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私の辞書に遅刻なんてものはない

高校までは遅刻したこと一度もなかったのに大学に入ってから遅刻たくさんしました。

私と雫ちゃんは学校の門で片瀬君と別れて寮へと帰った。管理人さんも心配してくれていたようで「あと5分して帰ってこなかったら探しに行ってたわ」と言われてしまった。

ご心配をおかけしました管理人さん。

そしてそのあと自分の部屋に戻った。部屋は必要な家具などが置かれあり、小さなキッチンも備え付けてあった。これで夜食は安心して食べられる。

あと、トイレとお風呂もあり一人暮らし?を満喫出来そうな感じである。

服などの整理は明日学校から帰ってきてからすることにして今日はお風呂に入って寝ることにした。明日は何もないことを祈るばかりだ。



「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!なんでアラームなってないの!!」


昨日うっかりアラームをかけ忘れたのか起きたのが登校時間のギリギリだった。


「ご飯とか食べてる時間ないしとりあえず着替えて行かないと!」


なんとか授業にいるものを鞄に詰めて部屋を出た。

まさかまた昨日みたいにこの道を走ることになるとは!不覚!

急いで学校まで走っていると片瀬君が歩いているのが見えた。遅刻ぎりぎりだからか全然人がいない。素通りしようと思ったけれどばたばた走っている音が聞こえたのか片瀬君が振り返ってきて思わず立ち止まってしまった。


「柚木ちゃんおはよう?そんなに急いでどうしたん?あ、もしかして俺のこと追いかけてきてくれたとか?」


なに言ってんだこいつ。


「ち、違う…はぁはぁ。遅刻、ギリギリ…はぁ。だから急いで、来たんだよ」


息も絶え絶えに喋ると片瀬君はきょとんとしたあと笑い出した。


「あはははは!柚木ちゃん携帯で時間見てみぃ」


くそぅ、会うたびに私を笑いおって!って、ん?携帯?

私はブレザーからスマートホンを取り出し時間を確かめた。あれ、全然遅刻じゃない。むしろ登校予定時間よりも早いじゃないか!どういうことだ!

私がわなわなと震えていると片瀬君はさっきよりも大きい声で笑い始めた。


「ぶっあははははははは!はー、柚木ちゃんやっぱ天然やろー。ほんまおもろいな!」


私は面白くない!まったく昨日といい今日といい今年厄年なのかな…。


「私の部屋の時計は遅刻ぎりぎりの時間だったの!あー、ご飯食べ損ねたし。お腹空いてきた…」


ぐぅ、とお腹が鳴る。


「そりゃ災難やったなー!あ、この時間なら学校の売店やってるかもやし行ってみる?」


なぬ!売店だと!確かあそこのパンはすごく美味しいってゲームで描写されてたはず!無駄な情報はたくさん覚えてるよ!


「行く!行きたい!」


「了解!じゃあ行こか!」


片瀬君きみも役に立つことがあるのだね!知り合って2日目だけど完全に役立たず認定だったよ。


学校の売店は食堂とはまた別にあり、文房具などが販売されている。場所は1階にあるため3階の私の教室から少し遠いのが少し難点だ。

片瀬君とたわいのない話をしながら売店まで行くと準備をしている最中なのかお店の人が商品を陳列しているところだった。その中にパンもいくつか置いてあり見た目からすでに美味しそうだ。


「おはようございまーす!もう今からパンって買っても大丈夫ですか?」


片瀬君が声をかけるとお店の人がこちらを振り返った。

おおぉ、結構なイケメンではないか。

年は20前半といったところだとうか。優しそうな目に赤縁メガネがよく似合う好青年な感じだ。


「おはよう。そうだねー。ほんとはちょっと早いけど皆には内緒で売っちゃおうかな。今日だけ特別ね」


おわー、イケメンさんに「内緒」とか「特別」とか言われたらときめいてしまうじゃない!

