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孔聞の力!砂浜の海岸を攻略!

日本は今から千八百年ほど前、百以上の国に別れていたらしい。

しかしそれから百数十年ほどで一つの国家に統合された。

その時代の驚くべき事として、その間日本には戦いが無かったと云われている。

戦いの形跡が全く残っていないからだ。

日本というのは、戦わず話し合いなどでまとめ上げられた国と言えるだろう。

だからその後、国が分裂するような事は起こっていない。

争いが無かった訳じゃないけれど、神武王朝を守るために今までやってこられた訳だ。

何故そんな奇跡のような国が出来上がったのだろうか。

何故そんな国が今も存在しているのだろうか。

それは戦わずに統一された国家だからなのだろう。

逆に言えば、『戦って負けても立ち上がれる』けれど『戦わずに負ければ立ち上がれない』という事でもある。

今の日本ではなかった百以上の国々は、戦わずに負けたから再び立ち上がる事はなかった。

もしも日本が殺し合いの中で統一された国だったとしたら、今も分裂や統一を繰り返す国だったのかもしれないね。


山ノ内に対する海老嶋の大攻勢が始まっていた。

麓の町を占拠できたとは言え、此処から先に進むには北にある湖の町を手に入れる事が急務である。

此処を先に海老嶋に奪われると、俺たちはもう先に進めない。

もちろん飛び地の領土を持てない訳では無いけれど、兵を連れて行くのは無理があるので戦争に勝つのが恐ろしく困難になる。

狛里や想香に兵を背負わせて行けば、飛び地でもなんとかなるけどさ。

流石にそれをすると、この世界の神にバレるのは確実だよなぁ。

ほぼ一人で戦争に勝つとか。

空き家でも一人じゃ落とせない訳だし。

ちなみに俺の無双は、ちゃんと兵にも攻撃させたしギリギリまで力を落としてやっている。

守りが有利なのは当たり前だし、力を使う所はちゃんと考えているからね。

いやマジで。

「次の予定は【砂浜の海岸】だったのだ」

【砂浜の海岸】ってのは、位置は麓の町がある『マップ【山の麓】』の西側だ。

海の村があるだけの戦略的にはどうでもいい場所という事になる。

それでも等々力の王都とは近い場所にあるし、端から全ての領土を埋めていきたい訳で、まずそこを取っておこうというのは気持ち的には理解できた。

「しかしその余裕はねぇよな」

「既に湖の町が攻撃されています。つまり侵攻されているという事です」

いや別に同じ事を二回言わなくてもいいよ。

孔聞って前からその傾向があるよな。

「流石は孔聞様。その通りよ」

百万診はそれでも孔聞推しか。

そういう訳で、今すぐこちらから湖の町を奪いに行きたい所だけれど‥‥。

「とは言え海老嶋が先に攻撃してるんじゃ、こっちも手出しができねぇか」

「海老嶋とは不可侵条約を結んでいるのです。つまりそこに手を出してはいけないって事ですね」

「だったら仕方がないのだ。予定通り【砂浜の海岸】を攻略するのだ」

そんな事をしている余裕はあるのだろうか。

確かに今は何もできないけれど、チャンスがあれば直ぐに動ける体制を維持しておくのも大切かもしれない。

でも奇乃子がそうするって言うなら任せるしかないか。

俺の我儘はなるべく抑えていかないと。

できれば、だけどね。

「【砂浜の海岸】なら簡単に攻略できると思います。自分に任せてもらえれば簡単に攻略してきましょう」

「素敵よ孔聞様」

狛里からの情報によれば、山の出口辺りに小さな砦が築かれ、そこに二百人ほどの兵がいるだけだと聞いている。

誰が見ても孔聞が兵を率いて行けば楽勝できると思うだろう。

今では孔聞の第二部隊は千八百人強いるからね。

尤も相手に高いレベルの冒険者がいたら分からないけれど、冒険者がいるという情報は入っていない。

「一応冒険者がいる場合も完全には否定しない方がいいんじゃねぇか?どうでもいい場所でも一人くらいはいてもおかしくねぇ」

ボスの言う事も一理ある。

辺境の村って意外と強い奴が残っていたりするんだよな。

いくら等々力の諜報員が優秀でも、こんな村の事なんて完璧には調べられない。

「だったら俺が一緒に行くのだ。ボスたちは麓の町を守っておいてほしいのだ」

兵を分けるのはあまりお勧めはしないけれど、マップ【砂浜の海岸】を手に入れる為には仕方がないだろう。

それに今は山ノ内が攻めてくる余裕もないだろうしな。

「ならば私が行くわ!孔聞様と一緒がいいもの」

「いえ女神さま。それは無理じゃないでしょうか?兵を全て連れて行く訳には行きません」

「その通りだな。悪いが百万診は俺と一緒にここでお留守番だな」

「私と孔聞様を引き離そうなんて‥‥。まあいいわ。孔聞様なら一瞬にして勝利してくださるもの」

二人の愛を割くのは心が引けるけれど、孔聞は少しホッとした表情だしこれで良かったよね。

「では俺と孔聞で【砂浜の海岸】を取りに行くのだ!」

「自分が指揮するので奇乃子は付いて来てください。つまり自分が指揮官をやるという事です」

「分かったのだ!任せるのだ!」

今の隊編成ならそれでも問題はないな。

全ての兵は孔聞の指揮下だし、後は奇乃子が従えば済む話。

ならばもう一人、一寸身を作っておくか。

ついでだし、実際何体まで分身を作れるのかソロソロ試しておくのもいいだろう。

俺は分身を続けて作っていった。

おそらく思考の数くらいは作れるよね?

