記録7
夢を見た。
オレとアイツが話をしている夢。
真っ白な部屋の中で二人の男女がテーブルに着いて話をしている。
「次回は少し趣向を変えてみようと思う。」
「へぇ。例えば?」
「そうだな。××を××とかだな。」
「××を×してどうするの?」
二人の声がよく聞き取れない。
何の話をしているのだろうか?
「平和な世界でしばらくは放置する。」
男が突き放したような言い方で言葉を吐く。
「えぇぇ。それじゃつまらないんじゃない?」
女は心底つまらなさそうに言い、男をじっと見つめる。
しかし、その目は男の次の言葉を促しているようだ。
だが、女の目を男は全く気にしておらず、女を見ながら胡散臭い笑みを浮かべている。
「ああ、これだけだとつまらない。目的は平和ボケしたらどういう行動をとるかを見るためだ。それだけじゃなくて、その世界でもう一人適当に人を選んでソイツに踊ってもらう。人形のようにな。どうだ?」
「そうよね。あなたはそんな退屈な存在じゃないものね。」
「当たり前じゃないか。」
「身近な奴って言ってもどうやって選ぶの?」
「そうだな。お前が選べ。で、ある程度の力をやれ。」
「ふふっ。私が手を出していいの?私は観客よ?」
「いいさ、たまにはな。」
そう言うと二人は休憩するように紅茶を口にする。
「そうね。偶にはそんなのもいいわね。楽しませてね?」
「あぁ、もちろんだとも。だが、お前こそオレを楽しませてみろ。」
そして、オレは言った。「さぁ、公演の時間だ。」
目が覚めると隣でミーコが寝ていた。
体の痛みは大分取れたな。
まぁ、まだ全身が痛いがな。
取り合えず腹も減ったしミーコを起こして飯でも食いにいくか。
「おーい、ミーコ、起きろー。」
ユサユサ
「うふふふふふ。釣れたわ。しかもこーんなにたくさんの人が。うふふふ。」
うわっ!?
なんだこいつ!?メチャクチャキモイな・・・。
一体何の夢を見てるんだ?
「おーい飯だぞ。」
「うふふ。そうね。ご飯ね。でもそれはトイレだよ?そんなものを食べちゃダメよセイメイ。」
「俺ッ!?お前ホント何の夢見てんの!?てかお前の中の俺は何なの!?」
ここまで来ると変というより、いっそすがすがしいくらいにおもしろいな。
ちょっといろいろ耳元で囁いてみるか。
「知ってるか?すずめって食えるんだぜ?」
「そう。」
そんだけかよ!?
もうちょい試すか。何かこのままだと負けた気がするしな。
「俺、実はロリコンなんだ。」
「やめて!触らないで!むしろ近寄らないでこの変態!!」
すごいな。
これ会話できるんじゃね?
もういっちょいくか。
「お前はもう死んでいる。」
「あ゛ぁん?」
ゴスッ
いった!?てか、こっわ!?殴られたんですけど!?
しかも、めっちゃ怒ってるんですけど!?
機嫌を直すために最後の一回!
「愛してるよ。ミーコ。」
「そうなの?」
あっれ~?
何かミーコの目開いてるんですけど。
しかも、ミーコの顔が赤いんですけど。
めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど。
「起きてた?」
「うん・・・。」
「どっから?」
「それは・・・その・・。」
すごい気まずいよ?
これ絶対聞かれたよね?
どうしよう?取り合えずなんでもなかった風に装おうか・・・。
いけるかな?
「ミ、ミーコ、あ、あしゃご飯。」
あ、かみまみた。
これは気まずいよ。
取り合えずなんでもなかった感じを装って先に行こう。
時間が空けばマシになるだろうしな。
ガチャッ
「そ、そうだね。ご飯だね。でも、そこはトイレだよ、セイメイ。」
うっぷす。
さっきの寝言はこれを暗示していたのか。
若干雰囲気が違う気がするけど。
「あ、あぁ。先にトイレに行ってから行こうと思って・・・。」
「そ、そう。じゃ着替えるから先に行っててね。」
「そうしてくれ。」
一回の食堂に着くと宿屋の主人が出迎えてくれた。
「おお、坊主じゃねぇか。もう体は大丈夫なのか?」
「ああ、すまないな。何日分料金たまってる?」
「ははは、何言ってんだよ。坊主に街を救ってもらったんだ払わなくていいぜ。」
「ああ、知ってたんだ。金のことは助かるよ今あまり持ってなくてね。甘えさせてもらうよ。」
「知ってるも何も、お前さんは有名だぞ?この街を救ったヒーローだってな。」
どうやら俺がドラゴンを倒したのはかなり広まってるみたいだな。
あまり目立ちたくはないんだが・・・・。
そういえば伊藤たちはどうしたんだ?
後でミーコに聞くか。
料理の注文が終えた頃にちょうどミーコもやって来た。
まだ少し顔が赤いな・・・。
せっかく忘れかけていたのにまた思い出した・・・。
「なぁ、ミーコ。伊藤たちはどうしたんだ?」
恐らく先に行ってるんだろうな。
まぁ、それはそれであいつらから離れられて楽ではあるが。
「伊藤(笑)?まだこの街に居るよ?」
「へぇ意外だな。それはまた何で?」
「セイメイを待ってるらしいよ。」
おっとこれは意外だな。
俺のことは一応仲間だと思ってるのかな?
あの時、伊藤たちは逃げたけど仕方ないのかな。
まだ実践も少ないだろうし、あんなの見たら強くても逃げたくもなるわな。
仕様がない、殴るのは勘弁してやろう。
「そうか。集合場所とか時間とかは何か聞いてるか?」
「特に聞いてないよ。ただ、起きたら西地区のローズって宿屋に来てくれって。」
「なるほど。まぁ飯喰ったらブラブラしながらいくかな。」
それにしても西地区の宿屋ってどれも高いところばっかだったような・・・。
まさか、俺を差し置いて高いところに泊まってるとか?
そんなまさか・・・・な?だが、ありえそうな気がする・・・・。
もしそうだとしたら許せねぇ。
俺はこんなに安い、いやこれだと主人に悪いな。
俺はこんなにお手ごろな宿に泊まっているのに、君はお高い宿屋の部屋であの子達とにゃんにゃんってか?
べ、別にうらやましくなんかないんだからね!!
ぷっ。俺きめぇww
ま、べつに俺にはミーコが居るもんね!
あんな人のことを空気のように扱うような女の子よりもよっぽどミーコのほうがいいわ。
ごめん、嘘。ちょっとうらやましい・・・・。
評価、感想、アドバイスなどお待ちしてます。