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鬼さんこちら

セリフの前に開けました


「はぁぁぁぁぁぁぁ…」


盛大なため息をついた私は今グラウンドで新歓ことリアル鬼ごっこの説明を受けている。

一応鬼役とはいえ生徒会ではない為他の生徒と同じくクラスごとの列にいなければいけない。

昨日は女子からの呼び出しの一件もあったせいで全然眠れなくて寝不足で死にそうだ。昨日呼び出してきた女生徒達はどうやら3年生らしく遠くから私のことを睨んでいた。いや、怖くて見られないから睨んでいると感じる、が正しいかな…。ハハッ。一刻も早くここから逃げたい。

前では副会長が詳しい鬼ごっこの説明をしている。


「新入生歓迎会では毎年恒例になっている鬼ごっこをする。鬼ごっこと言っても鬼は俺たち生徒会と助っ人3人だけとする為捕まった生徒は各自腕に着けている名札を鬼役に渡して速やかにグラウンドで待機とすること。暴力や相手が怪我をすることは禁止とする。この2つを破ったものはそれ相応の対応をさせてもらうつもりだから覚悟しておけ」


最後の会長の声がいつも以上に迫力を増していて皆が息を飲むのがわかる。


「そして、皆が気になっているであろう鬼役から時間内逃げられた時の商品だが食堂の特別ランチ1年間無料の特権を与える」


わーっと生徒達が湧く。

食堂の特別ランチは毎日限定10食しかなくいつも争奪戦となるランチだ。それを1年間食べれるなんて夢みたいな話だけど生徒会から逃げ切るなんて可能なんだろうか…。

ちなみに一条先輩に聞いてみたら先輩が他の先輩に聞いた限り今の生徒会メンバーが生徒会に入る前の1年の時逃げ切ったらしい。末裔の力を持った生徒は人に危害を加えない程度には力を使ってもいいらしいから先輩たちは力を使ったんだろうなーと思う。


「よし、では今から1分時間を与える。それまでに各々学校内で逃げるように。終了時間は6限の終わる時間まで。昼休憩はいつも通りだ。以上!」


その副会長の合図と共に生徒が一斉に走り出す。私と雫ちゃんと片瀬君は残り生徒会メンバーのところへと集まった。


「おー、集まったなー」


倉内先輩が皆を見渡す。


「さーて、何人捕まえるかなー。今年は追いかける側だから楽しみだわー」


はははっと笑いながら言ってるけど私にとっては死ぬかもしれないイベントなため笑ってる場合ではない。


「ん?どうしたの柚木ちゃん、元気ないねー!」


そう言いながら倉内先輩が肩に手を回してくる。

や、やめい!


「え、あ、いや、そんなことないですよ?」


それとなーく腕を外そうとするとふっとその腕がどかされた。


「ほんま大丈夫?顔色悪いよ?」


どうやら片瀬君が倉内先輩の腕をどかしてくれたらしい。そして腕をどかされた倉内先輩は何故かニヤニヤしながら片瀬君を見ている。

人のこと言えないけどニヤニヤしてるとか気持ち悪い。


「うん、大丈夫だよ!ちょっと寝不足なだけー」


大丈夫だと伝えても片瀬君は少し不安そうな顔をしていた。そんなに顔色悪いかな…。

片瀬君がまた何かを言おうと口を開いたときにタイマーの音が鳴った。


「時間だ。お遊びとはいえ生徒会が舐められるわけにはいかない。1人も捕まえれなかったやつはわかってんだろうな」


ひえぇ…。捕まえれる自信なんてないよ!


「わかってるって!じゃあ行きますかー!」


「わーい、鬼ごっこー!」


「時間など数分で十分ですね」


「まぁ気張らん程度にやなー」


「よーし、やるからには頑張るぞ!」


「皆怪我しない程度にね」


とそれぞれイベントっぽい台詞を言って散りじりに走り出した。

イベント始まっちゃったよー。


「うーん、取り敢えず校内に入ろう」



開始から数分で校内のあちらこちらこら悲鳴が聞こえてくる。皆頑張ってるんだなー。

こっちにメリットはないけど皆負けず嫌いっぽいからなー。

それにしても窓が空いているせいか風がすごく通る。この時期の風は気持ちがいいなー。

いやいや!こんな和んでる場合じゃないよ!1人でも捕まえないと副会長様になにされるかわかったもんじゃない。しかも私は運動が出来るわけじゃないから早めに捕まえないと人が少なくなってからじゃ今より捕まえにくくなるのは目に見えてる。

きょろきょろと見回すと女の子が何人か階段を上って行くのが見えた。追いかけないと!

女の子達を追って私も階段を登る。

3階まで上がると廊下を走って行くのが見えて更に逃げて行く。でもどこか違和感を感じた。なんていうか本気で逃げてないというか…。

さっきも言った通り私は運動神経はそこまでよくない。しかも体力もない。それなのにこんなあっさり捕まえられそうになるんだろうか。いや、運良く逃げてる女の子が私よりも運動神経なくて体力もないのかもしれないし…。

そんなことをぼーっと考えながら追いかけていると女の子との距離が腕をのばせば届く距離となった。階段を降りようとした隙に手を伸ばすと女の子がすっと横にズレて私の後ろに回り込むと背中をとんっと押した。

私は勢い良く女の子に手を伸ばしたから踏みとどまることは出来ない。そしてそのまま階段から真っ逆さまへと落ちる。

チラリと女の子の顔を見るとニヤッと笑っているように見えた。

あぁ、やっぱりフラグ折るのなんて無理だったんだ…。

私は落ちていく途中で意識を手放した。

危機感薄すぎですね←

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