なんて思った瞬間、分身は作れなくなった。

全部で七人か。

意外と少なかったな。

まあそんなに多く必要とする事は無いし、七人(チート)が合っている気もする。

俺はこの数字が一番良かったのだとなんとなく思えた。

なんというかこの話の神が、ようやく最初の構想時のタイトルをネタとして使えたと喜んでいる気がするんだよね。

さて本体の俺は、一人だけ残した分身を小さくして一旦闇の家に入れる。

それを奇乃子の肩に乗る一寸身が迎えに行って帰ってきた。

一寸身がいる所なら、どこだって直ぐに移動する事ができるのさ。

新たな一寸身の俺は百万診の肩に乗った。

「あら可愛いわね」

「此処に攻めてくる勢力は無いと思うけど、一応俺も此処にいるよ」

分身の俺は本人と見た目が違うけれど、流石に小さな姿を見れば皆が俺だと直ぐに理解してくれていた。

まあこんな事ができるのは、今の所俺意外知らないだろうしね。

こうして孔聞と奇乃子は此処にいる約半分の兵を率いて、【砂浜の海岸】攻略へと向かった。


山の下り坂というのは、割と体力を使う。

腰が悪い人なんかは、上りよりも下りの方がキツイって言うよね。

でも冒険者や獣族の傭兵にとっては、むしろ速く進めて快適だった。

「探知魔法で問題は確認されていないけれど、一応慎重に進めよ」

「分かっているのだ。でも孔聞が先行しまくっているのだ」

司祭(プリースト)のくせに元気だなぁ。

山道も走りなれている感じがする。

司祭になる前は、もしかしたら体術を基本とした職業だったのかもしれない。

修道僧(モンク)っぽいよな。

結局孔聞のスピードに付いて行く事になって、直ぐに山ノ内の砦が見える所にまで到着した。

「それでは奇乃子、此処からファイヤーエンブレムをお願いします。魔法での攻撃です」

「いきなりなのだ?でも今の指揮官は孔聞だから従うのだ!」

奇乃子は少し戸惑いながらも、みんなの前に出た。

「ファイヤーエンブレム!」

この程度の距離なら、流石はグランプリの‥‥じゃなくて炎の鷹だ。

一瞬にして砦を捉えていた。

「やはり防御結界がありますね。ですが奇乃子の魔法なら攻撃が通っています。次はライトニングアローエンブレムをお願いします」

奇乃子の魔法は、多少防御結界に防がれはしたものの、砦に火を付けて燃やす程度には通っていた。

「分かったのだ!ライトニングアローエンブレム!」

今度は雷の鷹が、矢のように鋭く、砦に突き刺さるように突撃していった。

そして直ぐにあちこちで炸裂する。

砦はあっさりと破壊できた。

中にいた鼠獣族の傭兵がこちらに向かってきた。

「弓隊前へ出てください!」

孔聞の指揮で弓兵が前へと出る。

「魔法部隊!一斉攻撃です!」

おっと弓兵を前に出して魔法攻撃かよ。

でも射程を考えればなるほど分からなくはない戦術だ。

ちゃんと射程に入った所からの的確な攻撃。

