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見られるのって好きじゃないんです

会長の名前間違えていました。

正しくは蔵内遥歩です。


「はぁ………」


朝アラームが鳴り、起きるとため息がでた。

昨日雑用を言い渡され初の死亡フラグイベントの宣告をされたから憂鬱でないはずがない。

副会長様の目があるから行かないという選択肢も出来ないから最善を尽くして死亡フラグをなんとか逃れなければならない。

後ろ向きな気持ちをなんとか抑えて学校へと向う。寮を出る時に管理人さんに「大丈夫?」と心配されてしまった。私の身を案じてくれるのは貴方だけです。マジ天使。


教室に着くと既にクラスにいたクラスメイト達が私を見た。昨日の校内放送が理由なのは明白だ。

やっぱりこういう目で見られるよねー。覚悟してたけどね、うん。

またため息が出そうになるのをぐっとこらえて自分の席へ行くと片瀬君が笑顔で挨拶しくれた。


「おはよー!」


普段通り接してくれるのが嬉しい。

「おはよう」


「昨日なんや大変やったみたいやなー。今日から行くん?」


少し小声でこそこそっと聞いてきた。片瀬君なりに気を遣ってくれたんだろう。


「うん。避けられないみたいだから諦めて行く。まだ1人じゃないだけ救いがなって思うことにしたよ」


「そっかー。あ、俺も一応駆り出されたから困ったことあったら言ってな?」


おぉ、片瀬君も行くのか。まぁそのうち生徒会にも入るから副会長も誘ったのかもしれない。


「そうなんだ!お互い頑張ろうね」


「おう!あ、綾瀬さんや」


あれ?呼び方名前じゃない………?うーん、まだ絡みが少ないからかな…。そんな気にすることじゃないのかもしれないな。

つっこむのはやめて雫ちゃんの方を向いた。

雫ちゃんもクラスメイトに注目されているけど本人は気にしていないみたいだ。


「柚木ちゃんおはよー!」


「雫ちゃんおはよう」


雫ちゃんは何故かぎゅーっと抱きついてきた。雫ちゃんは少し胸が大きいから私に当たる。役得ぐへへ。


「綾瀬さーん、俺もおるんやけどー」


片瀬君はじとーっとした目で私たちを見る。

おーおー。嫉妬ですか?既に嫉妬ですか?普通の恋愛はおばちゃん許すよ!でも怖いのはだめ!


「あ、片瀬君もおはよー!」


雫ちゃんはにこーっと笑って挨拶した。少し挑戦的な表情にも見えなくもない。


「おはよー。あ、今日から俺もあそこいくからよろしくなー」


あそことは勿論生徒会室の事だ。


「あ、そうなんだー!よろしくね!」


そのあと唯ちゃんも来てしゃべっていたらそんなに周りの目も気にならなくなった。改めて友達ができてよかったなと思った。



授業も滞りなく終わり私と雫ちゃんと片瀬君は生徒会室へと向かった。

生徒会室には生徒会メンバーが既に揃っていてそれぞれ机に向かってる。


「ちはー!」


「遅い!ホームルーム終わってからどんだけ時間かかってんだよ!」


えー…。そりゃ先輩たち既にいるけどさー。教室からここまで遠いんだもんー。

なんてことは言えないのでとりあえず謝っておいた。


「すみません…」


「すみませんでした」


「すんませーん」


片瀬君は謝る気ないでしょ!それ!

片瀬君をチラッとみるとふーんと顔をしている。メンタル強いな…。


「まぁいい。新歓は今月の20日にやる予定だ。それまでに準備しないといけないから覚悟しとけ」


え、え、マジですか?今3日だからあと16日しかないじゃない!


「そ、それ間に合うんですか?」


「難しいがやらないといけない。だからいま急いでやってんだろうが」


と言いつつも副会長様はコーヒー飲んでまったりしてますけど…。


「なんだよ」


副会長様は私がじっと見ているのが気に入らなかったようだ。怖い。


「い、いえ、なんでもないです」


「……。今から割り振るからそれぞれやれ。いいな」


片瀬君は顔立ち綺麗なお兄さんとわんこ先輩と、雫ちゃんは蔵内先輩、私は一条先輩と組になって仕事することになった。

え?副会長が入ってないって?ははっ、そこは、ほら、副会長様だから、ね…。

私達の担当は名札作りと腕につけておく印作りだ。全校生徒分の名札を作らないといけないからすごく大変だ。

はぁ、とため息をつくと一条先輩がクスッと笑った。


「大変だろうけど皆が楽しめるように頑張ろうね?」


本当に一条先輩は落ち着いてるなー。前と同じようにお兄さんオーラ全開だ。見た目は中学生とかそれくらいに見えるのに不思議だよね。


「はい!会長に殺されたくないので頑張ります!」


「あはは、殺されるって大げさな」


それが大げさじゃないかもしれないのだよ一条先輩。


「未来は少し怖い雰囲気があるけどいいやつだから誤解しないであげてね?」


「そうなんですか?」


「うん、なんだかんだ言って優しいからねー。まぁ、それは置いといて、昨日生徒全員分の名札は刷っておいたから今日からは切る作業と名札ケースに入れる作業と別れてやろうか」


そう言うと一条先輩は机に印刷した紙を置いた。全校生徒1200人くらいで1枚の紙に6つ名前が印刷されてるみたいだから約200枚くらいになる計算だ。


「じゃあ僕は切るから諏訪さんはケースに入れる作業よろしくね?」


「はい!頑張ります!」


「ふふ、僕も頑張るね」


男の人で!ふふって!可愛すぎか!この人癒しだわー。

一条先輩は名札をカッターで切り、私はそれを丁寧に名札ケースにしまっていく。副会長様曰く「失敗したり折れたりしたらわかってんだろうな」だそうです。死ぬ気で丁寧にやりますとも。

そしてなんだかんだしているうちに下校時間になった。




「下校時刻なったから雑用はもう帰ってもいいぞ」


「え、もうそんな時間なんですね…」


一条先輩に癒されながらほっこり作業をしていたから全然気づかなかった。


「諏訪さんお疲れ様。また明日ね」


「はい!お疲れ様でした!お先に失礼します」


一条先輩とばいばいとしあったあと雫ちゃんと合流して帰路についた。


「柚木ちゃんお疲れ様ー!座って作業だったけど疲れたー」


雫ちゃんは「んー」と伸びをする。


「でも私は少し楽しかったかな」


主に一条先輩に癒されて。


「うそ!いいなー。私町田先輩だったんだけど所々にキザな?こといってきて対応に困っちゃったよー」


町田先輩ならやりかねないなー。


「でも……」


でも?でもなんだね?


「でも悪い人ではないんだなって、ちょっとだけ、思った…」


お、おお?これはよい兆しではないか?!

私はニヤニヤしたいのを必死で抑えて雫ちゃんの顔を見るとすごく真剣な顔をしていてびっくりした。

これはいったいどういうことなんだろう。

すごく聞きたかったけど聞いてはいけない気がして「そうなんだー」とだけ返しておいた。

そのあとは雫ちゃんも普段の感じに戻ったし気にしないでおこう。



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