表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/48

ギルド決戦!第二大陸へ!

何かの目的や思惑を期待して事実を伝える時、それをそのまま伝えれば良いというものではない。

それが相手にどう伝わり、どう捉えられるのか考える事が重要である。

だから大阪人はついついやってしまう。

話を大きくしてしまうってヤツだ。

『こんなでかい魚を釣ったぜ!』と言いながら、両手を思いっきり広げる。

自分がいかに凄い事をやってのけたのかを自慢する為に、ありもしない誇張を無意識のうちにやる。

そうすると大阪人の凄い所は、受け取る側も誇張分をしっかり差し引いて理解するのだ。

結果大阪人の間では、事実がしっかりと伝わる事になる。

もしも事実をそのまま伝えていたら、事実ですら事実でなくなる事になってしまう。

だから大阪人の間で話をするなら、誇張は嘘ではなく必要な表現と言えるのではないだろうか。

『太郎君が花子ちゃんの事を好きだって言っていたよ』

友達の愛美ちゃんが花子ちゃんにその事実を話したとして、一体どのように捉えるのだろうか。

ただの友達としての気持ちだと捉えるかもしれない。

或いは本気の恋愛感情だと思うかもしれない。

別の花子ちゃんだと考えるかもしれないし、冗談だと気にしないかもしれない。

だから愛美ちゃんはそれを伝える目的を考え、どう伝えれば相手がどのように事実を捉えるのかを考える事が大切になってくる。

だけどできれば聞く方としては、事実はそのまま事実として知りたいものだ。

ただし目的や思惑が無いとしたら、それはそもそも話す必要はないのだろうけれどね。


欲望ズのギルド砦には、メンバー全員が集まっていた。

『今日の夕方、いよいよ砦決戦をする』というメッセージが全員に送られたからだ。

メッセージはギルドメンバーなら、冒険者ギルドカードを使って送る事ができる。

冒険者ギルドカードのコンソール画面を出して、音声入力や文字入力でメールが送れるような感じだ。

「いよいよ今日、えっと‥‥他のギルドに戦争を仕掛ける訳だが‥‥。詳しくは俺もまだ聞いてねぇんだ。説明をナニワからしてもらう」

ナニワって俺だからな。

呼ばれ慣れてないので少し戸惑うよ。

「えっと、もう既にこの欲望ズは、この第一大陸一の最強ギルドになっている。だから力通りの形にそろそろしようと思う」

「ちょっと待って!流石に最強ギルドって事はないよね?」

ふむ、ギョルキューにはそうは見えていないのか。

或いは戦いに慎重なタイプのようにも見える。

確かに他のギルドは百人以上のメンバーが居たり、レベル百五十台のメンバーが複数居たりもする。

でも俺たちがいる以上どう考えても最強なんだよなぁ。

尤もその魔力を見せてはいないから、今じゃ奇乃子やボスの方が強いと考えている者も多いだろう。

俺は事実を言っただけなんだけれど、信じてもらえないと士気に関わるよなぁ。

「お前ら魔神の称号を持つ者の強さ、知らないよな?この称号はマジ半端ないんだよ。こんなでも下位職のレベル二百以上の強さはあるんだ」

嘘は言ってないよな。

狛里は現在見える魔力レベルを三十にしているけれど、実際は‥‥。

「そうなん?確かに強さは話に聞くけど、実際に見た事ないからなぁ」

「強いのは強いよ。俺一度殺されてるしw」

現在のメンバーの多くは、最初俺たちが皆殺しにした時にいた者たちじゃない。

何人かはいたけれど、流石に言葉だけじゃ信じてはもらえないか。

「お前ら俺のいう事が信じらんねぇのか?こいつらバイソーンをアッサリ殺せる奴らなんだぞ?」

「でもボスも倒せるようになったんでしょ?」

「だったら今は同じくらいの強さって事よね?」

「仮にそうだったとして、メンバーの人数差を埋めるのはキツイかも?」

さてどうしたものか。

自分たちが最強だと思ってくれれば、士気が上がると考えたんだけれどなぁ。

実際にボス辺りと模擬戦をやれば納得させられるけれど、今そんな事をすると魔力回復に時間がかかるからできない。

魔力を見せた所で感じられる者しか分からないし、こいつらが見える範囲で最高の動きを見せるしかないのかな。

「みなさん僕たちの強さを疑っておられるようですね。仮にそうだとして、貴方がたはウンコですか?!だったら他のギルドには勝てないのですか?!単に戦いたくないだけに見えますよ」

「この人たちウンコなの‥‥私たちがいないと何もできないの‥‥」

こら妖女隊、なんて事を言うんだ。

確かに今はウンコかもしれないけれど、もしかしたら将来の神がいるかもしれないんだぞ?