「弓隊!発射です!」

完璧な戦いだな。

「敵は既に壊滅状態です。歩兵は突撃して勝負を決めてください」

勝負あったか。

まあ数で圧倒していたとはいえ、ほぼ無傷で勝利するのだからこれは孔聞を褒めるべきだろう。

なんて思っていたら、村の方から結構な魔力を持つ二人が走ってくるのを察知した。

「孔聞!村から敵が来る!結構な魔力を持っているからおそらく敵の冒険者二人だ!」

一寸身の俺は声を上げて伝えた。

「歩兵は一旦引いてください!奇乃子は迫ってくる敵にファイヤーエンブレムをお願いします!」

「分かったのだ。ファイヤーエンブレム!」

炎の鷹が、逃げてくる兵たちを越えて、やってきた二人に襲いかかった。

「せっかくゆっくりできると思っていたのに」

「山ノ内だとそう長くは持たなかったって所かな」

そんな事を言いながら走ってきた二人は、ファイヤーエンブレムを剣で薙ぎ払っていた。

「強いのだ!」

「これは危険ですね。全ての兵は自分たちの後方へと下がってください!」

この状況で孔聞は前に出るだと?

相手の力を理解できていないのか?

魔力レベルはそれぞれ二百手前くらいありそうだぞ?

「兵の少ない所には、相応の戦力がやってくる」

「ならば我ら二人でも十分守れちゃうんだよね」

敵は双子の男性二人か。

そっくりだな。

確かにこんな場所に兵が二百しかいなければ、そんな大軍では攻めてこないだろう。

二人とも剣を持っている事から、将棋駒なら銀将以上。

だけれど角行と思われる者よりも魔力レベルは低いので、あって金将と銀将か。

「貴方がたは山ノ内の者で間違いはありませんね?」

「ん?まあそうなるのかな?でもあくまで手伝いだよ。ギルメンを引き上げる為に第四大陸から来てるんだけど、ちょっと風向きが怪しくなっているよねぇ」

第四大陸からだと?

そんな事してもいいのか?

いや、プレイヤーズギルドのメンバーなら、全員を第四大陸に上げる為に助けに来る事があって当然じゃないか。

そういうの頭に無かったよ。

「そう‥‥なんですか」

ん?孔聞はどうしたんだ?

やけにションボリしちゃっているな。

そう言えば孔聞は何処かのギルドに所属していたはずだ。

だったら何故一人で第三大陸に残っているのだろう。

一人で上がってきたって可能性も有るけれど、そうなら先に第四大陸に行こうとするだろうか。

一人残されたらから一緒に上がれるメンバーを待っていたと考える方が自然だよな。

となると何故仲間は第四大陸から助けに来ない?

もしかして見捨てられている?

まあそんな事を知った所で、慰めてやるのも違うだろう。

成人男子だしな。

何にしても今は二人の対処が先だ。

魔力レベルでは敵の二人には敵わない。

第四大陸に上がっているという事からも、格上である事は間違いないだろう。

どうする?

助けるか?

