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オレとアイツの人形劇  作者: しゃおろん
1章 旅立ち
2/18

記録2

【日付 新暦305年 5月4日 異世界10日目】


あれから特に目立ったことがなかったが、唯一気になることがあった。

そう、伊藤君のことだ。

今日この前図書館から借りた本、「わかりすぎる魔法の本」のシリーズをだいたい習得したので、

新しい参考書を借りに行った時のことだ。

訓練場の近くを通った時いつもより違う騒がしさだったので、少し覗いてみた。

そこにいたのは伊藤君パーティーと兵士たちだ。

おそらく伊藤君の訓練だろう。そこはいいのだ。何故自分は一人で訓練しているのにあいつは―――

などいろいろ思うところはあるのだがいいのだ。それは我慢できる。

1つ。たった1つだけ思った。何故小説のような展開で同じ様に召喚されたのにこうも違うのかと。



あいつは、伊藤君は――――――ハーレムを作っていた。



俺にはエリックしかいない・・・。

まぁエリックが悪いわけではないが、俺もどうせなら女の子に囲まれたい。

ハーレムを作りたい。

これは言ってても仕方ないので諦める事にしよう。

俺は主人公ではないのだ。主人公は伊藤君であって俺ではないのだ。

俺は脇役。それも出番のない脇役・・・・。


とにかく死なないように魔法の練習だけはしておこう。


いい機会なので現在やっていることや出来る魔法を書いておく。


基本、魔法はペーパーで練習している。

スティックはまず杖がないし、セルフはできないのでペーパーしかできないのだ。

戦闘となるとペーパーは効率が悪い。まず戦闘中は種類が多すぎると探すのに手間がかかる。

スティックは一見時間がかかるように思えるが、自動高速筆記の機能がついた杖があるらしい。

スティックの欠点は少し時間がかかることだろう。

セルフは媒体が要らないので発動が一番速い。

セルフの欠点は集中が他よりも多く必要なことだが、なれればそうでもないらしい。

その点ペーパーは発動に少し時間がかかり、書くときには魔力が必要。

そして紙に宿っている魔力が一定以下になると使えなくなるため、迂闊に作り置きが出来ない。

そのかわり少し威力や効果は大きくなるが、欠点が多すぎて補いきれてない。

文句を言っていてもどうしようもないので、杖が手に入るかセルフが出来るまではペーパーで練習をしようと思っている。


以下が出来る魔法のまとめだ。

・水を集める

・解毒(エリックに持ってきてもらった腹下しの草にしか使っていない。)

・治癒(切り傷程度しか試していない。)

・身体能力の強化(そこそこ使えた。一般兵士との魔法なしの模擬戦で勝つ程度)

・水の盾(水で盾を作る。大きさは込めた魔力で変る。)

・水の槍(水で槍を作り射出する。大きさは込めた魔力で変る。)

・氷の槍(氷で槍を作り射出する。水の槍の氷版。)

・氷の鎖(相手を凍らす。現在は足を凍らす程度。)


最近は攻撃用の魔法も練習を始めたので、近くの森をエリックに紹介してもらい、そこで練習している。

召喚されてからほとんどエリックとしか喋っていないので、そろそろ新しい友達がほしい。

しばらくは新しい魔法の作成が出来るように勉強しようと思う。




【日付 新暦305年 5月13日 異世界14日目】


今日の昼ごろ伊藤君に会った。

俺は図書館に行く途中で、伊藤君は訓練が終わって帰るところのようだった。

伊藤君の後ろには伊藤君パーティー兼ハーレム要員の4人が居て、不思議そうに俺と伊藤君を見ていた。

おそらく俺のことは忘れていたのだろう。


そのときをあらわすとこうだ。



「おっ。安部じゃないか!久しぶりだな。てか、まだここに居たんだなww」


俺に声をかける珍しい人は伊藤君だった。

少し伊藤君の言い方にイラッときたが顔には出さずに挨拶をする。


「あぁ。伊藤君か。久しぶりだね。」


挨拶だけして去ろうとすると伊藤君は俺に喋りかけてきた。

おそらく伊藤君もさびしいのだろう。

元の世界の繋がりみたいな物は俺くらいだしな。

本当はもう行きたいけど、もう少し付き合おう。


「魔法のほうはどうだ?俺は闇以外全部使えるからちょっと覚えるのに時間がかかったぜ。

まぁ、こっちに来てから1週間で全種類の槍ぐらいは使えるようになったけどなww」


ただの自慢だったorz

何だよ繋がりって・・・・。

自分が恥ずかしいよ。

俺は槍だけなら2日目には出来てたよ伊藤君・・・。

ここで真実を言うのもあれなので、少し嫌味を含みつつ適当に答えておこう。


「伊藤君はすごいね。まるで前の世界とは大違いだ。俺のほうはまだまだって感じかな。

精々君の足手まといにならないようにがんばるとするよ。」


「そうか。ま、がんばれ。んじゃ俺は忙しいから行くとするわ。わりぃ待たせたな、行くぞ4人とも。」


そう言って伊藤君が去ったあと俺にすごい敗北感が襲ってきた。

嫌味がまったく聞いていねぇ。それどころかプラスにしてやがる。

てか、伊藤君性格変りすぎ・・・・。

前までは「やぁ安部君。調子はどう?」見たいな普通な感じだったのに。

大きな力は人をここまで狂わすのか・・・。



まぁこんな感じだった。

これから心の中だけは伊藤と呼び捨てにすることにしよう。



【日付 新暦305年 5月19日 異世界20日目】


今日はエリックの勧めでギルドに登録をしに行った。

旅に出た時、個人で使うお金や旅立つ前に装備を揃える為や実戦経験の為だそうだ。

どうやらエリックは前々から考えていたらしい。

本当にエリックはいいやつだ。この世界で唯一の友達だしな。

ついでに伊藤は友達ではない。

エリックに場所を聞いてギルドに行ったあとすぐに登録をした。

ギルドはランク制で、上から順番にS、A、B、C、D、E、F、Gらしい。

エリックからもらった封筒を見せるとランクがDからの開始になった。

普通初めて登録する時はGかFになるらしい。

おそらく封筒の中身は推薦状か何かだったのだろう。

本当にエリックはいいやつだ。

そのまま帰るのも微妙な感じだったので早速依頼を受けた。

依頼内容は近くの森の魔ウサギ10匹の討伐にした。

狩った数はギルドカードに自動的に載せられていくらしい。


魔ウサギは角の付いたウサギだった。とりあえず10匹を狩って一箇所に死骸を集めて町に戻った。

(死骸はギルドの掃除屋が片付けてくれるらしい。)

ちなみにすごく弱かった。


魔ウサギが現れた!


水の槍。ザシュッ


魔ウサギを倒した!


の繰り返しだった。一匹ガッツのあるやつがいたけど・・・。

目をむいてこっちに突撃してきたからね。水の槍刺さってるのに。

とりあえずすげぇ怖かった。




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