番外編1 伊藤君side
登場人物の伊藤君の紹介みたいなものです。
伊藤君は考えがいろいろ足りないのに、賢い振りをしようとする子です。
さらに詰めが甘い子でもあります。
side 伊藤
良くも悪くも俺は普通だ。
そんな普通な俺は学校の帰りに拉致されました。
別に俺の家はお金持ちではないし、俺自身が重要な人物と言うわけでもない。
そんな俺がまさか拉致られるとは全く思わなかった。
しかも美人な女性に。
そしてこんなチャンスが自分に回ってくるなんて思ってもいなかった。
最初に言ったとおり、良くも悪くも俺は普通だった。
「異世界に行ってやって欲しい事があるの。」
真っ白な世界で彼女はそう言った。
彼女は自身のことを神と言った。
それに目の前で力を見せてもらった。
なんでも俺に異世界へ行ってやって欲しいことがあるらしい。
「何故僕なんですか?僕以外にも人間は居るでしょう。」
「特に理由はないよ?ただ君が行きたそうにしてたしね。剣と魔法の世界に。それといい子ぶらなくてもいいよ。」
何故この人はそんなことを知っているのだろう。
神だからだろうか?
確かに俺は異世界に行きたいし、いい子ぶっている。
何故異世界に行きたいか?決まっているじゃないか。
異世界に行く物語は行く人のほとんどが主人公になれるからだ。
だから行く事自体には賛成だ。
誰だって主人公になりたいだろう?俺だってなりたいんだ。主人公に。
ただ何をして欲しいのかによる。
行くかどうかの返事はそれを聞いてからのほうが良いだろう。
「分かった普通に話す。それにやって欲しいことって何だ?」
「魔王を倒して欲しいの。」
「魔王ってあの魔王?物語によく出てくる?」
「そうそう。あの魔王だよ。」
なるほど。
行くのはかまわないが、ある程度の力をもらおう。
神様ならそれくらい出来るんだろう。
「残念だが、俺には魔王を倒すほどの力はない。」
「そんなに強がらなくて良いよ。行きたいんでしょ?」
「た、たしかに行きたいのは行きたいが・・・。」
考えが筒抜けなのか?
まさかそう来るとは。
いきなりすぎて焦ってしまった。
「大丈夫だよ。ちゃんと力もあげるから。」
「力も。という事は他にもくれるのか?」
わざわざ何の力もない俺に頼むという事は魔王を倒せるだけの力をくれるんだろう。
これで俺は主人公になれる。さぁ精々俺のために尽くしてもらおうか。
「当然。依頼の前払いと思ってくれて良いよ。君には人に好かれる能力と魔力と魔法の才能をあげる。もちろん成功したら報酬もあるわ。」
人に好かれる能力もすごく魅力的だ。
これは決定だろう。
そうと決まれば、異世界でハーレムライフを過ごそうか。
ククククク。今日は最高な日だな。
こんなチャンスが勝手に転がり込んでくるなんてな。
それに成功報酬って何だ?私をもらってくださいってか?
ククククク。嬉しくて笑いがとまんねぇ。
「分かった。行く。」
「そう?気に入ってもらえてよかったわ。」
そういうと彼女は俺に指を向けて魔法陣らしきものを描いた。
その直後俺の全身が輝き、すぐに止んだ。
強くなったような気分だ。最高にハイってやつだぜ!
フハハハハハ!!
「今ので終わりか?」
「ええそうよ。じゃあそろそろ行ってもらうわね。あぁ、後他の人の召喚に割り込む予定だから。」
「わかった。」
「じゃぁね。今度会う時は魔王を倒した時か死ぬ時、どちらかしらね。」
そういった彼女の顔は何故かとても楽しそうだった。
そして、次の瞬間俺の意識が落ちた。
次に目覚めたのは生け贄の祭壇みたいな場所だった。
しかし、何故か安部のヤロウが居た。
こいつを見てるとイライラしてくる。
まるで俺を自分と似たような存在を見るような目で見やがる。
そんなことを考えていると、扉が開いて巫女っぽい服を着た美少女が入って来て、少しだけ驚いた顔をした。
そして俺たちに向かって聞いてきた。
「あなたたちが勇者様です・・・か?」
とりあえずここは肯定しておくか。
「そうですよ。」
「うんそうそう。勇者、勇者だね。ん?勇者?」
安部の野郎寝ぼけてやがるのか?
もしかしてこいつも自称神に送られてきたのか?
もしそうなら早急に退場してもらうか俺に従ってもらおうか。
俺のハーレムライフを邪魔されたら最悪だしな。
まぁ、こいつごときができる訳ないけどな。
「そういう貴方が私を召喚した人ですか?」
「ええ。そうです。彼方達にしてもらいたいことがあり召喚させてもらいました。」
「して欲しいこととは?」
十中八九魔王を倒してくださいとかだろうな。
まぁ、ハーレムライフのついでにやってやってもいいが、報酬としてお前をもらうけどな。
こいつ美人だしな。
「あなた方に魔王を倒しても欲しいのです。」
ほらな。きたぜ魔王討伐。
普段なら絶対断るが今は自称神にもらった力があるし、何よりこいつとお近づきになりたいしな。
とりあえずここは受けておくか。
「俺は構わないですよ。それよりも先に貴方の名前を教えていただけますか?俺の名前はタクヤ・イトウ。タクヤと呼んでくれ。」
「はい。タクヤさん。私はエイミィ・テスタロッサと申します。よろしくお願いしますね、タクヤさん。」
安部が空気になりつつあるな。
うんうん唸ってる所を見ると、こいつは自称神に送られてきたわけではなさそうだな。
まぁそれならそれで邪魔にならないなら構わないけどな。
「それでは、お疲れでしょうが少しついてきていただけますか?魔法の適正検査をさせていただきたいのですが。」
「ああ、構わない。俺も知りたいしな。」
「魔法?ん?魔法?何故に?」
「知りたいということは魔法がない世界から?」
「ああ。そうだ。」
「そうですか。魔法の説明はしたほうが?」
「いや、いい。「ぜひお願いします。」大まかなことはだいたい分かってるしな。詳しい事はまた今度教えてくれ。」
「分かりました。ではこちらに。」
安部、完全に空気ww
ここまで空気だといっそすがすがしいな。
早速、お気に入り登録してくれた人が居るようでとても嬉しいです。
欲を言えば、感想くれると嬉しいです・・・・。
まぁこんな作品を読んでくれるだけで御の字ですがww