というか少女隊の下品さまで引き継がないでくれ。

「舐めてんのこの子ら?別に戦いたくないとは言ってねぇよ!ボスが強いっていうからある程度信じてたけどさ。マジ頭にきた。表出ろよ!」

「ちょっと待てゲッツ!これから戦争なんだ。無駄な魔力は使うな」

「別にこの子たちが強くても弱くてもいいじゃん。ゲッツは自分がこの子たちよりも強いって思ってるんでしょ?だったら戦争でそれを見せればいいよ」

「わーったよ!お前らゲスト風情の力なんてなくても勝てるって所を見せてやる!」

よく分からないけれど、希望通りの形で戦えそうになってきたな。

士気も別の方向から上がってきたし。

事実を言っても信じてもらえず、信じてもらえないからこそ期待通りに動く事もある。

全く人を扱うのは難しいものだ。

「じゃあ話を進めるぞ。今ゲッツは俺たちが居なくても勝てると言ってくれた。だったら俺たち三人抜きで、砦を一つ落としてもらう。砦攻略は六時間以内ってのが定石だし、それは絶対に守ってもらう」

「問題ねぇよ」

「それでその間に、俺たち三人は他の砦六つを全て落としてくる。つまりお前たちが勝てば第二大陸に行けるって訳だ」

全部落としても良いんだけれどさ、俺たちに連れて行ってもらったって思ったら喜びもないだろう。

自分たちが実際どの程度やれるのか、身を持って知っておくのも重要だ。

己を知る事も勝利には必要だしね。

第二大陸以降は、きっと此処よりも大変になってくる。

「ちょっと待て!お前ら三人で砦を六つ?何を言っているのか分からねぇんだが?」

「ゲッツ。俺も信じらんねぇんだが、こいつらならやりそうな気がすんだよ」

「そんなに強いの?」

「マジで?とりあえずやるってならやらせりゃいーじゃん!」

みんな本気で信じてはいないみたいだな。

ボスと奇乃子はともかく、他はとりあえず期待せずにやらせておけばって所か。

これじゃやっぱり、やる気アップには繋がらないよねぇ。

それで負けてる力の差を埋められたらと思ったんだけどなぁ。

実際の所、俺たち抜きだと結構厳しい戦いになると思う。

まあでも早く砦を取ってきてやれば、目の前に人参を吊るされた気分で頑張ってくれるかもしれない。

「作戦開始は夕方六時。そしてこの話は各ギルドに報告しておこうと思う」

「何いってんだよ!?奇襲でもしなきゃ」

「勝ち目は無いか?むしろ逆だよ。予告しておけば、他のギルドも動いて乱戦になるかもしれない。その方が勝てる可能性が高まるんだよ」

正直一対一の正面対決じゃ勝ち目は薄いからな。

ちなみに俺たち砦は落とすけれど、他のギルドメンバーに手出しするつもりはない。

あくまで砦を落とすだけだ。

予定通り作戦は決定し、俺は各ギルドへ話が行くように冒険者ギルドで話を流しておいた。

さて砦争奪戦の作戦だけれど、その前に現状を伝えておく。

まず『始まりの地』から八方に、ギルド砦のあるマップは存在している。

北にある『楓の森』に俺たち欲望ズの砦がある訳だ。

北西の『桜の森』西の『月の森』南西の『梅の森』の三ヶ所を支配しているのが、現在最大のプレイヤーズギルド『ドラゴンブレス』である。

メンバー数が百人を超えているこのギルドの砦、桜砦に対して欲望ズメンバーには攻撃を仕掛けてもらう。

南の『氷の森』南東の『風の森』を支配しているのが『犬猫同盟』。

メンバー数は六十人程度と多くはないけれど、魔力レベルが百五十に到達している者が三人いるのが特徴。

東の『雪の森』北東の『桃の森』を支配するのが『おたくギルド』だ。

メンバー数は七十人程度だけれど全体的にレベルも高く、此処との対決は欲望ズには荷が重く避けたいと考えていた。

こういう状況で前もって情報を与えておけば、おそらく何処かの勢力は我が『楓砦』に攻撃を仕掛けてくるだろう。

或いは複数ギルドがそうして集まり、潰し合ってくれる事が情報を流す大きな目的だ。

更に犬猫同盟辺りがドラゴンブレスの梅砦辺りを攻めてくれる可能性もある。

その場合ドラゴンブレスは戦力を割く事となり、桜砦の守りが薄くなる事を期待する。

