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鬼の居ぬ間に

柚木のキャラが安定しないのはデフォです←

あー、教室に入りたくない…。

副会長と別れてから教室へ向かうまでの道のりでそればかり考えていた。昨日の事件の事も噂になっているかもしれないし今日の副会長との登校もいろんな生徒に見られているはずだ。

ふぅ、と一呼吸おいてから教室のドアをゆっくりと開けた。

案の定クラスメイトは私に注目する。そしてこそこそと聞こえないように噂話。

うん、覚悟してたけどね、生徒会雑用の時もそうだったけど結構キツイ。

でも自分の席を見ると片瀬君がいて安心する。片瀬君はいつも私よりも早く登校しているらしく私が教室に入ると笑顔を向けてくれる。私はそそくさと自分の席へと向かった。


「柚木ちゃんおはよう!」


「おはよー」


前もそうだったけどいつもの挨拶もとてもありがたく感じる。


「柚木ちゃん柚木ちゃん」


私が座ると片瀬君がいたずらっ子のような顔で私の名前を呼んだ。


「どうしたの?」


「お昼どうするー?」


こいつあほなのかぁぁぁぁぁぁ!!

こんなことをここで話したらだめだろばかぁぁぁぁぁぁ!!

ただでさえ副会長と登校したのとであらぬ噂を流されているであろうに今その話したら私がいろんな人と関係持ってるみたいになりなねない。というかなると思う。


「あ、えと、その話しは…」


なんとか今ここでその話しをしないように遮ろうとすると片瀬君はしーっと皆に分からないように指をたてた。

何を考えてるの本当。


「あれ?副会長さんが生徒会の親睦を深めようとかいうのでこれからお昼は生徒会室に集まれとかメールきてたんやけど柚木ちゃん見てないん?面倒くさいけど行かんと副会長さん怖いし俺行こうと思ってんねやけど弁当とか無いしどないしよーと思って」


ん?そんなメールは来てなかったぞ?朝副会長からも何も言われてないし…。というかそもそも片瀬君は生徒会役員ではない。


「え、片瀬君生徒会じゃ…」


「あはは、柚木ちゃんなに言ってんねん。ほんま天然やなー」


片瀬君はおかしそうに笑いながら私の言葉を少し遮るようにかぶせてきた。余計なことは言うなってことかな。


「昨日鬼ごっこ終わった後副会長さんから俺が広報やるように言われてたやん?あ、もしかして柚木ちゃん上の空やったん?」


片瀬君は笑顔だけど瞳の奥で何かを訴えるような目をした。

もしかして話しを合わせろってこと…?


「あ、あぁー!そういえばそうだったね!いやー、昨日は鬼ごっこに疲れて少しぼーっとしちゃっててーあははー。朝も副会長がお昼集まれってそういえば言ってたよ。親睦を深めるためとか言って寮まで迎えに来てくれるとか意外だよねー!」


何もないところから嘘を広げて行くなんてしたことがないから声が裏返りそうになる。片瀬君はしれーっといしていてすごい。


「うんうん、しかも『2人でもコミュニケーションがしっかり取れるように毎日交代で登校するように。ただし男が女に迎えに来させるなんてみっともないことにならないように男が迎えに行く事』とか言っちゃって副会長さんジェントルマンよなー」


「だよねー。ハハハ…」


こんな嘘デタラメを副会長に聞かれたりしたら多分私たち殺される。主に精神的に。と思った瞬間スマートホンがポケットの中で揺れてメールを受信したことを知らせる。

意を決して見てみると送り主は副会長様。自分の顔が青ざめて行くのが分かる。受取人のところの欄には片瀬君の名前もあり同じメールが送られているようだ。


件名「昼」本文「お前ら昼覚えておけよ」


短い文でも副会長様の眉間にシワをお寄せになり睨んでいる顔が容易に思い浮かぶ。片瀬君をチラリと見ると「聞いてたんかー」と苦笑を浮かべながらボソッとつぶやいた。この文を見て恐れ戦かないとか肝が据わりすぎているよ…。

間違いなくお昼はお説教コースですね。

でも片瀬君がこの話しをわざとふってきたということはこれから私や雫ちゃんがお昼を生徒会の人達と食べたりしないといけない理由などを遠回しに周りへアプローチしたんだろう。理由も分からずそうなっているのと嘘にしろなんにしろ理由がついているのとではだいぶ印象が違うはずだ。これで色々なありえない噂が流れる確立は少し減ったと思う。


「柚木ちゃん片瀬君、おはよう」


「あ、唯ちゃん、おはよう」


一緒に過ごすようになってまだ1ヶ月もたっていないけど唯ちゃんはすごくしっかりした子だと思う。私達の噂話だって教室にいれば嫌でも耳に入ってくるはずだ。でもそれに流されないでちゃんと私達と向き合ってくれる。私達と関わることで唯ちゃんにも死亡フラグが立ってしまわないかだけが心配だ。


「柴田おはよー!」


「2人がお昼の事話してたからお腹空いちゃったよー。今日の日替わり定食何かな。楽しみー」


お腹をさすりながら冗談っぽく唯ちゃんが言った。


「またまたー。そんなこと言ってほんまに楽しみなんは彼氏さんとの憩いの時間やろー?」


ニヤニヤしながら茶々を入れるあたり片瀬君には親戚のおじさんの素質があると思う。


「もー!やめてよー!」


唯ちゃんはほんのり頬を染めながら頬に手を当てて恥ずかしそうにうつむく。

照れる唯ちゃんほんとジャスティス!

唯ちゃんには一つ上の学年に彼氏さんがいる。実は幼馴染で中学の時に付き合い始めて今に至るらしい。この学校に入ったのも彼を追いかけて来ての事で愛のパワーってすごいなと思いました。初めてこの話しを聞いた時少女漫画的な展開過ぎて心の中で悶えたのは秘密だ。


「皆おっはよー!なんの話してたのー?」


「雫ちゃんおはよー」


「綾瀬さんおはよー!なぁなぁ聞いて!柴田さんがさー」


「うんうん、なになにー?」


いつの間にか唯ちゃんの恋バナへと話題が移った。もしかしたら唯ちゃんが気を遣ってくれたのかもしれない。そうだったら唯ちゃんを女神と崇めよう。そうしよう。

最近イレギュラーな事が多かったから普通のこの感じが嬉しかったりする。

あー、このまま今までのことがなかったかのように今の時間が続けばいいのになー。

でもそうはいかないのが人生というもので無残にも時間は過ぎて行った。

そしてお昼……





「おい、お前ら朝のことはどういうことだ…?」


片瀬君と私は副会長様がお座りになられている前に立たされている。無意識に背中がぴーんとなってしまうくらいの威圧感だ。そして副会長の顔は想像したとおり眉間にシワを寄せ睨んでいる。

あーもー、副会長様怖すぎるよー!

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