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追放された元令嬢ですが、このたび、なぜか懺悔室で働くことになりました  作者: 優木凛々
第3章 ソフィア、王都に呼ばれる

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27/42

01.最高評議会からの手紙


本日1話目、第3章(最終章)スタートです。

 

 修道院に来て、11カ月目。

 雪が解け、ぽかぽかとした陽射しが降り注ぐ、天気の良いお昼過ぎ。


 ソフィアは、マーサの御する荷馬車に乗って、街の大聖堂に向かっていた。

 今日は、懺悔室で働く日だ。


 柔らかな風を頬に感じながら、ソフィアがのんびりと口を開いた。



「もう春ですね」

「ああ、今年は暖かくて助かるよ」



 ソフィアは青い空を見上げた。



(ロイド様、そろそろ来て下さるかしら)



 彼とは、かれこれ2カ月ほど会えていない。

 雪が少なかったオルテシアとは対照的に、王都周辺は雪が多かったらしく、ロイドがいつも使う旧街道が通れなくなっていたからだ。


 ちなみに、収穫祭で「一緒に来て欲しい」と言われた返事については、手紙でそれとなくした。

 当分会えなさそうなことが分かり、あまり長く待たせても悪いと思ったからだ。


 手紙に、

『心はもう決まっておりますが、とても大切なことなので、お会いしてから改めて自分の口から言わせて下さい』

 と書いて送ったところ、

『わかりました。楽しみにしております』

 と返事が来たので、きっとこちらの気持ちは分かってくれていると思っている。



 そんなことを考えるソフィアを乗せ、馬車は並木道を通り、街へと入った。

 春物がショーウインドウに並ぶ大通りを通り抜け、大聖堂の前に到着する。



「じゃあ、行ってまいります」

「がんばるんだよ」



 マーサに別れを告げて扉を開けると、祈りの間はいつも通り荘厳な雰囲気だった。

 人々が持って来たと思われる美しい花々が、あちこちに飾られている。


 ソフィアが入っていくと、振り向いた人々がニコニコしながら声を掛けてきた。



「こんにちは! 聖女様!」

「聖女様! 今日もよろしくお願いしますね!」



 ソフィアは諦めたような顔で、微笑んだ。

 ここ数カ月、「わたくしは聖女ではありません」と訂正し続けたのだが、まるで効果がなく、最近はもう諦めている。


 その後、彼女はシスターたちに挨拶すると、いつも通り書庫に入った。

 椅子に座ってノートを開く。

 そして、



 ゴーン、ゴーン……



 鐘の音を合図に、懺悔室に入ってきた人影に声を掛けた。



「どうぞお話ください。あなたの心の重荷を女神リュシアに委ねましょう」



 この日も、次々と相談者が訪れた。

 話を聞いて欲しい女性、悩んでいる青年など、来る人も悩みも多種多様だ。

 そんな彼らの話を親身に聞いて、1つ1つ丁寧に答えていく。


 この仕事にもだいぶ慣れ、ずいぶんと信頼をしてもらえるようになったと思う。



「すごく嬉しいことだわ」




 ――そして、人々の話に熱心に耳を傾けること、数時間。


 大聖堂に鐘の音が鳴り響いた。

 終了の時間だ。



(今日もたくさん人がきたわね)



 彼女は立ち上がると、大きく伸びをした。


 書庫から出ると、シスターたちに挨拶をして、馬車を呼んでもらう。


 そして、そっと祈りの間に入ると、そこには静寂が漂っていた。

 さっきまで人がたくさんいたのに、今は誰もいない。


 彼女は、女神リュシア像の前に立った。



「今日もがんばりました」



 と静かに祈りを捧げる。

 そして、

「そろそろ馬車が来るころかしら」

 と、踵を返して出口に向かって歩こうとした――、そのとき。



「……ソフィアさん、ちょっといいかな」




 不意に後ろから声を掛けられた。

 振り向くと、そこに笑顔のアウグストが立っていた。



「……何でしょう、アウグスト様」



 ソフィアはとっさに身構えた。

 経験上、アウグストにこうやって呼ばれるとロクなことがない。



(今回はそう簡単に引き受けないわよ)



 心の中で固く誓う。

 しかし。



(…………あら?)



 彼女はアウグストの表情を見て、首をかしげた。

 いつものように飄々とした笑顔を浮かべているが、どことなく様子が変だ。



(……どうしたのかしら)



 訝しげな彼女に、アウグストが穏やかに言った。



「ちょっと来てくれないか、話があるんだ」

「……はい」



 2人は大聖堂の奥にある古い応接室に入った。

 アウグストは、ソファに座るように促すと、自分もその正面に座る。

 そして、ポケットから一通の封筒を取り出すと、彼女に差し出した。



「これは君宛の手紙だ」



 今までにないパターンに、ソフィアは目を白黒させながら封筒を受け取った。

 良い紙を使った立派な封筒で、教会印が押してある。



(何かしら?)



 不思議に思っていると、アウグストが口を開いた。



「先に言っておくが、私は君が断っても構わないと思っている。だから、そのつもりで読んで欲しい」



 珍しく真面目な顔をするアウグストに、ソフィアはとてつもなく嫌な予感がした。

 これは只事ではない気がする。


 恐る恐る開くと、一通の手紙が入っていた。



 ―――――――

 リュシア教最高評議会は、ソフィア修道女見習いを、大聖女候補として『大聖女選定の儀』へ招聘することをここに通達する。

 ―――――――



(…………は?)



 ソフィアは目を瞬かせた。

 1回読んで理解できず、2回、3回と読み直す。

 そして、顔を上げると、困惑の目でアウグストを見た。



「あの……これは一体?」






続きは夜投稿します。

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― 新着の感想 ―
ソフィア「出ていけて言ったり、来いて言ったり、てめぇの舌何本あるんだよ!!!(北○武風に)」
いやまぁそうなんだけどどの面下げていいにきてるんかねぇ
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