表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

異世界に行ってしまう

最初の話はシリアス展開、満載。次の話からマイルドになっていきます。

この道はいつも暗くて怖い。今日は雨が降っているから余計に恐ろしかった。

仕事で疲れた体は悲鳴をあげているが、それよりも早く通り抜けたくて、つい足を速めた。

心臓がバクバクする。


頭まで深くレインコートのフードを覆っていたから視界が悪かった。


あれ? そう思ったときにはもう遅かった。

体がふわりと浮き、次の瞬間、急降下していく。

目線が地面と同じ高さになった。それはほんの一瞬。


その一瞬で悟った――私…死んだ。



***


足に衝撃が走った。

痛いは痛いが、そんなに痛くない。


「……は?ここ、どこ?」

恐怖でぎゅっと閉じていた目を開ける。視界に広がったのは、一面の草原だった。膝下まである草が風に揺れ、湿った土と緑の匂いが鼻をつく。


見たこともない景色。雨は降り続いているが、さっきまでの暗闇と比べれば、ずっと明るい。雲間から淡く光が差し込んでいた。


『私、死んだの?』

全く知らない周りの様子をキョロキョロと見ながら、これが天国なのかと思った。


立ち上がると、少し離れた場所に家らしきものが見えた。古びた石造りの家々がぽつぽつと並ぶ小さな村――学生時代に旅行で訪れたフランスの田舎を思い出す。天国って、ヨーロッパ風なんだな…。


人がいるのだろうか。天国の住民? 呑気にそんなことを考える。


突然、寒気を感じた。レインコートを着ていたといっても雨風が中に入るから身体が冷える。

恐怖で忘れていた身体の感覚が戻ってきたようだ。


私は草を掻き分けて民家を目指した。


村に近づくと、雨の中でも、軒下で子供たちが遊んでいるのが見えた。天使の輪がついているのを想像していたが、普通の人だ。赤みがかった茶髪で、羽が生えているわけでもない。

突然現れた私に気づいて、訝しげにこちらを見ている。


「あんた、大丈夫かい?!」

奥の家から出てきた一人の女性――おばさん、いや、どちらかというと“奥さん”と呼びたくなるような人が、心配そうな声をかけてくれた。


「寒くて… 少しの間だけでも、家にいさせてくれませんか」


「わかった! 早く入り!!」

奥さんは気前よく、私を受け入れた。



「ありがとうございます」

頭を下げて、レインコートのフードを取った。


――その瞬間、空気が凍りついた。


奥さんの顔から血の気が引き、目を見開いて震えだす。口をぱくぱくと動かしながら、数歩、後ずさった。


「どうしたんですか……?」


不安になり、手を伸ばそうとした瞬間――


「ばっ、ば、バケモノッ!!」

パチン! と音を立てて、私の手がはたかれた。


その言葉に、思考が止まった。人生で一度も言われたことのない言葉。なぜ? どうして――?


「痛っ!」


足首に鋭い痛みが走る。反射的にしゃがみ込むと、足元には血が滲んでいた。


そのとき、視界の端に影が見えた。

次の瞬間、それは肩に当たり、さらにもう一つがふくらはぎにぶつかった。重く、鋭い衝撃。


ようやく気づいた。


――さっき見ていた子供たちが、私に石を投げつけてきている。


見れば、子供たちは震えながらこちらを睨みつけていた。怯えと憎しみが入り混じった視線。恐怖に顔を引きつらせながらも、石を拾い、躊躇いなく私に向かって投げてくる。


「……出ていけッ! 魔獣め!!」



「っ!」

喉の奥で凍りついた悲鳴が、胸の中で暴れるように渦巻いた。


考えるよりも早く、私は走り出していた。

“殺される”という恐怖が、体を突き動かしていた。


背後で、何かが風を切る音がした。

軽く振り返ると、追いかけてくる村人のひとりがクワを振りかざし、私の頭を狙っている。


『ここで死にたくない!!』


叫ぶようにして、私は無我夢中で走り続けた。


草に覆われた木の陰に身を潜めると、どうにか気づかれずに済んだ。空模様が悪くなったおかげだった。


恐怖と寒さで震える体を丸め、できるだけ身を隠した。


どれほど時間が経ったのだろうか。もう大丈夫――そう思った。


そのとき、馬のいななきが、すぐ近くで響いた。

追われている――そう思った瞬間、足から力が抜け、もう立ち上がれなかった。


涙があふれ、喉の奥から嗚咽が漏れる。

声を出してはいけないのに、手で口を押さえるのが限界で、もう止められなかった。


――ザッ……ザザッ……


草をかき分ける音が近づいてくる。


”見つかった”


心の中でそう呟いたとき、私は確信した。

――きっと、ここで死ぬのだ。


音はどんどん大きくなり、すぐそこまで迫っていた。


目の前の高草が揺れ、現れたのは黒いのローブを纏った、背の高い男だった。

あらすじがうまく書けない(泣)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