「そして俺たちの役目だけれど、一人一砦を落としていこう。妖凛と姫ちゃんにも参戦してもらう。一人足りないのは俺の分身を使う」

ちなみに姫ちゃんってのは、俺の中に住んでいる元木花咲耶姫の妖精さんだ。

俺と別人格の俺自身と思ってもらって差し支えはないだろう。

それで計算した所、分身でも砦のクリスタルは二撃で落とせるはずだ。

最悪短時間で落とさなければならない状況となっても、二秒以内で落とせるのだから問題はない。

「それぞれの砦に行って、クリスタルが何時でも落とせる位置まで影を移動したら、しばらくはそこで待機。その砦で戦闘が行われているようならギリギリまで様子を見る。なるべく時間を掛けてクリスタルを破壊し、砦を落としたら桜砦に集まって観戦だ」

なるべく敵戦力を分散させつつ砦を落とすのが俺たちの役割となる。

「基本的に俺たちは誰にも見つからないようにしよう。クリスタル前に守備兵が居たら仕方がないけどね」

普通防衛は広間で行うとは思うけどさ。

或いは細い通路とか。

クリスタルの部屋まで来るのは大抵が追い詰められている時だ。

そうなったらさっさとクリスタルを破壊して砦を落とす。

「畏まりました。わたくしが戦うなんてドキドキしますね。もうずっと戦わずにいましたから」

「戦闘には基本的に参加しないぞ?どうしてもって時だけで、役割はあくまでクリスタルの破壊だけだからな」

「分かっています主様♪」

姫ちゃんはちょっと不安だ‥‥。

「僕はちょっと戦いたい気分です。弱い人を挑発しながら戦うのは割と楽しいのです」

「いやそれはちょっと性格悪いだろ?」

想香の天然な所は、もしかして狙ってやっているんじゃないだろうな。

「私は早く戻ってきてみんなの戦いを見たいの‥‥奇乃子ちゃんはきっとやってくれるの‥‥」

「そうだな。早く戻ってきてみんなに他の砦を落とした事を伝えたい」

そしたら士気がきっと上がる。

また信じてもらえないかもしれないけれどさ。

「じゃあそろそろ時間になる。各自時計を合わせておこう」

「なんですかそれ?」

「あ、いや、ちょっと言ってみたかっただけだ」

作戦行動の時に時計を合わせるのって、なんだかやってみたくなるよね。

冒険者ギルドカードについている時計は、狂ったりしないから不要なんだけどさ。

「じゃあ各自砦に行ってスタンバイだ!」

「タマー!」

こうして俺たちの最初で最後の砦争奪戦が始まるのである。


夕方六時、いよいよ戦闘が開始された。

一応状況を把握する為に、俺は桜砦にもチビ分身を送っておいた。

助ける事はしない。

ただ状況を確認する為だけだ。

ボスを先頭に、メンバー全員で突撃を開始する。

バカ正直な正面からの攻撃に、相手も真っ向から対峙してきた。

ギルド戦に入ると、敵がどのギルドに所属しているのか分かるようになっていた。

敵のビジュアルが、なんとなく色に染められたように見えるんだね。

本当にゲームモデルな感じの世界だよ。

楓砦に残してきたチビ分身も、敵襲を確認していた。

空っぽの砦に攻めてきたのは、どうやらおたくギルドのようだな。

これはありがたい。

このギルドが楓砦を取る事だけに集中してくれれば、他の仕事がやりやすくなる。

しかし直ぐに誰も居ないと悟ると、大半のメンバーは去っていった。

まあそうなっちゃうか。

できれば全員此処に居てくれれば監視しやすかったけれど、クリスタル破壊だけならそんなに人数も必要ないよな。

『こちら梅砦なの‥‥犬猫同盟の人が攻めてきたの‥‥』

犬猫同盟も動いてくれたか。

これでドラゴンブレスの戦力は確実に分散される。

狛里の所の梅砦の戦闘が長引いてくれれば、それだけ勝てる可能性が高まるだろう。

『そうか。それで戦力的にはどんな感じだ?』

『ドラゴンブレスの方は読んでいたみたいなの‥‥そっちの方が人数が多いの‥‥』

なるほど。

ならば‥‥。

俺は月砦の想香にテレパシー通信を送った。

『想香、そっちはどんな感じだ?』

『砦には誰もいないのです』

誰も居ない?

