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普通っていいね

購買で売ってる手作りパンってすごく美味しく感じますよね。


「おっいしー!」


「うん、これめっちゃ美味しいな!普通にやみつきになりそうやわ!」


私と片瀬君は一条先輩と別れたあと予定通り教室に戻り購買で買ったパンを食べた。

パンはゲームで描写があったようにすごく美味しく片瀬君が言ったようにやみつきになる味だ。

ハムとサニーレタスが挟んであるだけとシンプルなパンだけどドレッシングが少しかかっていてそれがまたパンにもハムとサニーレタスにもあっていていいアクセントになっている。

お店のお兄さんもイケメンだったし片瀬君にパンをお礼するのもあるからまた行こうそうしよう。決してお兄さんメインで目当てなんかじゃないんだからね!


その後もたわいない話しをしてパンを食べているとだんだんとクラスメイトも登校し出し集まってきた。私は雫ちゃんが来たのを見計らって片瀬君と離れることにした。

何度も言うけれど片瀬君は一応攻略キャラの1人だ。イケメンなのは当たり前でそれにともなってファンやらおっかけみたいな人が出てくるはずだ。入学したてとはいえ学年には片瀬君がイケメンなのは伝わっているはずだからそういった子達に片瀬君と平凡以下な私が一緒にいるのが見られれば嫉妬されないとも限らない。ただでさえ可愛い雫ちゃんがゲームでそういった女の子達に攻撃されたのだから私なんてもっとひどいことに…。考えるだけでも身震いする。女子こわいよー。

私はそそくさと雫ちゃんのところへと駆け寄った。


「雫ちゃんおはよう」


「あ!柚木ちゃんおはよう!昨日は大変だったねー」


雫ちゃん!それ大きい声で言ったらいかん!


「あ、う、うん、そうだねー!そういえば!今日から授業だけど私ついていけるか不安だよー」


いずれは他の生徒に雑用の件は知れ渡るだろうけどわざわざ早めに知られるのも困る。

それとなく違う話にふってみると雫ちゃんはがっくしと肩を落とした。


「私勉強あんまり得意じゃないから不安だよー!わかりやすい先生だといいね!」


私が言うのもなんだけど雫ちゃんは頭がそこまでよくない設定だったはず。会長と副会長とのイベントで勉強会みたいなのがあったような…。そこで距離を縮めるんじゃなかったかな。


「そうだねー。私も得意じゃなくて特に英語がからきしダメなんだよー」


「わかる!あんな呪文みたいなのわかんないよね!」


「ほんとにねー」


現役高校生だったとはいえ英語だけは本当にだめだったなー。数学とかならいけるのにー。


「あ、あの…!」


そんなことを話していると遠慮がちな声が聞こえた。

振り返ってみるとメガネをかけていて髪をかたっぽで縛っている女の子がいた。


「あ、えと、私同じクラスの柴田唯っていいます。私もお話しに混ぜてもらってもいいかな…?」


柴田さんはとても大人しそうな印象だけどどこかしっかりしてそうな雰囲気もある感じだ。


「うんうん!どうぞー!」


雫ちゃんがそう答えて私笑顔で頷くと柴田さんは安心したのかほっとした表情を見せた。


「よかったー。私人に話しかけるのか苦手なんだけど待ってるだけじゃダメだって思って2人に話しかけたんだー。思った通りいい子達でよかった」


私も人に話しかけるのか苦手だから気持ちよくわかる。それも始めての人だと特に緊張しちゃうんだよねー。


「いい子だなんて照れるなー。あ、私は綾瀬雫だよ!下の名前でぜひぜひ呼んでねー!で、こちらは…」


「諏訪柚木です。私も下の名前で呼んでもらえると嬉しいな」


「雫ちゃんと柚木ちゃん…。覚えた!私の事も下の名前で呼んで欲しいな」


少し恥ずかしそうにでも嬉しそうに言ってくるその姿は可愛い。

やっぱり女の子が恥ずかしがってたり照れたりしてると萌えるよねー。ご馳走様です。

ん?ちょっとまでよ…。もしかしてこれってこの学校にきて始めてのゲームに関係ない人との関わりじゃない!それもお友達!確かゲーム中に出てないはず。だって雫ちゃんそもそも攻略キャラ以外にお友達できなかったし!しかも唯ちゃんってばしっかりしてそうだから雫ちゃんのうまいストッパーにもなりそうだ!やっふうううい!

あぁ、神は私を見捨ててはいなかった。普通の女の子をありがとう。

雫ちゃんと2人行動っていうのは危険すぎたから本当に助かる。この子は大切にしよう!


「おーい、席につけー!主席取るぞー!」


柳先生が声をかけてきたので私達は席に戻った。

その後午前の授業が終わり、雫ちゃんと唯ちゃんとご飯を食べ、午後の授業も無事に終わった。授業のペース的にはそんなに早くもなく、わかりやすかったので助かった。これならテストも平均は取れそうだ。


帰りのHRも終わりこのまま平和に終わったらいいなーなんてことを思いながらぼーっとしながら帰りの準備をしていると無残にも希望は打ち砕かれた。


「えー、業務連絡。1年D組の綾瀬雫と同じく1年D組の諏訪柚木。今から生徒会室に来るように、以上」


声は多分副会長のものだろう。とてもシンプルな内容だけど無駄にいい声のせいで皆が静かに聞いた。そして放送がぶつっと切れた後クラスの全員が私と雫ちゃんを見る。そして呼ばれた私たちは驚きながら顔を見合わせた。

副会長、いくらんでも招集早すぎませんかね…。

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