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SS 中庭の猫

SSが思い浮かんだので、投稿です。

別作品からのネタからひっぱってきました。

久しぶりなので、もしかしたらどこかボロがあるかもしれません。





 王宮 中庭 『ステラ』


 任務がない時間、ふいにできた暇な時間に中庭にいってみると、そこで見知った顔が立っていた。


 声を駆けようと思った瞬間、唐突にニオが叫ぶ。


「待てーっ、お魚くわえたでぶ猫さん!」


 変な場面に出くわしてしまった。


 ニオの前には、普通の猫よりも大きめの体格の猫がいる。

 お魚はくわえてないが、焦った様子で逃げ回っているのは確かだった。


「でたーっ! 猫だーっ!」


 その通り猫だ。

 目の前にいるし、見れば分かる。


 彼女はあんな所で一体何をやっているのだろう。


「ねえ、ニオ……」

「えぇいっ、つーかまーえたっ。そーれ、うりうりうりー」


 再び声をかけようとするのだが、間が悪かったのかニオが猫に飛びかかる瞬間だった。


 俊敏な動きで猫の前にまわり込んだニオは、そのまま猫をがっちり捕獲。


 そして、こちょこちょを繰り出していた。


 猫が嫌そうに身をよじってる。


「ええと、ニオ?」

「あれっ、ステラちゃんどうしたの? お休み?」


 そうだけど、どうしたのはこっちのセリフだ。


 と、猫に向けるこちらの視線に気が付いたニオが、やっと状況を説明してくれる。


「あー、これねぇ。ちょっとしたお手伝い?」

「手伝い?」

「そ、厨房の人達がお魚泥棒に困ってるみたいだったから、暇な時に捕まえてあげるよーって」

「そうだったの」


 そういえば、ステラもたまに手伝いをするが、前に行った時に魚がなくなって困っている人がいた。


 だからそれを解決する為に、ニオはこの中庭で猫と対峙していたのか。


 なら、目の前のこの……ちょっとふくよかな猫が犯人なのだろうか。


「たぶんね。前にもこの中庭でみたんだけど、なーんか日に日にふとってくし、レイダスが魚の匂いがするとか言ってたから。あたりかなって」


 なるほど。

 脳裏に危険な猛獣の姿を思い浮かべる。

 匂いをかぎ分ける事が得意な彼なら、そういう事も分かるのだろう。


「それじゃあ、目的達成ね」

「うん、ばっちし。でも、女子寮でシーラちゃんロスが続いてるから、このまま王宮で飼ってもいいかなって案がでてるんだ」

「ああ……」


 一時期だけこの王宮にいた少女の事を思い出す。

 彼女はいるだけで周りを明るくしてくれたし、接する物の心を優しく包み込んでくれた。


 けれど、変えるべき場所に帰ってしまったので、お世話していた隊員たちが寂しがっていたのだ。


「それもいいかもしれないわね」

「でしょー。でも、なつくかどうか分かんないのが難点かな。中庭にはよくレイダスが出没するから、嫌になって逃げちゃうかもしれないし」

「いくらなんても猫にまで突っかからないと思うわよ」

「えー、本当にー?」


 ニオがおもいっきり渋い顔になる。

 そういえば、動物を回収する任務では彼がそれなりに活躍していた。

 脳裏にライオンをノシてる彼の姿を思い浮かべて、ちょっと自信がなくなってきた。


「小屋とか部屋で飼えるなら、そうした方がいいかもしれないわね。猫の性格にもよると思うけど。レイダスには私から言っておくわ」


 だからそう言うと、 一瞬で機嫌がなおったようだ。


「うん、ありがと。ステラちゃんってば、あいかわらず頼もしい!」


 猫を抱えたままのニオにすりよられて、どちらが猫なのか分からなくなる。


 ともかく、飼うというなら餌とか飼育場所とか色々考えなければならないだろう。


 この猫が、意気消沈している隊員たちの良い相手になればいいのだが。






 数日後。

 それなりに人慣れした猫は、正式に中庭の住人になっていた。


 部屋や小屋にいれようとすると暴れるので、百パーセント管理するのは難しいが、食堂の食べ物をもっていくとある程度行動をコントロールできるのが救いだ。


 懸念していたレイダスとのケンカは起きていない。


 獣の本能で察知するのか、猫の方が彼と鉢合わせないようにしているようだ。


 想定していた形ではないけれど、その猫の存在はシーラに次ぐ王宮のアイドルとして隊員たちの間で人気になっていった。



※(作品中間部分に付け足していた、王宮騎士編を完結させました)


 伏線が出てきてしまいましたが、続きは書ける時に書きます。ここまでお付き合いいただいた方、何となくと見ていた方、ちらっとして通り過ぎていった方、ありがとうございます。

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