となると事前に情報を得ていてこの砦は空けているって所か。

『だったら今の魔力の半分くらいでクリスタルを連続攻撃だ。更に戦力を分散させる!』

『分かったのです』

他は俺と一心同体なので、状況は常に把握できていた。

できるだけ戦力を分散させられるよう行動を開始している。

雪砦では犬猫同盟が攻めてきたものと勘違いして、おたくギルドは逆に風砦を攻めたりもしてくれた。

確実に戦力を分散させつつ、ギリギリまで粘って俺たちは砦を落としていった。

全体的にいい感じには戦力を減らせたな。

一応我が欲望ズメンバーはまだ全員生き残ってはいる。

しかしメミーの魔力も尽きつつあるし、そろそろ蘇生は望めなくなってきたか。

後はジャマやルペンのスクロールによる蘇生が数回ずつ。

ハラリンも水系の蘇生スクロールを持っているけれど、水系は十分以内の蘇生が必要だからできれば先に使っておきたかったな。

割と有利に戦闘が進められている中、ジャマとルペンが同時に殺られてしまうという事態が起こってしまった。

おいおい、このまま復活できないと蘇生が尽きるぞ?

ジャマもルペンも前線で戦うタイプだから、メミーの位置からだとなかなか蘇生に行けない。

誰かが死体の回収をする必要があるけれど、戦力的に余裕はないか。

このまま消える事になるのなら、その前にスクロールだけは回収したい所だけれどそれも難しい。

むしろ敵がそれを奪おうとやってきていた。

奪われたらヤバいぞ。

こちらの数が減らされ、敵の数が増えるようなものだ。

「ハラリン!前にこい!俺が守る!」

「えっ?うん‥‥頼むよ」

ゲッツがハラリンを守りつつ蘇生させようと頑張っていた。

そんなにレベルの高いヤツでは無かったけれど、啖呵を切った手前気合で頑張っているようだ。

威勢の良い事って、言うのを否定する人もいるかもしれない。

でも声に出して言ってしまったら、後はやるしかなくなる。

そしたら実力以上の力が出せるようになる事もある。

ゲッツはハラリンをかばいつつ前に出て、ハラリンをジャマの所まで移動させた。

「水の癒やしよ」

ハラリンはスクロールを使って水の蘇生を発動した。

時間はギリギリ間に合ったか。

ジャマが再び動けるようになった。

「サンキュー助かったよ。ルベンは俺が蘇生させるから」

「うん‥‥。あれれ?今の魔法で水の癒やしでの蘇生、できるようになっちゃったみたい」

「マジで?だったらそのままルペンの蘇生も頼む」

「分かった」

今度はゲッツとジャマに守られつつ、ハラリンはルペンを蘇生する事に成功した。

このタイミングで蘇生魔法を覚えられたのは強いな。

メミーの魔力回復も助けられるし、状況は有利に傾いてきた。

「戦況はどうなの‥‥」

砦を落として狛里が戻ってきた。

「ちょっと危なかったけど、丁度今立て直したよ」

これで一応全員桜砦に集合した。

その俺たちを奇乃子が見つけてくれた。

「みんなが戻ってきたのだ!後はこの砦を落とせば俺たちの勝利なのだ!」

奇乃子の声に、一部の者は歓声を上げ、また一部の者は信じられないと言った感じでブツブツと不満をタレていた。

「うっひょー!僕がクリスタル一番ノリするぜー!シャーリー援護よろしくー!」

「ホンマかいな。まあええけど」

あの二人のコンビネーションはいいな。

そしてそれを見て、ギョルキューが味方の位置を調整している。

欲望ズのメンバーは信頼関係が厚い。

敵の数が減って少数精鋭の強みが出始めてきた。

ただあまり突出すると危険だぞ?

