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追放された元令嬢ですが、このたび、なぜか懺悔室で働くことになりました  作者: 優木凛々
第3章 ソフィア、王都に呼ばれる

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13.その後の顛末


本日1話目です。

 

 ソフィアがパーティを抜け出した、その翌日。


 街は朝から浮かれていた。

 今日は王宮と教会が主催する『大聖女パレード』があるからだ。



「楽しみだねえ」

「50年に1回の大イベントだろ?」

紙吹雪コンフェッティいっぱい作ってきた!」

「わん! わん!」



 大人だけでなく、犬も子どもも大はしゃぎだ。


 昨日のソフィアの癒しの光を見て、人々は心の底から感動した。

 あんなに優しくて美しい光を見たことがない。

 思わず涙をこぼした人もいたほどだ。



「いやあ、大聖女様ってのは、ありがたいもんだな」

「ああ、心が洗われたよ」



 これに加え、聖女クッキーを売っていた屋台の中年女性や、教会のシスター見習いの少女、オルテシアから来た人々が、



「ソフィア大聖女は、本当に気さくで優しい方でね。なんと惜しげなくクッキーの作り方を伝授してくれたんだよ!」

「部屋に案内しただけでお礼を言っていただいて、本当に礼儀正しい優しい方です」

「懺悔室の聖女様って呼ばれてて、そりゃあもう親身に話を聞いて下さるんだ!」



 などと言い回ったことから、今やソフィアの人気は絶大なものになっていた。


 人々は嬉々としてパレードの準備を進めた。

 街のあちこちには屋台が並び、「聖女クッキー」や「聖女ソーセージ」などが売られている。


 パレードのスタートである大広場には人が集まり、皆、今か今かと開始を待っている。




 ――しかし、予想外の事態が起きた。


 朝を過ぎて昼になっても、一向にパレードが始まらないのだ。



「……どうしたんだろうな」

「昨日の今日だし、支度が遅れているんじゃないか?」



 人々が、首をかしげながら、そんなことを噂し合う。


 しかし、大聖堂に様子を聞きに行ったという男が大広場に走り込んできて、状況が一変した。



「おい! 大聖女パレードは中止だってよ!」



 人々は目を丸くした。



「ええ! それ本当か!? 理由は?」

「それが、教会の奴ら、何を聞いても理由を答えないんだ!」



 まさかの事態に、大広場だけではなく、王都の街中が大騒ぎになった。



「一体どういうことだ?」

「ソフィア大聖女に何かあったのか?」



 皆口々に心配の声を上げる。

 しかし、誰かが



「昨夜、ソフィア大聖女らしき女性が、馬に乗って王都を出て行ったのを見た」



 と言ったの皮切りに、目撃証言が集まり始めた。



「うちの息子が、逃げるように王都を出て行ったのを見たそうだよ」

「その後、騎士が街中を探し回っていたらしい」



 そして、ついに、



「私の知り合いが王宮で働いているんだが、ソフィア大聖女様は王都に戻ってくることはないと宣言されたらしい」

「なんでも、ヴァルター枢機卿が無理矢理、ソフィア大聖女とルパート殿下を婚約させようとしたらしいわ」



 という話が出始め、一気に非難の声が吹き出した。



「ルパート殿下って、前にソフィア大聖女と婚約破棄してたよね!?」

「しかも、その後、イザベラ聖女と婚約したって……」



 女性たちが嫌悪の表情を浮かべた。



「殿下ってかっこいいと思っていたけど、実はとんでもないクズだったのね」

「ヴァルター枢機卿、腹黒過ぎるだろ。そんな奴が枢機卿とかありえないだろ!」



 男性たちも憤慨したように言う。

 誰かが口を開いた。



「国も教会もこのありさまだし、ソフィア大聖女様は家を勘当されてるって話だ。――これはもう、俺たちで大聖女様を守らないといけないんじゃないか?」

「そうだ! その通りだ!」

「俺たちで大聖女様を守るんだ!」



 人々は大聖堂の前に詰めかけると、大声で叫び始めた。



「ソフィア大聖女様はどうしたんだ!?」

「大聖女様をないがしろにするな!」

「腹黒ヴァルター! 出てきて説明しろ!」



 王宮の前でも同様のことが起こった。

 門の前に詰めかけた人々、は口々に



「大聖女を政争の道具に使うな!」

「そもそも、なんでソフィア大聖女を追い出すことになったんだ!?」

「真実を明らかにしろ!」



 などと叫ぶ。


 これには、国王を始めとした国と教会の重鎮たちは驚いた。

 騎士たちに何とかしろと命令する。


 しかし、騎士たちも今回のことに反感を覚えていたので、全くやる気がない。

 民衆たちを止めているように見せかけつつ、


「はいはい、そこちゃんと並んでね!」

「危ないから、もう少し後ろに下がってね~」



 などと、怪我をしないように配慮する始末だ。


 この騒ぎは翌日も続き、とうとう国王は厳正な対処を約束しなければならなくなった。




 ――――そして、この日以降、関係者に対して厳格な取り調べが行われた。



 まず、ルパート王子とイザベラは、ソフィアを陥れた罪に問われた。

 さらに、『大聖女選定の儀』で八百長を企てた件でも、責任を追及される。


 2人は、自分は悪くないと主張し合い、互いに罪をなすりつけ合った。



「私は悪くありません! ルパート様がやれって言ったんです!」

「何を言う! お前もソフィアの罪を重くするために誇張したではないか」



 その結果、簡易的に開かれた裁判により――

 ルパート王子は廃嫡となり、不毛な地方領へと追放されることが決まった。


 イザベラも同様に有罪とされ、ルパートと共に地方の教会に赴くことになった。

 今後は、わずかに残った癒しの力で彼を支えながら、共に暮らすことになるという。


 さらに、イザベラの父・ダモンド伯爵も、2人に加担したとして罪に問われた。

 彼は財産を没収され、爵位は男爵へと降格。

 残された小さな領地で、農業をしながら余生を送ることとなった。



 一方、ヴァルター枢機卿も同様に、ソフィアを陥れた罪と八百長の共犯として追及を受けた。


 加えて、調査の過程で多数の汚職・賄賂の証拠が発覚。

 その規模は、日頃から不正に慣れている裁判官でさえ、目を丸くするほどだったという。


 最終的に、ヴァルターは「枢機卿には相応しくない」と判断され、最下位である助祭への降格処分が下された。

 財産はすべて没収され、ルパートたち以上に辺鄙な田舎の教会で働くことになるという。



 ソフィアが聖女を虐げているのを見た、と嘘の証言をした生徒たちもそれぞれ罪に問われ、莫大な罰金の支払いが命じられた。


 両親は、罪こそ問われなかったものの、大聖女である娘を勘当したということで、社交界から追放された。

 今後は領地に引きこもって暮らすことになるという。


 国王も大きく支持を下げ、周囲から引退を勧められるようになった。



 こうして、卒業パーティでのソフィア断罪から始まった一連の騒動は幕を下ろし、

 王都に、ようやく元の平穏な日常が戻った。






夜最終話を投稿します。

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男爵とか助祭とか、まだ身分が一般平民より高そう。
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