こういう展開いつか来ると思ってました
ちょっとシリアスな感じになっている、はずです!←
楽しい()雑用はライフも過ぎていきリアル鬼ごっこ前日となった。相変わらずクラスメイトの目はあまり変わらないけど慣れてきたのか1人でいても今はあまり気にならなくなってきた。慣れってすごいなあー。
私と一条先輩の作業もなんとか前日までには間に合った。よかったよかった。
「おい、お前ら新歓は明日だ。各自準備は終わってんだろうな」
副会長様は皆を見回した。それに応えるように皆こくんと頷く。
「ふん。じゃあ今日は学園内の準備に入るぞ」
学園内の準備って何するのかな…。
「毎年いるが俺たちに捕まらないために学園内に色々仕掛けるやつがいる。全部の教室周って何かないか確認しろ。いいな」
「はーい」
「見て周る組は作業した組で周れ。1人で確認すると万が一何かあったら困るからな」
うーむ、仕掛けるってどんなんだろう…。爆弾とかナイフとかそういうのかな?考えるだけでもぞくっとする。これもフラグ回避になるなら全力でやらねば…!
「じゃあ諏訪さん、行こうか?」
「はい!」
私たちは担当の教室を周っていく。念入りに調べてまわるけれど特にめぼしいものはない。あってもゴミくらいだ。まぁ何かあっても困るけどね!
調べる教室もあと数室となった時に何人かの女の子が私を呼び止めた。
「ねぇ、貴方、ちょっといいかしら?」
わぁお、こういうのきますか…。
彼女達の目は笑っているが奥の方では嫉妬が渦巻いでいるように見える。
「す、すみません。今ちょっと…」
出来れば避けたい。こんな女子の怨念みたいなの私には関係ないと思ってたのに!
「一条様、この子をお借りしても?」
リーダーらしき女の子が一条先輩を見た。ていうか一条様?!様付?!まじか!いや、乙女ゲームの世界だからあるのか、うん、そうだね…。
「うーん、周る教室もあと少しだしそんなに大変じゃないから僕は構わないよ?」
一条先輩のばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!信じてたのにー!天然なの?!鈍感なの?!どっちもなの?!?!
「じゃあ大丈夫ね、さぁ行きましょう」
「ハ、ハイ…」
彼女達について行くとほとんど人の来ない教室へと連れて来られた。もちろんもう確認のすんでいる部屋だから他の生徒会役員がくる可能性も低い。
そしてお決まりの女子生徒に囲まれるあれです。
「なんで貴方なんかが生徒会に入り浸っているのよ。それにもう1人のあの子。まだあの子は顔がそれなりにいいから見逃してあげるわ。でも貴方は頭がいい訳でも、顔がいい訳でも、運動神経がいい訳でもない。それなのになんで!!どんな手を使って生徒会の皆様に取り入ったのよ!!」
下校時刻過ぎてから学校に入りました以上です。
なんて言ったら会長に殺されそうだから死んで言わないけど。
「わ、私にもなんでか理由はわからなくて…」
「嘘おっしゃい!!なにか!何かやったんでしょ!その貧相な身体じゃ色気なんて使えないだろうし……。今明かしたら許してあげないこともないわよ?」
凄い上から目線ですね!あと貧相な身体で悪かったですね!!どうせあなたたちみたいに胸は出てないしお腹は引っ込んでないしお尻はきゅっとしてないですよ!くそう!見た目も中身も女子力足りてないのは知ってるんだよ!!
