(8)
「おい、全員、早く来い、とんでもない事になった。冒険者ギルドに、すぐ集れ」
自治会長に化けたゴブリンがブツブツそう呟いている。
どうやら、魔法で、誰かと話しているらしい。
「あ……あの……これ、触って大丈夫なモノなんすか?」
「知らん」
俺は、町の偉いさんに化けたゴブリンに命令されるまま、冒険者ギルドの危険呪物保管庫から、色々とクソヤベえ「呪いのアイテム」を運び出していた。
冒険者ギルドの建物の玄関前は……ニブい俺でも判るぐらい、何か、アレな雰囲気。
「この呪いのアイテムの数々を使ったとしても迎撃出来るかどうか……」
「無いよりはマシだろう」
その時……。
「おい、どうした? 何が起きた?」
その声の主は……えっ? 市長?
更に、ゾロゾロと、ある者は歩きで、ある者は馬で、ある者は馬車で……市会議員に、町の顔役に、町有数の大金持ちに……ともかく、そんな奴らが、次々とやって来る。
「とんでもない事になった。聖女騎士と、冒険者をやっている例の竜人に、我々の正体がバレた」
「やはり、この町は捨てて、他の町にすべきだ」
「しかし、ここまで苦労して……」
「我々は人間に比べて寿命が長い。一からやりなおしたとしても……」
「そうだな……持てるものだけ持って、とっとと、この町を捨て、他の町で同じ事をやるか。他の町では、あんな化物みたいな連中が……」
ぐおおおんッ‼
町の有力者に化けたゴブリンどもが、今後の相談をやっている最中に……何かすげ〜轟音。
そして、突風。
立ってられない。
馬車が破壊される。
馬に乗ってた奴は地面に叩き付けられる。
折角、運び出した呪いのアイテムが……どっかに飛んでいく。
いや……周囲の建物さえ無事じゃ……済まな……。
何かが……とんでもないスピードで俺達の頭の上を飛んで……。
その「何か」は……冒険者ギルドの建物の上まで行くと……急降下。
そして……。
粉々になった……。
冒険者ギルドの建物が……。
自治会長と市会議員に化けたゴブリン達の顔に浮かんでいるのは……絶望……。




