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追放された元令嬢ですが、このたび、なぜか懺悔室で働くことになりました  作者: 優木凛々
第3章 ソフィア、王都に呼ばれる

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04.久々の王都

本日3話目です

 

 王都への旅は順調に進んだ。

 馬車は2台で、ソフィアとアウグストがそれぞれ乗り込み、護衛たちが馬で付き添っている。


 途中の街に泊まりながら進み、3日目の昼ごろ、ようやく王都へと入った。



(久し振りの王都だわ)



 王都は、相変わらず人が多く、活気に満ち溢れていた。

 背の高い建物が並び、店がたくさん並んでいる。



(たぶん、オルテシアの10倍はにぎやかね)



 懐かしくは思うものの、ソフィアは何となく疎外感を感じた。

 自分はここの人間ではない、そんな感じだ。



(わたくし、きっとオルテシアの方が好きなのだわ)



 馬車は、王都の街を走り抜けた。

 中心から離れた、少し小さめの教会の前に停まる。


 人の好さそうな白髪の司祭が、笑顔で出迎えてくれた。



「アウグスト様、ソフィア様。よくいらっしゃいました、お待ちしておりました」

「久し振りだね、お世話になるよ」



 アウグストがニコニコ挨拶をする。

 司祭が、2人を中に案内しながら口を開いた。



「雨がやんで良かったですね」



 王都は今朝までずっと雨だったらしい。


 ソフィアは空を見上げた。

 雨が降っていたとは思えないほどの美しい空だ。



(運が良かったわね)



 その後、シスター見習いの少女に案内されて、ソフィアは泊まる部屋に案内された。

 質素ながらも清潔で広々としている。



「何か御用があったらお呼びください」

「ありがとうございます」



 ソフィアが丁寧にお礼を言うと、少女が嬉しそうにぺこりと頭を下げて出ていく。


 そして、ドアがバタンと閉まると、ソフィアはため息をついた。

 分厚いベールを取って、部屋を見回す。



(……遂に来てしまったわね)



 ソフィアは軽くため息をつくと、ゆっくりと荷物を解き始めた。

 それが終わると、少女に持ってきてもらったお茶とお菓子を頂きながら、ソファでボンヤリとする。


 そして、クッションに寄りかかって、うとうとしていると、



 コンコンコン



 ノックの音がした。

 少女の声が聞こえてくる。



「ソフィア様、アウグスト様がお呼びです」

「……はい、今行きます」



 彼女は急いでベールをかぶると、廊下に出た。

 少女に付いて1階に降りると、アウグストが騎士服姿の男性と話をしているのが目に入る。


 振り返った男性を見て、ソフィアは思わず息を呑んだ。



(まあ! ロイド様!)



 ロイドが、嬉しそうな表情でソフィアに丁寧なお辞儀をした。



「お久し振りです、ソフィア様」



 ソフィアが目をパチクリさせていると、アウグストがニコニコしながら口を開いた。



「つい先ほど、彼が訪ねてきてくれてね。君を大広場まで案内してくれるそうだ」

「……そうなのですか?」

「はい、見ておいた方が良いと思いますので」



 ロイドがうなずく。


 ソフィアは「ありがとうございます」とお礼を言うと、自室に戻った。

 持って来た私服に着替えると、分厚いベールのついた帽子をかぶって、顔が見えないようにする。


 そして、2人はニコニコ顔のアウグストに別れを告げると、ロイドが乗って来た馬車に乗り込んだ。


 馬車は、一路大広場に向かって進み始める。


 馬車に揺られながら、ソフィアは正面のロイドを見た。



「驚きましたわ。まさか来て下さるとは思いませんでした」

「昨日、“今日着く”という、あなたの手紙が届きまして。……お会いしたくて、つい来てしまいました」



 ロイドが少し照れたように言う。

 迷惑になってはいけないと思い、まずは後見人であるアウグストに会って、大広場に案内してもいいか確認したらしい。


 ソフィアはうつむいた。

 ものすごく嬉しくて、ものすごく恥ずかしい。



(それに、すごく安心するわ)



 ずっとどこか不安だった心が、ホッと一息つくのを感じる。


 どこか甘い空気を漂わせた2人を乗せた馬車が、大広場に到着した。

 馬車が停車し、ソフィアはロイドに手を取られて大広場に降り立つ。



「まあ、久し振りに見ると、こんなに広かったのね」



 そこは広大な石畳の広場だった。

 一部が舞台のように高くなっており、大きな女神リュシア像が静かに微笑んでいる。

 その奥には中央大聖堂がそびえており、大きな鐘が釣り下がっている塔が見える。


 ソフィアはロイドと並んで舞台の前に立った。



「もしかして、この上でやるのかしら」

「ええ、そうなります」



 大聖女選定の儀では、ロイドは広場の警備につく予定らしい。



「女神リュシア像の近くにしてもらったので、何かあったら、すぐに駆け付けます」



 ソフィアは安堵した。

 舞台の上でやるのは気が滅入るが、ロイドが近くに居てくれると思うと、少し気が楽だ。



 広場の隅には、みやげ物の屋台がずらりと並んでいた。

 木彫りのリュシア像や、中央大聖堂の鐘のミニチュアといった品々が並んでいる。

 その横に、『聖女クッキー』と書かれたクッキーが売られていた。



(聖女クッキー?)



 よく見ると、それはクッキーの表面に花が付いている、オルテシアで売っているものを模倣したものだった。


 ソフィアは思わず笑いそうになった。



「まあ! こんなものがあるのね!」

「最近よく見かけます。どうやら王都にも広がってきたようですね」



 ソフィアはクッキーを1袋買った。

 1口食べてみて、軽く首をかしげた。



(あら? 少し苦いわね)



 店主らしき中年女性が、ソフィアの表情を見て、尋ねた。



「もしかして、ちょっと苦いかい?」

「ええ、少し」



 女性が少し困ったように頭を掻いた。



「色々試してみたんだけど、どうしても、たまに苦いのがあるんだよねえ」

「まあ、それでしたら、押し花にするときに重石を重くするといいですわ。そうしたら甘さが出ますから」



 ソフィアがコツを教えると、女性が「なるほど」という顔をした。

 感謝の目でソフィアを見ると、クッキーの横にあった、聖女飴の袋を差し出しながらニカッと笑う。



「いいことを教えてもらった! ありがとよ! 今日早速やってみるよ!」



 その後、ソフィアはおばちゃんにお礼を言って別れを告げると、暗くならないうちにと、馬車に乗って大広場を出た。

 修道院に到着する。


 ロイドが名残惜しそうに言った。



「それでは、私はこれで。儀式の後にまた参ります」

「ええ、今日はありがとう」



 ソフィアは感謝の目でロイドを見上げた。

 ロイドがソフィアの手をそっととって、愛おしそうにギュッと握る。



「ではまた、がんばってください」

「ありがとうございます。ロイド様もお気を付けて」



 2人には手を振り合って別れると、

 ロイドは馬で街の中心へ、ソフィアは建物の中へと戻っていった。






 ――――そして、この翌々日の早朝。



「これより、大聖女選定の儀を始める!」



 ヴェルタ―の声と共に、大観衆の目の前で、大聖女選定の儀が始まることとなった。






本日の投稿はこれで終わりです。


とうとう明日は大聖女選定の儀に突入です。

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― 新着の感想 ―
頻回の更新、ありがとうございます。楽しみにしているので、うれしく読んでいます。 大聖女選定の儀、ズルの工作で仕込みは上々な感じですが、女神様から見たら、超腹立たしいに違いありません。何が起こるのか、ワ…
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