間であれば図書委員がいるので、自然とこの時間帯に足を運ぶようになった。
「山吹さん、そういった本がお気に入りなら、こちらの本がお勧めですよ」
この人の欠点を挙げるとすれば、借りた本の傾向を見て、勝手に本を勧めてくること。あまり褒められた趣味ではないが、読んでみると面白かったりするので、拒否できないのが嫌らしい。
本を大量に借りていく人にしか言わないので、それほど問題にもされなかった。自分からおススメを聞く人もいて、逆に名物のような扱いをされていた。
「ありがとうございます」
「その本、少しファンタジー入ってる評論文だけど、面白いよ」
受け取ってしまった本をバックに入れて、私は図書館を後にする。
それほど厚い本ではなく、明日にでも暇があったら読もうと思いながら、学校を出る。タイトルは確かに興味を引かれたので、コインランドリーに寄ったときに、待ち時間を使って読むことに決めた。
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