「奇乃子。二人で倒しますよ。自分たち二人なら勝てます」

「分かったのだ。でも俺たちどちらも後衛職なのだ。どうするのだ?」

「自分が前に出ます。何かサポートができるのならそれをしてください」

「任せるのだ!後衛でサポートするのは得意なのだ」

奇乃子はいつもボスの後ろで戦っているからな。

前衛がちゃんといれば十分戦える奴だ。

しかし相手はガッツリ戦士っぽいよなぁ。

奇乃子の魔法への対応から、魔法使いの要素は皆無に思える。

つまり下位職のままの可能性が高い。

だからといって戦士を極めた者は侮れない。

戦闘という意味ではどこまでも強くなるから。

魔王を倒すのは勇者と相場が決まっているけれど、そのパーティーには必ず戦士もいるんだよ。

「僕たち相手に第三大陸の冒険者が向かってくるみたいだよ?」

「こっちは第四大陸でレベル上げしてるっていうのにさ」

それに経験も魔力レベルも確実に相手の方が上か。

勝てる見込みなんてほとんど‥‥。

「行きますよ。五十歩百歩真拳!」

おい、そのネーミングは少し際どくないか?w

孔聞が一気に直進した。

その残像は正に槍のようだ。

香車に一番合わない奴が香車をしていると思っていたけれど、別の意味でこいつは正に香車だな。

一瞬にして間合いを詰められた敵二人は、慌てて間合いを取りながら剣を振るう。

それよりも早く孔聞は軽くパンチと肘打ちを入れてから、直ぐに自ら間合いを取った。

見事なヒットアンドアウェイだな。

「そこなのだ!テーザー銃!」

そしてちゃんとサポートを忘れない奇乃子。

電撃麻痺の攻撃が敵の二人に命中する。

すると一瞬動きが止まり、再び孔聞が攻勢に出た。

「こいつ、木製ワンドを持っているから香車じゃないのか?」

「だったら普通は魔法使いだよね?このパンチ、重すぎる‥‥」

孔聞の攻撃はかなり効いていた。

しかし流石は既に第四大陸に行っている者たちだ。

そう簡単には倒れないか。

それにこの二人が何もせずこのままやられてくれるとも思えない。

「やっぱりワンドを持っていると戦いづらいですね。自分の力が出しきれません」

だろうな。

いくら体術によって有利に動けても、魔力を乗せられないとダメージは与えられない。

ワンドはきっと竹槍よりはマシだと思うけれど、力が出し切れていないのはハッキリと分かる。

それでもこの動きと攻撃は、武道家だとするならかなりのレベルだよな。

何故武道家じゃなく司祭なんてやっているのだろうか。

元は武道家だったけれど、司祭に転職した?

それならせめて、転職するなら修道僧(モンク)だったんじゃないのか?

