プロローグ02
「お母さん、行ってくるね。」
「大丈夫、荷物チェックしたから」
「そう、きおつけてね」
「うん、じゃあ行ってきます!」
おれの名前は鴻巣 晴真
今日からおれはダンジョン採集者になる。
今から一年ちょっと前、地球に突然ダンジョンが誕生した。
当時高校2年だった僕はそのとき、学校からの帰り道で電車に揺られていた。
眠かったのもあって僕はスマホもいじらず、ぼーっと窓の外を眺めながら家の最寄り駅につくのを待っていた。
12月も後半になり外は寒い。窓も白く曇っていた。
電車の中は暖かく、コートとマフラーもつけたままなのでより暖かい。つまりは眠い。ほんとにねむい。
学校から家まではは電車で20分位の距離だ。だから寝るわけには、、、zzzz
そんなときであった。世界に声が響いた。
おれは寝ていた。
いや正確に言えば声によって起きはしたのだ。
でもすごい近くで子供がなにかを叫んでいるだけだと脳が判断きた。
音としては脳に入っていたがそれを理解するほどは、寝起きのおれの脳はやる気がなかった。
声が止みまた深い睡眠に入ろうとしたところで、電車が揺れてないことに気づき、これには脳が緊急事態のベルを鳴らしており、一瞬覚醒。目がシャキッとする。
慌てて周りを見渡せば、すでに目的地に到着していた。
急いで動き出し駅のホームに降りる。
いつもならすぐに動き出す電車がまだ止まっていることに違和感を感じた。
でも別におれが降りた後に電車が止まろうと関係ないことである。木でも線路に倒れたのだろうとあまり気にすることでもなかった。
このあたりはあまり栄えた地域ではないので僕と一緒に電車から降りているのは10人くらいだった。
それは、いつもどうりだけど、その日は何だか周りが騒がしい気がした。
別に騒いでるひとがいるわけではないがいつもより喋ってる人が多いなくらいの違和感だった。独り言だろうか?おれもだが気をつけたほうがいいだろう。
別に気にする程の事でもないので自転車に乗り家に帰る。いつもどうりの道をゆっくりと走る。
駅の周りには薬局やスーパーなどがありそれなりに人もいるが1~2分程走ればすぐに住宅地に入る。
さらにそこから10分ほどかけ建物が減り空き地と緑が増え始めたころ、おれの家に到着する。
おれの家は元々、母方の祖父と祖母が買い、2人でくらしていた。
でもおれが生まれるころ、父が不倫をしたらしく、生まれて1年経たず離婚、そして母が実家に戻ったため、4人で暮らすこととなった。
しかしおれが4歳くらいの時、祖父が突然亡くなり、後を追うようにして祖母も亡くなった。2人については少ししか覚えていない。
そのため今は母と二人で暮らしている。
古い家だが二階建てで結構広く家の正面には二台分の駐車スペース、正面から見て左には広めの庭がある。駅から少し遠いけどいい家だと思う。
家に着き自転車を駐車スペースに置き家の中に入ろうとする。しかしその前に視界の端にチラッと映った庭に違和感を覚え庭を見直す。
「えっと、なにあれ?」
見慣れたはずのそこには扉があった。
「えっ、ほんとになにあれ。いつからあった。あんな扉」
「昨日はなかったよね、えっ、なんで!?」
明らかに違和感のある扉。
家をでるときはもしかしたら気づかないかもしれないが、帰ってくるときは必ず視界に映る2メートル近くの扉がそこにあった。
玄関から離れ扉に近づく。
扉に近づきよく見ると縦2m横1m位の扉があった。それだけなら誰かが嫌がらせかなんかで家の前に扉を捨てたことになる。
しかしその材質が、、、土なのだ。
つまりサンドアートである。
砂浜なんかでお城を作る奴の最上級。
作りはあの、皆が知っているどこにでも行ける扉に、扉の上半分と下半分に少し窪んだ四角があるシンプルなものである。しかしその上下に別れたその窪みにそれぞれ模様が描かれていることがわかる。
外が暗くなってきたのと、土で出来た模様のため、少し分かりづらいがそれがとても細かく作られていることだけは分かる。
「誰がこんなの作ったの!?」
まず5w1hのwhoからである。あといつ、なぜ、どのようにについても聞きたいところである。
「すいませーん、どなたかいらっしゃいますかーー?」
とりあえず作った人が近くにいないか声をかけてみた。
人はいないようだ。
「・・・
誰もいないようだ」
もう一度扉をよく見る。
人が作ったものならここは警察だろうか?
でもなんて警察に行ったらいいんだ?庭に扉が作られたって言ってもそこまで迷惑しているわけではない。でも一応勝手に作られていいるわけだし一応通報?
いや、まず扉を触って見よう。
土に見えただけで違うかもしれない。
それならただの不法投棄だし、警察にも連絡しやすい。庭でサンドアートされてたと連絡するより大分楽だ。
こわいなー。
崩れたりしないよなー。
よし、一瞬だけ端のほうをゆっくり触って確認しよう。
「よし、いくぞ。」
伝わる訳もなければ、身構えたりするはずもないのだが、扉に確認をとる。
気持ちの問題だ。
そーーとっ。
「か、硬い」
一応違う可能性があるとは言ってみたものの、どう見ても土だと思っていたのでその感覚に驚く。
「えっ!!!」
気づくと知らない場所にいた。
おれは、草原に立っていた。
「あっ、えっ、なに、えっ、どういうこと!?」
えーっと、俺は扉に触れて・・・、
えっ、あれがちの、あのどこにでも行ける扉だった!?
俺はもうどうしようもなくパニクっていた。
そしてそこにさらに非現実が襲いかかってくる。
ステータス
【名前】コウノス ハルト
【年齢】17
【職業】未定
【レベル】1
【体力】178/178
【魔力】0/0
【攻撃力】3(+0)
【防御力】6(+2)
【瞬発力】5
【スキル】プレゼント受け取り(一度のみ)
【称号】なし
おれの視界内に半透明のそれが浮き出てきた。
「なんじゃこりゃー!!!」
俺はさらにパニックになった。
「ぽにょん」
その時、足もとからなにかの音がした。
次は何かと足下を見ればそこには一体のスライムがいた。
「え、すらいむ・・・・?」
そこでようやくおれは近くに来ていたスライムに気づいた。しかしすでに頭がいっぱいいっぱいだったおれはその自体に完全に思考を停止させた。
そしてそいつはおれには向かって・・・跳ねた
スライムがぶつかりおれの身体は後ろに倒れていく。
そして気が付くとおれはサンドアートの前に帰ってきていた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・ッハ!!」
「すらいむ!草原!ステータス!すらいむ!警察!すらいむ!」
そこからはあまり覚えていない。
パニックになりつつ、地面に落ちていたスマホを取り、警察をよび、仕事に行っていた母さんに連絡をし、混乱しつつ何とか状況を伝えようとし、頭がショートし寝た。