お命だけは!
書いている途中でわけがわからなくなっています。←
見目麗しいお兄さんのフラグ建設によりその場の空気がピリッとしたものに変わった。
「そうだな茂…。このちんちくりんとあっちの女、まとめてやるか?」
わー、あのお兄さん茂とか顔に似合わず渋い名前してるなー… って!そうじゃないよ!今の「まとめてやるか?」の「やるか?」は「殺るか?」の「やるか?」ですよねそうなんですよね!うぁぁぁぁぁぁぁ!終わった!どこの選択肢だ!どこで間違えたぁぁぁぁ!死ぬの?!私死ぬの?!
頭の中はパニックだ。でも本能が私に告げる。何か叫べと。
「まずはこの小さい子の方から…」
「お代官様お命だけは!どうかお命だけはぁぁぁぁぁぁぁ!!」
綺麗なお兄さんが話し出したのとほぼ同時に私はその場に膝をつき叫んだ。
「……。」
もうこうなればヤケクソだ!まだヤンデレ化してなはずだから少しは情があるって信じてる!!
ぎゅっと目をつぶって反応をまつがなにも反応が何もない。
一瞬シーンとした後、片瀬君の笑い声が教室に響き渡る。
「ぶっ、あはははははははは!やべー!あはは!これは、笑える…ぷっ、くく、お代官様とかどこの時代劇やん、あははははは!」
なんだこの覚えのある感じは…。
パッと顔を上げると前に立っている副会長は眉間にシワを寄せそこを指で抑えている。
ん?どういうことだ…?
私がポカンとしていると副会長が眉間から手を離し私を見た。それも哀れなものを見るような目で。
ひとしきりわらい終わり少し落ち着いてきた片瀬君が口を開いた。
「あー、おもろかったー!あんな柚木ちゃん、俺らかてこっちの存在ばれたくらいでなにも殺そうなんてせんよ?なぁ、副会長さん?」
「当たり前だ。俺たちもそこまで外道じゃない。何を勘違いしてんだこいつ…」
「え?殺され、ない?」
なんということでしょう。ここは死亡フラグのたつイベントではなかったのです。
考えてみたら攻略キャラとのファースコンタクトで死亡フラグたつとかないか…。
と安心した途端羞恥心がどんどん襲ってきた。
うあぁぁぁぁ…。恥ずかしい!向こうから見たら叫びまくっていきなり殺さないでとか頭おかしい人みたいじゃない!
「先輩たちが怖い顔してこの子を囲んでやるとかやらないとか話してるから勘違いしたんじゃないんですか〜?」
へらっとした身体の大きな男子生徒が近くに来て手を差し出した。頭には犬のような耳がピンと立っている。
「大丈夫〜?俺はあの怖い人達とは違うから安心して〜」
なんていうかホワホワした雰囲気の人で安心できる。彼の手を借り、立ち上がると彼はキラキラした目で私を見てきた。
こ、この目は何を訴えてるの…?
「え、えっと、ありがとうございます…?」
わけがわからずお礼だけ言うとわんこ耳の彼はすごく嬉しそうに「どういたしまして」と返事をした。
お礼言って欲しかっただけなのかな?
「ひ、非常に助かりました」
と付け加えると更に笑顔が輝いたように見えた。
わんこだ。すっごくわんこだ。
無意識に頭を撫でるともっと撫でてとすりつけてくる。身体に似合わず可愛い。
なんて和んでいると副会長がわんこさんの頭を後ろからはたいた。
「あいてっ」
「何やってんだお前、だから犬って言われんだよ」
「え〜、狼なのに〜」
耳がしゅんとなる。
あ、そういえばこの人は狼だっけ…姿を変える時だけ眼鏡外すとかそんな設定あったような…リサーチメモもってこればよかったー…せっかく思い出したのにメモできない。
ちょっとがっかりしながらも他のキャラの顔だけでも見ておこうと思ったところにまた副会長がずんっと前に来た。
「うわっ!」
「んで、処分についてだが、ちんちくりんとこの女と分けるのはもう面倒だからまとめて処分を言い渡す」
「は、はい!」
綾瀬さんは少し緊張した声で返事をする。
私も生唾をのみ副会長の発言を待つ。
「お前ら2人にはこれから一年間生徒会の雑用係をしてもらう。以上」
え、まさかのそれだけ…?
自分の中で突っ込みたいところがいくつかあるので次で突っ込んでいこうかなと思っています。