表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された元令嬢ですが、このたび、なぜか懺悔室で働くことになりました  作者: 優木凛々
第3章 ソフィア、王都に呼ばれる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/42

10.祝賀パーティ①


本日2話目です。


『大聖女選定の儀』が行われた、その日の夜。


シャンデリアが光り輝く王宮の大広間にて。

大聖女の誕生を祝うパーティが開催されていた。


出席者は、有力な貴族や聖職者など、約100名。

皆、豪華な服を身にまとっている。


グラスを手に、彼らはヒソヒソと話し合った。



「ソフィア・ラングレーが大聖女とは、まさかの事態になりましたな」

「ええ、本当に驚きましたね。しかも、100年ぶりの女神直々の神託でしょう?」



男性の1人が、欲深そうな笑みを浮かべた。



「聞くところによると、神の神託により決まった大聖女は、豊穣をもたらすそうですな」

「彼女が今住んでいるオルテシア周辺は、今年は雪が少なくて畑の実りも良かったそうです」

「それは素晴らしい。ぜひ我が領地に住んで頂きたいものですな」



誰かが、ひそひそ声で言った。



「しかし、ルパート殿下はどうするつもりだろうな」

「当時の婚約者だったソフィアを捨てて、あのイザベラとかいう聖女に乗り換えたんだろう?」

「大失態だな」



中年の夫婦が囁き合った。



「ソフィア様に、私たちの息子はどうかしら。年齢もちょうどいいわ」

「ラングレー家も勘当を解くつもりのようだから、後で話をしにいかねばならんな」



豪華な会場で、そんな会話が交わされる。







一方そのころ。


ソフィアは、アウグストと共に、馬車で王宮の入口に乗りつけていた。

ソフィアは、聖女らしいシンプルな白いドレス、アウグストは豪華な法衣を身に纏っている。



「さて、行こうか」

「はい」



アウグストのエスコートで、ソフィアはゆっくりと歩き始めた。

廊下は花やリボンで飾り付けられており、とても豪華だ。


廊下ですれ違う人の「おめでとうございます」という言葉に軽く頭を下げながら、ソフィアが囁いた。



「……なんだか、凄く豪華ですわね」

「きっと、イザベラ聖女のために用意していたものだろうね」



アウグストが飄々と言う。


ソフィアは、心の中で苦笑した。

きっと自分が大聖女に選ばれて、色々と計画が狂ったのだろうと思う。



そして、彼女が会場に入ると、楽団が一斉に楽器を鳴らした。

その場にいた人が振り返り、笑顔で拍手をする。



「おめでとうございます」

「ソフィア大聖女様!」



ソフィアは淑やかに頭を下げると、アウグストと共に端のテーブルに移動した。

チラチラと見て来る視線に、居心地の悪さを覚える。



(なんだか、感じたことのない視線ね……)



とてつもない居心地の悪さを感じる。




――と、そのとき。



「まあまあ、ソフィア大聖女」



銀のモノクルをかけた白髪の女性が、近づいてきた。

アウグストに、軽く一礼をする。


女性を見て、ソフィアが「あっ」と小さく叫んだ。



「もしかして、オルテシア大聖堂にいらした……?」

「ええ、よく覚えていてくださいましたね。冬にあなたにクッキーを頂いた者ですよ」



女性がニコニコと笑う。

ソフィアはピンと来た。



「……あなたがわたくしを推薦したのですか?」

「ええ、そうですよ」



女性は大聖女について研究しているらしく、大聖女が作ったお菓子には癒しの力がある、という記載を読んだことがあるらしい。



「それで、もしかして、って思ったのよ」



それを聞いて、ソフィアは遠い目をした。

まさかあのクッキーからこんなことになるとは思わなかった。



(……でも、遅かれ早かれ、誰か気が付いた気がするわ)



その後、3人は和やかに会話を交わした。


女性から、いつから聖女になったかと尋ねられ、

ソフィアは「恐らく収穫祭の時だと思います」と答えた。


思えば、ロイドと別れたあと、庭で誰かに金色のショールのようなものを掛けてもらったあたりから、

不思議なことが始まった気がする。



(もしかすると、あれは女神様だったのかもしれないわね)



