少しだけ変化した関係 (3)
買い物に出かけても、結局はいつもの場所に落ち着いたりする。遊びに行くのが目的でも、それは変わらない。
「この場所で良かったの?」
「学校が反対側だから、あんまり行く機会なくて」
私がいつも利用しているショッピングモールに来た。見慣れているので、代わり映えしない景色が広がっている。
個人的には、この場所であれば学生証も使えるので、現金が少なくなってきた今は嬉しかった。
「あのお店が見たいけど、いい?」
「柚希が行きたい場所に付いていくから」
私は二歩下がった位置で、柚希の背中を見つめる。そろそろ秋物の服が欲しいと言っていて、中学生らしくカジュアルなお店を選び、秋服のコーナーを探し始めた。
「これ、似合うかな?」
柚希が選んだ服はどことなく白と黒が多くて、普段の私を意識しているように思えた。
予算的には、柚希は何着も買える訳ではなく、似合っていない服を買わせるのは気が引けた。
この子の素晴らしいところは、私と違って笑顔が素敵なところである。似合うとすれば、元気そうなイメージが強い黄色なんて良さそうだった。
「上着はこっちの……薄い黄色のカーディガンなんてどうかしら」
「着てみるね」
サイズは大きめで、少しだけ袖の部分が余り気味だった。内側に着るシャツが大きめで、そのサイズに合うように選んだのだ。ボタンは留めずに前は開いたままで、羽織るように着てもらった。
「似合ってる」
元気そうで可愛らしい見た目となって、とてもよく似合っていた。先程のようなゴシックを意識した組み合わせだけは、柚希のイメージと違ってしまうので却下する。
「悪くはないんだけど、お姉ちゃんみたいなのが良い」
「それは駄目」
さすがに柚希と出かけるときは、浮かないように心がけた。それでも、白をベースに黒い羽織りを着て、ワンポイントに青を入れた服装なので、ゴシックに似た雰囲気ではある。
柚希は格好良くて可愛いと褒めてくれるが、この趣味に妹を巻き込むことは出来なかった。
「趣味は自由だけど、これだけは駄目よ。貴女には、もっと温かみのある可愛い服を着て欲しい。その方が似合うし、なにより柚希のそういう所が好きだから。分かった?」
「……うん。分かった。そこまで私の事を想ってくれてたなんて、嬉しい!」
あれ? 予想していた反応と違う。
「今回は、選んでくれたこの服を買うね。ありがとう、お姉ちゃん!」
そう言うと、柚希は会計へ向かって行った。最初に入ったお店で服を買ってしまって、この後はどうするのだろうか。
せめて、いくつか見て回って、欲しい服を決めても良かったのではないか。
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その後、何件か似たようなお店を回り、文房具店や本屋に入って時間を潰した。
柚希は買い物はしなかったが、私と一緒に見て回れるのが楽しいと言っていた。それなら、来た意味もあったと思う。
「お昼は私の奢りで良いから、好きなものを頼みなさい」
「ちゃんとお金は残してあるから、自分で買えるよ?」
中学生が持っているお金なんて、たかが知れている。私達の家庭は月あたり二千円がお小遣いなので、あまり使わなくてもさっき買った服と、これから行くカラオケの代金を考えると厳しいと思う。
ただでさえ、私よりこまめにお金を使う柚希は、それほど持っていないと思われる。
「姉らしく、見栄を張らせて欲しいのよ」
「分かった。お姉ちゃん、ありがとう」
お昼は少しだけ豪華なものを食べた。誰かと一緒に食べる食事は、とても美味しく感じられた。
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