狙ってできるもんでもないんだけどさ。

でもおそらくだけれど、全く違った職にはならないような気もするんだよな。

もしかすると孔聞は、元々が修道僧だったのかもしれない。

ならば何か理由があって司祭になったのか。

思考が多すぎるとついついいらない事まで考えるのが欠点だわ。

まあ何かこちらが知っておくべき事なら、そのうち話してくれるだろう。

「エアカッター!」

「二枚刃斬り!」

敵の二人もようやく本気で反撃してきたようだ。

ロングレンジからの剣術攻撃ね。

孔聞は咄嗟に防御魔法を発動しシールドを展開する。

「くっ!重い‥‥」

孔聞もやはり魔法の発動には苦労しているな。

俺よりもマシだとは思うけれど、マジでこのハンデはしんどいよ。

しかし相手にイニシアチブを取られたか。

「これじゃ駄目ですね。奇乃子!自分は少し下がります!前衛でなんとか粘ってください!」

「えっ?俺が前衛なのだ?無理なのだ!」

「敵の攻撃を引き付けるだけで構いません!」

「分かったのだ!頑張るのだ!」

流石にマジで攻撃を始めた戦士二人を、奇乃子一人で止めるのは難しい。

一応前衛としての素質は高いんだけどさ。

あまり前衛で戦ってこなかったから、今ではすっかり距離をとって戦うのに慣れている。

テーザー銃の効果範囲が広いから、敵も迂闊には近づいて来ないけれど、それでもロングレンジ攻撃で奇乃子は少しずつ傷ついていった。

もう持たないな。

仕方がない、助けてやるか。

「奇乃子!跳ぶのです!」

俺が助ける前に孔聞が叫んだ。

「飛ぶのだ?俺は空なんて飛べないのだ!」

奇乃子はそう言って、破れかぶれで横に向かって飛ぼうとした。

おいおい奇乃子。

それは流石に混乱し過ぎだろう。

こりゃやはり助けてやるしかないじゃないか。

俺がそう思った瞬間、孔聞が離れた所から一気に敵二人に近づいた。

さっきよりも圧倒的に疾い。

しかもその勢いを利用して、二人の顎にパンチと肘打ちをクリーンヒットさせていた。

なるほどこの技は距離が離れている方がスピードが上がるのか。

五十歩の距離も百歩の距離も同じように詰められるって訳ね。

正に将棋の格言にある『下段の香に力あり』って所か。

香車は距離の離れた下段でこそ最大の力を発揮する。

「これで終わりです」

「孔聞ちょっと待て!殺してしまったら復活してまたやってくる。捕らえて牢屋にぶち込んでおくぞ!」

一寸身の俺はそう言って、脳震盪(のうしんとう)で動けない二人に魔封じの手枷を付けた。

「そうでしたね。後はお願いします」

そう言って孔聞は、兵たちに戦いの終わりを告げにいった。

もうコレ以上は戦う必要もない。

必要以上の戦闘は、恨みを残す事になるのだから。

第二次世界大戦の頃、アメリカは日本の広島と長崎に原爆を落とした。

アメリカ人は『そのお陰で戦争を早く終わらせる事ができた』などと言っているけれど、戦争を終わらせるのに原爆は必要なかったんだよね。

だからその恨みは、日本人の中に残っている。

終戦の年の初め頃には、戦争を終わらせる為に動き出していたんだ。

そして決定的だったのはソ連の侵攻開始。

原爆で戦争をやめるなら、その前の東京大空襲でやめているよ。

無意味な原爆が、いつか日本とアメリカの関係を割く日が来るかもしれない。

歴史がそれを語っているから。

まあそれを学習している日本人なら、きっと大丈夫だとは思うけれどね。

今の日本は一体どうなっているのだろうか。

なんとなくそんな事を思う俺だった。


俺たちは敵兵も含めて全ての兵を治療した。

助けられなかった鼠獣族の兵もいたけれど、その甲斐あって皆が仲間になってくれた。

俺は適当に砦を建てると、後はその者たちに此処を任せる。

一度麓の町まで来てもらって、登録作業が必要だけれどね。

彼らと戦いはしたけれど、最後はちゃんと話し合ってこちら側に付いてもらう。

こういうのが成立するのって、日本人神様の作った世界だからなのだろうな。

チェスはただの殺し合いゲームだけれど、将棋は倒した相手を仲間にするのだ。

この国盗りクエストに『将棋の駒に例えられた役職がある』のは、きっとそれが正しいやり方だと伝えているに違いなかった。

しかしこれで冒険者捕虜は四十七人になったな。

巨大ギルドのメンバーが参戦しているとするなら、これで約半数は捕らえられていると考えていいだろう。

相手の心配なんてする必要はないかもしれないけれど、ギルドのメンバーが半分牢屋の中ってどういう気持ちだろうね。

楽しい冒険の旅も楽しめないかもしれない。

少し話をしてみるか。

他人の事なんて考えている余裕もないけれど、今俺たちは行き詰まってしまった訳だし。

奇乃子と孔聞たちが麓の町に戻る頃、唯一の進攻ルートであった湖の町は、海老嶋に落とされていたのだった。

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