「ほ、本当にわからないんです!た、たまたまもう1人の雑用係の子といたからじゃないですかね…?」
わかりやすい嘘をついたと自分でも思う。
彼女達は凄く苛立った目で私を睨みつける。副会長様並みに怖いのでやめてもらっていいですか…。
「そんなわかりやすい嘘で切り抜けれるとでも思ってるわけ?」
思ってません。
「いや、でも本当に…」
「貴方自分がどれだけあの場所に相応しくないのかわかってるの?!あの教室には選ばれた人間しか入れないのよ?!まぁ、貴方には他の方達の素晴らしさなんてわからないでしょうね」
一条先輩だけは認めよう。
「生徒会の皆様は見た目も頭脳も運動能力も全てにおいて他を圧倒的に凌いでいる方達なのよ。それもお家柄も素晴らしい。まさに完璧!」
へー、そうなんですかー。興味ない。てかそろそろイライラしてきた。
「ちょっと貴方!話しを聞いてるの?!」
私の中で何かがプチんと切れた音がした。
もう無理だ。
「うるさいわねぇ…」
「え?なんですって?」
「うるさいって言ったんだよ!!」
私はお腹のそこから声を出して叫ぶように言った。
女の子達はびっくりした顔で私を見る。
「あの人達がどれだけ素晴らしいとか知るか!こちとら入学したばっかりでこの前出会ったばっかりだわ!あんた達はずーっと前から見てきたかもしれないけど私は初めての接触なわけ分かる?!てか私だって好きであんなとこ行ってるわけじゃないわ!だれがあんなとこ好き好んで行くか!!そんなにあの人達に近づきたいならあんた達のその無駄についた胸とお尻で誘惑して仲間にでも入れてもらえばいいんじゃない?」
「な…!」
女の子たちは怒りに顔を赤らめる。自分が何を言ってるのかわからないけど思ったことをとりあえず口に出していた。
「とにかく!私は理由は知らない!知ってても言わない!特にあなた達みたいな跡取り目当てみたいな人達にはね!」
言いたいことを言ってはーはーと少し息が切れるくらいにしゃべった。
はっと気づくと女の子たちは怒りに震え私をさっきよりも凄い目で睨んでいた。
そしてドアの外に一条先輩がたっていて苦笑いを浮かべあちゃーといった雰囲気を醸し出していた。
「あのー、お取り込み中のところごめんね?もうそろそろ下校時刻だよ?」
先輩、もう少し早く声かけて欲しかったです。
「い、一条様!も、もうそんなお時間なのですね。ありがとうございます。私たちはこれでお暇させていただきますわ。失礼」
彼女達のはそういうとそそくさと教室から出て行った。でも私は聞き逃さなかった。いや、聞き逃せなかった。リーダーらしき女の子に「これで終わりだと思わないことね」と言われたことを。
彼女達が出て行って少しした後一条先輩が私の近くに近づいてきた。
「えーと、諏訪さん大丈夫?」
やってしまったという後悔が頭の中を駆け巡りぽかーんとしている私を心配してくれているらしい。
「は、はい」
「そっか、それならいいんだけど…。あ、そういえば部屋は全部確認し終わって未来に報告したら各自で帰ってもいいって言ってたよ?」
「あ!ありがとうございます!最後任せてしまって…」
部屋のことを任せてしまったことをすっかり忘れていた。申し訳ない。
「いやいや、全然大丈夫だよ」
先輩はにっこり笑って返してくれた。本当にお優しい。
「それよりも、さっきの子達なんだけど明日はイベントだから少し気をつけた方がいいかもしれない。解決しないまま僕が教室から追い出してしまったから明日なにか起こらないとも限らないし…」
やっぱりそうですよねー。それもあんな捨て台詞はいていったし。
「ハハハ…」
こういう風に女子に絡まれたことって私の人生の中で初めてだからどうしていいか分からない。セオリーとしては靴隠されたりとかいじめに発展するケースだけど死亡フラグ乱立乙女ゲームだからなー。うーん。
「未来達に一応報告だけしておこうか?」
一条先輩はスマートホンを取り出して何かを打ち込み始めた。
「ま、待ってください!」
私は慌てて何かを打ち込む先輩の手を押さえた。
副会長に知られたらめんどくさいことになりそうだしそもそも怒られそうだ。これ以上目をつけられるのはごめんだし、叱られるのも嫌だ。それに副会長に報告をして彼女達に副会長から中途半端に注意なんかされた日にはもっと反感を買ってしまいそうで怖い。
「でも…」
「お、お願いします!彼女たちもすぐには行動を起こさないかもしれないし!」
私は先輩の目をじっと見つめて訴えてみた。先輩も諦めたのか「わかった」と言って打ち込みをやめてくれた。
「でも本当に何があるかわからないし困った時のために連絡先交換しておこう?」
「え?」
まじですか?
「ほら、早く出して?」
一条先輩は笑顔で手を出したけどものすこく黒いオーラみたいなのか出ている。
ちょっと怖いっすよ…。
逆らうともっと怖いことになりそうなのでおずおずとスマートホンを一条先輩に渡した。
「緊急の時は電話かけてくれれば多分出るし何かあったらちゃんと連絡するんだよ?いいね?」
「はい…」
「じゃあ帰ろうか?」
不可抗力とはいえ、また攻略対象キャラの連絡先をゲットしてしまったよ。