そんな感じで、3人で楽しく過ごしていると、突然会場をざわめきが走った。

誰かの大きな声が聞こえてくる。


そして、



「ソフィア!」



聞き覚えのある男性の声が聞こえてきた。

突然、群衆の中から、2人の人物が現れる。


ルパート王子と、枢機卿のヴァルターだ。

2人とも優しそうな笑みを浮かべている。


ルパートが、見たことがないほど親しげな顔でソフィアに微笑みかけた。



「驚いたよ、まさか君が大聖女なんてね」

「ええ、私も驚きました。素晴らしい癒しの力でしたな」



ヴァルターが微笑みながら賞賛する。

そして、2人はソフィアの横に立っている、アウグストと女性を見て、恭しく一礼をした。



「大聖女ソフィアとお話する機会を与えていただけませんか」

「……だそうだが、どうかな?」



無理はしなくてもいいぞ、と言いたげなアウグストの問いに、ソフィアが覚悟を決めながらうなずいた。



「はい、かまいませんわ」

「わかった。では、私はあちらに行っていよう」



アウグストと女性が少し離れたところに立ち去ると、ルパートが歯を見せて笑った。



「見ていたよ。本当にすごい癒しの力だった」

「……ありがとうございます」



警戒しながらソフィアがお礼を言うと、ルパートが陽気に笑い出した。



「なんだ、ソフィア。ずいぶんとよそよそしいな。お前は私の婚約者だろう?」

「……え?」



ソフィアは思わず目を瞬かせた。

一瞬、ルパートが何を言っているのか理解できない。


戸惑っていると、横から両親が笑顔で現われた。

ルパートとヴァルターに挨拶すると、ソフィアに笑顔を向ける。



「さすがは、我が娘ね! 私も鼻が高いわ!」

「すごいぞ、ソフィア! これでラングレー公爵家は安泰だ!」



そして、全員が圧を掛けるような笑顔でソフィアを見た。



「ソフィア、あなたは前と同じように暮らしなさい。ルパート殿下の婚約者として、また学園に通うのです」

「王妃教育も続けられるように手配したからな」

「あなたを中央大聖堂の聖女としても登録します。是非お力をお貸しください」



3人の大人が口々に勝手なことを言う。

ソフィアが呆気にとられていると、ルパートが高圧的に笑った。



「そういう訳だから、今日のところは全て我々に任せて、お前は黙って従えばいい」



ソフィアは無言になった。

つまり、彼らは、冤罪でソフィアを追放したことを、なかったことにする気なのだろうと思い当る。



(……でも、以前の私だったら、この人たちに間違いなく従っていたわ)



自分の意思よりもルパートや両親の顔を立てることを優先しただろう。

ずっとそう教育を受けて来たし、それが正しいと思っていた。



(でも、今は……)




――と、そのとき。



パンパカパーン!



楽団が一斉に楽器を鳴らした。

上につながる大階段から、国王と王妃が手を振りながら降りて来た。


それを見て、ルパートとヴァルター、両親がすうっと前の方に移動する。

アウグストが戻ってきて、ソフィアの横に立つ。



国王は、そのまま壇上に立つと、にこやかに口を開いた。



「よくぞ集まってくれた。まずは乾杯といこうか」



全員にシャンパンが配られ、国王の「乾杯」の言葉で、一斉に乾杯をする。


その後、ルパート王子が壇上に上がった。

国王と王妃に向かって深々と一礼する。


そして、彼はソフィアを見ると、満面の笑みを浮かべた。



「ソフィア、来てくれ。改めて君を婚約者として皆に紹介させてくれ」



会場がざわめいた。



「どういうことだ?」

「本気か?」



などという声が聞こえてくる。


会場中の全員がソフィアを振り向く中、彼女は冷静な目でルパートを見た。





(続く)





とりあえずキリの良い所まで、本日あと1話か2話、夜に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
普通は王子が婚約破棄やらかしても王には 叱責される場合が多いけど、この話では 王も一緒に杜撰な冤罪に乗っかって、論文等ソフィアが 書いたのを王子がパクりましたと事実を言ったことで 不敬罪だか侮辱罪まで…
ルパート王子、謝罪も何もなしで婚約者面してるのは流石は王族、面の皮が厚い。 でもせめてソフィアに了承させないと。無理だけど。
うわっ、イラッとする。 あなたの婚約者はイザベラでしょうが!! 浮気と、冤罪、勘当と追放の事実も、きっちり周知したいところですが、難しいかしら。 王都を去るなら、その原因は王家と実家にあることを、知ら…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