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入院生活三日目


 術後の痛みと熱で魘されつつも一時間ごとに血圧と熱と測る夜を過ごし、何時か分からないけど酸素マスクからのようやくの開放と心電図の線やら外されると少し楽になった感じがする。

 酸素マスクから開放されるとお口の中がとても乾いていることに気が付く。

 水分を取りたいと思うもしんどくて何も話せなくて、だけど口の中に嫌なつばや痰が溜まる。

 それらを我慢しているとまだ暗い中、ベッドの電気をつけ「採血しますね」と血液検査で今が朝なのだと気づいた。

 ただ、その血液検査は私の血管が細い上にまだ周囲は暗く、電気だけでは腕から血液採取出来なくて看護師さんに「ごめん。痛いと思うけどここから採らせて」と指し示されたところは手の甲だった。

 けど、術後の痛さが勝ってるからチクリとした痛さなんて無きにも等しく、何も感じない。

 

 それから血圧に体温、脈拍などの検査が続き、ベッドの上でぼけーっと覚醒し切らない状態が続いた。

 時間帯が分からないが、看護師さんがやってきて熱めに濡らしたタオルを持ってきてくれた。


「顔拭いてね。熱いから気をつけて」


 

 そう言われ渡されたタオルで顔を拭くと、気持ちよくてさっぱりして少しすっきりする。

 その後、全身麻酔をしていたので尿道カテーテルを入れてるんだけど、看護師さんがそれをどうするかと一応聞いてくれた。



「先生が管抜いていいって言ってるけどどうする? 尿の管抜いたらトイレ自力で行かなあかんのやけど⋯⋯着替えどこかな?」



 とか抜く気満々やーん!

 私まだ迷ってるんだけどね?

 それ質問する意味あるのかな。

 自力でトイレに行ける気がしないし、だけど寝てるのが痛くてしんどくて苦しくてちょっと動きたいっていう気もするし「どうしよう⋯⋯」とか悩んでたら、私の悩みを察したのか、普通に「管抜くよー」って言われたよ!

 それからすぽんっ! って感じで引っ張り出され、痛くはないけどさぁ⋯⋯そんな簡単に抜かないでよ⋯⋯というのが私の感想。


 

「管抜いたからトイレ頑張ろう!」


 

 って普通に言われたし⋯⋯鬼ー! と心の中で叫ぶ気力もなかった。

 それから手術着からパジャマに着替え、これがまた苦痛で仕方なく、ズボンやパンツどうやって履いたらいいのか、痛すぎるし⋯⋯だけど着替えないとこんなあられもない姿でいてるわけにも行かず、仕方ないから痛みこらえて頑張ったよ。

 誰か私を褒めて!

 何とか着替え終わってから点滴とトイレに行く説明を受ける。

 


「トイレに行くときはドレーンも袋に入れとくので一緒にこうやって引っ掛けて行ってね」



 ドレーンっていうのはなんか、私の体のどっかに繋がってる血と何かの液が入ってる袋? なんだけど、どこに繋がってるか分からずまぁ痛くもないから何とも思わず話の続きに戻る。


 

「後、最初トイレ行くときふらついたり転けたりしたら危ないんで、ナースコールで呼んで下さいね」

「分かりました」



 と返事したものの、お腹が痛すぎて何だか張ってる感じがしてトイレに行きたいのかどうかさえわからない。

 けど、動けるようになったため、起き上がってる今のうちに金庫から携帯だして充電器を出してきて充電をする。

 携帯の充電切れてるから時間が全く分からない!

 あぁ、ただただ辛い⋯⋯痛ーい、今何時ー?

