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追放された元令嬢ですが、このたび、なぜか懺悔室で働くことになりました  作者: 優木凛々
第3章 ソフィア、王都に呼ばれる

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08.大聖女選定の儀④


本日4話目です。

 

 ソフィアが光る女神リュシア像を見つめながら、呆然と立ち尽くしていたとき。


 舞台の後ろ側で、ヴァルターとルパート、そしてダモンド伯爵が、大騒ぎしていた。



「な、なんだこれは!」

「わ、わかりません!」

「まさか誤作動を起こしたのか?」



 ルパートがギリッと奥歯を噛み締めた。



「誰だ、あの女は!」

「オルテシアから来たシスター見習いです。ただ、報告によれば、彼女には癒しの力がないという話だったのですが……」



 大司教の1人が強引に推薦した者で、癒しの力がないことから、恐らく数合わせだろうと思って、特に注意していなかったという。


 ヴァルターが忌々しそうに言った。



「とにかく! イザベラを連れて来い! 準備はできているな?」

「は、はい!」



 真っ赤な顔をしたヴァルターが、舞台の上に立った。

 舞台の真ん中に仁王立ちすると、群衆に向かって大声で叫んだ。



「最後にイザベラ聖女が祈りを捧げる! それをもって大聖女の選定を行う!」



 群衆たちが懐疑的な目で彼を見た。



「イザベラ聖女は、これ以上の奇跡が起こせるのか?」

「いや、どう考えたって無理だろう」



 そして、誰かが

「やっぱりソフィア大聖女様だ!」

 と叫んだのを皮切りに、全員が万斉と叫び始めた。



「ソフィア大聖女様、万歳!」

「懺悔室の聖女様!」

「大聖女様の誕生だ!」



 ヴァルターが必死にその声を止めようとするが、民衆は止まらない。


 それに合わせるように、再び鐘の音が高らかに響き渡った。

 女神像が神々しく光り始める。



「ほら見ろ! 女神リュシア様もソフィア聖女を祝福している!」

「ソフィア大聖女様!」



 群衆は口々に万歳と叫び始めた。

 中には、奇跡を目の当たりにして感動のあまり泣き出す者もいる。


 大歓声の中、ソフィアは遠い目をした。


 脳裏に浮かぶのは、これまで色々な人に言われた言葉だ。



『今年の冬は、オルテシア周辺だけ暖かかったみたいよ』

『こんな豊作は久々だ』

『クッキーを食べたら元気になったわ』

『話を聞いてもらうだけで、心が浄化される気がする』



 そして、彼女は思った。

 もしかして、わたくしは本当に大聖女なのかもしれないわ。と。




 ――と、そのとき。



 ぴゅうっ



 突然、暖かい風が吹いた。



「あっ!」



 押さえる暇もなく、ソフィアのベールが空へと飛んでいく。

 あらわになったその顔を見て、ヴァルターとルパート、そしてイザベラが息を呑んだ。



「ソ、ソフィア・ラングレー!」



 ルパートが驚愕の目でソフィアを凝視した。

 イザベラの顔が般若のように歪み、貴族席に座っていた何人かの顔色が一気に悪くなる。


 ヴァルターが、周囲に「おい! 一体どういうことだ!」と怒鳴り散らし始めるが、誰も答えられる者はいない。




 そんな彼らの様子など露知らず、

 ソフィアの姿を見た民衆たちは、一気に盛り上がった。



「お美しい!」

「ソフィア大聖女様!」



 大きな声でソフィアの名前を呼び、拍手喝采する。

 中には、首をかしげる者もいた。



「あれって、公爵令嬢ソフィア・ラングレー様じゃないか?」

「元ルパート様の婚約者で、確かイザベラ聖女をいじめたって話だったわよね?」

「もしかして逆だったんじゃないか?」



 そんな声もあちこちに広がる。

 怒りに顔を歪ませるイザベラを見て、何か察したような顔をする者もいる。




 ――その後、人々の大歓声に押され、ソフィアが大聖女に選定され、儀式は終了。


 ソフィアが呆然としながら舞台を降りると、群衆たちがさあっと道を空けた。

 彼女に向かって、深々と頭を下げる。





 そして、彼女が中央大聖堂の中に入ると、妙に丁寧になった神官に


「今夜の祝賀パーティにぜひ出ていただきたい」


 という旨を伝えられた。





本日の投稿はここまでです。

お読みいただきありがとうございました!


続きはまた明日投稿します!


次話は「手の平返し」です。


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― 新着の感想 ―
イザベラ陣営、結局は女神を信じてはいないのかな。 人知を超えた力は存在するわけで…でも天罰怖かったら 狡い仕掛けは恐ろしくて出来ないような… イザベラも冤罪を仕組んだと認識はある筈。なのに 大聖女に…
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