私が一人でうはうはしているとそれをちらっと見た片瀬君は少し不機嫌そうな顔をしたがすぐにいつもの笑顔に戻った。いや、ちょっと笑顔怖いかも…。


「ありがとうございます。このパン2つください」


声も心なしか低い気がする。片瀬君よどうしたんだね。


「ありがとうございます。平日はいつでもやってるからまた2人で来てくれると嬉しいな」


イケメンお兄さんは2人というのを少し強調したような言い方で私たちに言ってきた。


「はい、また2人で来ます。それじゃあ」


片瀬君は素早くお金を渡すとすたすた歩いて行ってしまった。私はぺこりとイケメンお兄さんに頭を下げて片瀬君を追いかけた。


「片瀬君、お金…」


「ん?あぁ、ええよ、そんなん」


「え、でも」


お金の事はきっちりしたい性格な私は食い下がる。


「ええのええの!気にせんで。俺が払いたくて払ったんやし!」


お財布からお金を出して渡そうとしても片瀬君は受け取ってくれない。ぐぬぬ、こやつ意外に頑固だな。

それにしてもさっきの怖い片瀬君は何処かに行ったみたいでいつも通りに戻ったみたいだった。よかったよかった。彼の不機嫌になるタイミングとなおるタイミングはよくわからない。


「じゃあ今度行った時は私がパン買うね!」


片瀬君は歩いている足を止めて少し驚いた顔で私を見た。


「え、また一緒に行ってくれるん?」


さっきそうお兄さんにも言ってたではないか。


「え、うん、当たり前じゃない」


当たり前の事を言ったから驚かれるとは思ってなかった。あ、もしかしてさっきのは売り言葉に買い言葉でもしかしたら本当は私と一緒に行きたくないのかもしれない。そもそも彼は攻略対象キャラなんだから雫ちゃんと行くのがセオリーか。


「片瀬君他の人と行きたいよね。今のはなしで」


いくら片瀬君とはいえ断られるのは少し傷つくので先手を打った。

すると片瀬君は少し目を見開いて慌て出した。


「え、え、なんでそうなるん?」


「だって、一緒に行きたくないのかなーと思って…」


「は?!いやいや、そんなわけないやん!むしろまた一緒に行きたい!」


これだけ焦っていると少し面白いけど笑うのはやめておいてあげよう。


「そっか、それならよかったー」


借りを作ったままとか嫌だしね。


「びっくりしたわー…。あ、パン教室でええ?」


「うん、今なら人いないし落ち着いて食べれそうだね」


片瀬君は攻略キャラなだけあって既に女子生徒から人気がある。周りに女の子たちがいたら私に嫉妬の目が向くのは間違いない。生徒会の雑用をやらされるからにはそういう目は避けられないだろうけど出来るだけ少ないに越したことはないはずだ。


「そういえば昨日メールしたんやけど多分見てへんよね?」


ん?メール?そんなのきてたっけ?

スマートホンを出してメールを見てみると片瀬君からのメールがちゃんと届いていた。内容は無事に帰れたかどうかの確認とこれからよろしくというものだった。


「ご、ごめん!昨日は疲れてて携帯見ないで寝ちゃって…」


昨日の事を思い出すだけでもどっと疲れが出る。


「あ、うん、そうかなーとは思ってたから大丈夫やで」


よかった。怒ってはいないようだ。さっきの不機嫌そうな顔と怖い笑顔を見たらやっぱり怒らせない方がいいのだと悟ったから今度からはしっかりと気をつけねば。


「というかそもそもメール返ってくるか五分五分やったしね」


「え?」


「いやー、ほら、交換したその日にメール送ってくるとかうざいやつやなーと思われてへんかと思て」


片瀬君が少し苦笑いを浮かべる。


「んー、私は別にそういうのでうざいとかは思わないかなー」


そもそもメール以前に私の中では既にうざい人だよ。


「そかそか、柚木ちゃんがそういう子でよかったわー」


「またそういうこと言うー。普通だよ普通」


片瀬君は意外に細かいことを気にするタイプなのかもしれない。明るくて社交的な印象でしかも第一印象があれだったから図太いタイプなのかと思った。


「ほな、行こかー」


「うん」


「あれ?類と昨日の巻き込まれちゃんじゃない。こんな朝早くにどうしたの?」


後ろから聞いたことのない声が聞こえてきて振り返ると背が私と同じくらいの男の子が立っていた。髪は金髪でとても可愛らしい印象だ。片瀬君の事を類って呼んでしかも「昨日の」と言ってきたからには昨日いた生徒会のメンバーなんだろうけど…。

……………誰?

ショタの登場です。ほんとはあの場にいたんですが出すタイミングが…_(:3」∠)_

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