 そんな事しか頭になく、けど長い髪の毛邪魔過ぎてそのまま寝るように2つに括り、またぼけーと⋯⋯

 トイレ⋯⋯頑張っていってみようと挑戦する。

 ナースコールで看護師さん呼んで「トイレに行きます」とそして、頑張って亀の如くよちよちと点滴とどこに繋がってるか未だにわかってないドレーンを引き連れて歩き、なんとかトイレに到着。


 

「トイレ済んだら中のボタン押してくださいね」



 そう言われトイレへ。

 もうね、お腹痛すぎてしんどすぎてズボンやパンツを下ろすのもしんどくて、トイレに座っても痛みに耐える始末。

 一番トイレ行って驚いたのが、お腹がパンパンに膨れ上がっててえー!? ってなった事。

 けど何よりも何とか終えて整えてボタンをポチッと押してお外に出ると、そこに待っててくれたんだけどね。



「行けましたね」

「めっちゃ頑張ってるやん」



 二人看護師さんがいて応援してくれました。

 手を洗いベッドに戻る。



「次からは呼ばずにトイレ行っても大丈夫ですよ。だけど、残尿値測らないといけないんでトイレから出たらナースコールで呼んでくださいね」



 残尿測定が2回続けてゼロにならないと駄目なんだって。

 で一回目は残尿してると。

 だって、お腹痛いから分かんないのが率直な意見。

 そんなこんなでこの日は一日トイレとの戦い。

 因みにこの日の昼食出たんだけだ、重湯と紙パックジュースが2つ。

 全く食べる気しないんだけどと思いつつ、頑張って口つけるもやっぱりいらない。

 ジュースも⋯⋯うん、いらないかな。

 申し訳なく思いつつもごめんなさいしてベッドに横たわる。

 それにしても痛いよ。

 あまりに痛いから鎮痛剤(座薬)を夕方入れてもらった。


 この日の夕方、術後初めて医師が病室に来てくださった。



「調子はどう?」

「痛いですよ」

「ちょっとお腹見せてよ」



 そう言われてお腹を診てもらう。

 そこでドレーンが右側のお腹のところに繋がってることに初めて知り、医師は看護師さんにドレーンの数値の確認をするように指示を出すとナースステーションへと戻っていき、私は医師と二人で待つ。

 医師はベッドに腰掛けふぅと一息。



「手術の写真撮ってあるんで今度見せるわよ」

「はい」



 それから待ちぼうけする事数分。


 

「それにしても遅いなぁ。北海道まで行ってるんか」

「遅いですねぇ」



 そんな軽口を言いつつ待つと戻ってきたのでその通知の確認をすると「これ外そか」と留めてたテープを外して糸より頑丈そうなのをハサミでパチパチと切る。

 その振動が地味に痛い。

 切り終わったら管を抜くんだけど、これ、普通に私のお腹に入ってのか!? と驚きだ。

 お腹からドレーンが引き抜かれるんだから。

 それも思ったよりも管が長いのよ。

 変な感じだわ。

 引き抜かれるときは痛くなかったけどね。

 それが終わると傷口は特に縫うこともなく消毒してテープで止めるだけ。



「よし、終わり」

「ありがとうございます」



 処置が終わるとあっさりと医師は去っていった。

 ドレーンを取るとちょっと楽になったかな。

 トイレ行くのがね。

 

 そして夕食は、やっぱり重湯だったけれど、一口食べてごめんなさいしました。

 まだ食べる気力が湧かなくて、食べると逆に胃に負担になりそうだったので。

 本当に勿体無いことしてるのはわかってるんだけどね。


 今は寝てるのが楽、と言いたいとこだけど、ベッドから起き上がるのも寝るのも座るのさえ結構辛かったりするけれど、やはり安静にするには横になるのが一番。

 ただ、寝てる時に辛いのは、腰が痛くなるのと咳が止まらないこと。

 そして痛くて寝返りが打てないことだけど、いっても手術の翌日だからね。

 

 この日は取り敢えず安静第一とトイレ問題で一日が終了した。

 

 

 

ご覧頂きありがとうございます。


手術の翌日から動かないといけないのだけど、起き上がったりするだけでも一苦労でした。

私の中ではトイレ問題が一番大変でした。

歩くのもまっ直ぐ歩けなくて、腰が曲がった状態で本当に亀みたいによちよち歩き。


ドレーンの管は右横腹に入っていて、痛そうに思うけど全く痛みはなかったです。

普通に引っ張り出されて縫うこともなく、今は傷跡がうっすら残っているくらいです。

前日の手術終わりからの本当に長い時間でした。

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