表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山吹紅葉は生徒会長! ―前世は中世に生きた魔女―  作者: 冷水
第一章:生徒会長。二学期~
19/23

外伝2 選良主義者の女子生徒 ※??? 視点

本編 未登場人物による視点。

読み辛いです。


 私は社会的に高貴な身分である。

 何もかもが、少なくとも私よりも下にいる人間は、思い通りになるはずである。努力だって誰よりしているし、生まれも育ちも全てが優れている。

 (かよ)いたくもない塾や習い事は、種類を変えて毎日あるし、周囲にいる誰よりも自分を磨きながら生きている。負けるはずなんてなかった。


 なのに、あの生徒会長(・・・・)は気に食わない。

 まだ最上という生徒に負けたのなら許せる範囲だった。家格という面で私より劣っているが、官僚を親に持つエリートである。


「気に食わない」

 生徒会長を調べてみれば、一般家庭の出身であり、入学試験でも上位を取っていたわけでもない。それなのに、私より上にいることが許せない。

 実技試験において、私は彼女と対峙(たいじ)した。相手は歯牙にもかけていなかった存在なのに、気付いたら私は倒されていた。

 その場で(わめ)くなんて、はしたない真似はしなかったが、悔しくて泣きそうになった。この世界は、生まれによって全てが決まると信じていたのに、それを突き崩された気分だった。

 天才の存在は否定しないけど、凡人の中では生まれと育ちによって大抵が決まる。そのはずだと思っていた。

 結果を見たときは、私のしてきた努力が否定された気分だった。


「負けたくない。負けるわけにはいかないのよ!」

 幸いにして、私には財力と影響力がある。学校の勢力圏(せいりょくけん)であれば、名前を出すだけで従ってくれる者も多い。

 あの時の結果は間違いだったと、目の前で宣言してやる。次の試験では、絶対に負けられないと心に決める。



----

 選民主義、あるいは選良主義か。その概念は、一部では間違っている訳ではない。一定数の選民主義者がいることで、上手く廻っている世界もある。

 例えば、彼らは自らを犠牲にして社会の為に尽くす部分もある。自分達は選ばれた存在で、そう思うからこそ所属する社会、所属する国という集団に対して親身になれる。彼らの献身があればこそ、正される正義もある。

 王権や貴族制度のように、選ばれた者達による統治という概念も同じである。政治の為に英才教育を受けた貴族の子弟が治世を行えば、大きく間違った統治は行われない。少なくとも、人的な災害が起きる以外では、国家が進むべき進路を(はず)れることは少ない。合理的な面もある。


 ただし、過度にその思想に(とら)われた場合においては、暴君と変わらない。現代においては、民主主義の普及と共に封建的な社会は否定され、資本主義によって社会的ステータスの格付けは変わった。選民思想を強く持っていたとしても、そこに意味なんて存在しない。

 平民と貴族なんて身分制度はないし、江戸時代や明治時代のように、武士を士族と、貴族を華族と呼んだりすることもない。あるのは経営者と労働者、時間を売るか買うかの違いでしかない。そこに身分の差などありはしない。


 宗教と同じように、それを心の()り所にするのは構わない。自分自身、あるいは自分が所属する集団を至上と考え、他者と違うことを誇りに思うのも自由だ。それによって得られるものは、自信や行動力であり、精神的な支柱でもある。

 しかしながら、人間は至上と(あが)めるものを否定された時、反動で強い拒絶を行動で示す。その信仰が強いほど、疑うことなく暴君になる資質を持っている。人間の恐ろしい負の部分でもある。


 紅葉の知らない所で、ひとりの少女が敵対心を燃やしていた。その炎が燃え上がるのは、もう少し先の話である。


----


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