敵にはまだ強いのが残っている。

広間での戦いから通路、そしてクリスタルの部屋へと移っていった。

すると敵の大将らしき者とその側近が前に出て戦い始めた。

此処までの戦いで疲れている此方側と、万全の状態でようやく出てきた敵側。

ヨンキューがいくら強くても勝てないな。

敵大将の攻撃を受けて、ヨンキューはふっとばされた。

「あっ‥‥殺られちゃったよ‥‥」

一瞬にしてやられたな。

でもふっとばされている分、蘇生しやすいのは幸いだった。

さてこの相手、やれるのはボスと奇乃子だけだろう。

二対三になるけれど、力の差はきっとほとんどないはずだ。

「奇乃子やるぞ!お前の援護があれば俺は負けねぇ!」

「今はタケノコと呼ぶのだ!でないと別の戦争が起こるのだ!」

「意味わかんねぇよ!」

キノコばっかり贔屓していると、タケノコが怒っちゃうよね。

そうなるときのこたけのこ戦争に‥‥。

いや今はそんな事を考えている場合じゃなかった。

戦闘は既に始まっている。

敵は戦士と僧侶、そして魔術師って所か。

ボスがとりあえず戦士の奴に一撃を入れる事ができれば、呪いと麻痺と毒で有利に戦いを進められるようになる。

でも流石に疲れていて自分の身を守るので精一杯か。

ならば奇乃子の援護次第。

しかし魔法使いの介入を阻止するので手一杯のようだ。

やはり二対三はキツイかもしれない。

するとシャーリーがコソコソとクリスタルに近づき、クリスタル攻撃を開始していた。

「こいつせこいぞ!」

「いやせこい言われても、まあその通りやから」

チャンスだ!

敵大将の気が一瞬逸れた。

ボスはそのチャンスを見逃さず、トンファーで一撃を入れた。

「危なかった!ちょっと(カス)ってしまったようだが‥‥」

掠った程度とは言え、その武器並みじゃないのよね。

力では負けていても、武器がその差をひっくり返してくれる。

「くっ‥‥なんだこれは?呪いと麻痺と毒だと?」

敵の僧侶が回復させようとするけれど、この状況ならボスの方が圧倒的に有利だった。

ボスは敵僧侶の頭に一撃を入れて、一発で屠る事に成功していた。

敵の前線は崩れた。

「ファイヤーエンブレム!」

奇乃子の放った炎の鷹が、敵後方集団を呑み込んで炸裂した。

敵のほとんどが倒れていた。

「じゃあやるよ。油断しないで確実にトドメを刺していってね」

ギョルキューの指示で、皆は残った敵を確実に屠っていった。

後は他の勢力の残った者たちが、此処に集まって来なければ勝利だ。

既にシャーリーは狂ったようにクリスタルを連打しているし、ボスと奇乃子も油断せず入口を固めている。

この体制ならもう勝てるだろう。

思った通りやってくる者はほとんどおらず、そこから約一時間半で砦は落ちていた。


気がつくと俺たち欲望ズのメンバーは、教会の礼拝堂にいた。

死んだ後に復活する場所だ。

でも第一大陸の教会と違う事は一目で分かった。

「よしっ!俺たちは勝てたみてぇだな」

「マジかよ。まさか本当に六つの砦を落としていたってのか」

これでゲッツも信用するしかないだろうな。

「しまった!マジで勝てると思ってなかったから色々砦に残してきたままだよ!」

「俺は一応持ってきたで」

「普通持ってくるよね!」

「マジで?俺も持ってこなかったわ」

案外信用なかったんだなぁ。

ショックだわ。

でもまあこれで認めてはくれるだろう。

「マジでつえぇなら荷物くらい回収しておいてくれよ!」

いや流石にプライバシーの配慮くらいはするだろ?

回収したは良いけど、エロ本とかあったら気まずいだろうし。

戦っている最中に他人の部屋に入るとかヤバいし、今から取りには行けないのだろうか。

兎にも角にもそんな訳で、とりあえず俺たちは第二大陸に渡る事ができたようだ。

さて次は第三大陸を目指す事になるとは思うけれど、きっとまたギルド戦をしなくちゃならないんだろうなぁ。

一体何時になる事やら。

めんどくせ~w

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